鉄道系株主優待券の相場値と使用法等(2)──JR以外の民間鉄道事業者《相場値と「東京~大阪」間格安移動術》
先般日本経済新聞Web版にて今の金券ショップ事情のことが報じられたのを受けて、当ブログでもそれにちなんだ記事をこれまで2つ書いてきました。
最初に新幹線きっぷ類の金券ショップ店頭やオークションサイト(ヤフオクなど)に於ける相場値などをお話しし、次には新幹線きっぷ類と共に日経Web版掲載記事にも金券ショップ店頭販売価格帯として取り上げられました、既に上場を果たしている本州内JR旅客3社が各々の株主宛に発行している株主優待券(割引券形式)の相場値や使い方などについてお話ししました。
今回は、一応最終回的位置づけとしていますが、JR旅客3社のものと共に金券ショップ店頭やオークションサイトに於ける定番的存在として知られているであろう、JR以外の民間鉄道事業者(大手私鉄中心ですが…)が各々株主宛に発行している株主優待券について触れてみようと思います。
今回の場合は、オークションサイトにおける相場値と共に、株主優待券を使ってJRの学割運賃並みに且つ予約無しに気軽に「東京~大阪」間を行き来するための旅程などを示しておこうとも考えています《但し少々体力は要求されますが…;勿論部分的にJR線を利用する格好にはなっています》。
ところで、JR以外の民間鉄道事業者が一定株式数以上所有している株主に対して発行している株主優待券は全て乗車券形式(株主優待乗車証)となっていて、原則として自社線全線に有効となっているわけでありますが、これには普通乗車券タイプと定期乗車券タイプの2種類が存在し、所有株式数に応じて発行されています。
ヤフオクなどのオークションサイトにも各鉄道事業者が発行している株主優待乗車証が数多く出品されていて、その殆どが普通乗車券タイプのものとなっていますが、たまに定期乗車券タイプのものが出品されているのも見えます。
とはいえ、定期乗車券タイプのものについては、その品物自体の性格上、どうしても高額になってしまうところから、当該鉄道事業者の路線の沿線に在住し、且つその路線(のうちの一つ以上)を通勤の主たる手段として利用している人でない限り、元を取るのは困難なところでしょう。
そういうわけで、ここでは普通乗車券タイプ(事業者によっては”回数券タイプ”などと称しているところ有り)の株主優待乗車証に絞り、オークションサイトに於ける大凡の相場値を以下にてまとめてみました。
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【首都圏】 東武・・・・・・830円程度(3) 京成・・・・・・750円程度 新京成・・・・150円程度 西武・・・・・・550円程度 京王・・・・・・330円程度 小田急・・・・570円程度 東急・・・・・・220円程度(3) 京急・・・・・・570円程度(5) 相鉄・・・・・・210円程度 【中京圏以西】 名鉄・・・・・・900円程度(3) 近鉄・・・・・・1400円程度 京阪・・・・・・380円程度 南海・・・・・・3800(円/6回)程度〔※2〕 阪急阪神・・1350(円/4回)程度〔※2〕 山陽・・・・・・550円程度 神鉄・・・・・・490円程度 西鉄・・・・・・700円程度 |
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【備考】 ※1…相場値の横に記載されている括弧付き数字は、株主優待乗車証の発行を受けるために株主として最低限必要な所有株式単元数《例:(3)=3単元分以上》。記載無きものは1単元分の所有から発行されている ※2…関西圏の南海と阪急・阪神(阪急阪神HD)については回数券カード形式での発行が基本となっており、このうち阪急阪神HDの株主優待券(回数券カード形式)については、所有株式数に応じて4回券を最小とする数種類のカードが用意されている模様《南海の株主優待券は6回券固定となっており、所有株式数に応じてその配布枚数が決まってくる》 |
路線網規模の大きな近鉄(近畿日本鉄道)や名鉄(名古屋鉄道)、東武の株主優待券の相場値が高めなのはわかるのですが、京成の株主優待券の相場値も高めなのには正直意外な印象を受けました《京成と似たような路線網規模を持つ小田急と比べてかなり高めだし…;「成田スカイアクセス」の絡み?》。
なお最新の相場値については、相場値のところをクリックすることにより参照できます《「ヤフオク」のみとなります》。
参考までに、上記で示している鉄道事業者について、過去の不祥事のため現在非上場となっている西武(西武ホールディングス)を除き、通常の株式取引に於ける最低単位(1単元)は全て「1,000株」となっています《余談ですが、既に上場している本州JR旅客3社については、JR東日本のみ100株を1単元としている他は、1株を1単元としています》。
そして、それぞれの鉄道事業者毎に用意されている株主優待制度に於いて、大半の事業者では1単元分でも株式を所有していれば一定枚数の株主優待乗車証(普通乗車券タイプ)の配布が受けられますが、一定の単元数分以上所有していなければ乗車証の配布が受けられない事業者も存在します《東武、名鉄など》。
なお、株主優待乗車証の配布を受ける等に際して満たすべき条件その他詳細事項に関しては、上記各鉄道事業者名称のところに設定してあるリンクをクリックして参照して下さい。
ところで、以前当ブログにて喋ったことがありますが、小田急・名鉄・近鉄の各株主優待乗車証(普通乗車券型)とJR乗車券を組み合わせることにより、東京(小田急新宿)から大阪(大阪難波)までの片道運賃合計について、JR線に於ける「東京(都区内)~大阪(市内)」間の片道学割運賃並みに運賃(合計額)を抑制することが可能になります。
参考までに、「東京(都区内)~大阪(市内)」間のJR線片道普通運賃は「8,510円」で、学割適用(2割引)で「6,800円」となります。
ここで、JR線利用を「小田原~豊橋」間のみとし、東京側は「新宿」を起終点として小田原まで小田急を使い、大阪側は近鉄「大阪難波」を起終点として豊橋まで近鉄と名鉄を乗り継ぐルートに乗るものとして、更にJR線区間以外で利用する大手私鉄3社分については各社の株主優待乗車証を揃えるものとして計算しますと、東京から大阪までの片道合計は、実際に利用する時期にもよりますが、「6,500円」程度で済ませることが出来ます。
そこで、そうした”格安パターン”にて旅程を組んだ場合の一例として、早朝に東京(大阪)を出発して大阪(東京)を目指すという旅程を以下にて示します《現行の土休日ダイヤを使って組成;私鉄利用区間については各鉄道事業者毎に開設されている公式Webサイトを、JR線利用区間については『駅探』を、それぞれ利用して旅程作成を行いました》。
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【大阪→東京(上り)】 大阪難波(|0608) ↓《近鉄:準急・近鉄奈良行》 鶴橋(0614|0617) ↓《近鉄:快速急行・鳥羽行》 伊勢中川(0755|0759) ↓《近鉄:急行・近鉄名古屋行》 近鉄名古屋(0924|0933) ↓《名鉄:特急(一部特別車)・豊橋行》 豊橋(1026|1043) ↓《普通・浜松行》 浜松(1115|1129) ↓《普通・興津行》 島田(1213|1224) ↓《普通・沼津行》 沼津(1350|1400) ↓《普通・熱海行》 熱海(1420|1435) ↓《普通・東京行》 小田原(1456|1511) ↓《小田急:急行・新宿行》 新宿(1647|) |
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【東京→大阪(下り)】 新宿(|0500) ↓《小田急:普通・本厚木行》 本厚木(0610|0611) ↓《小田急:普通・小田原行》 小田原(0653|0718) ↓《普通・沼津行》 沼津(0805|0809) ↓《普通・浜松行》 浜松(1015|1020) ↓《普通・豊橋行》 豊橋(1056|1102) ↓《名鉄:快速特急(一部特別車)・新鵜沼行》 名鉄名古屋(1151|1201) ↓《近鉄:急行・伊勢中川行》 伊勢中川(1318|1320) ↓《近鉄:急行・大阪上本町行》 鶴橋(1511|1516) ↓《近鉄:普通・大阪難波方面阪神尼崎行》 大阪難波(1522|) |
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【備考(大阪発・上り旅程)】 豊橋に於いて2分の待ち合わせにて浜松行き普通列車有り(豊橋1028発)。この場合、浜松、静岡、富士、熱海と乗り継いでいくことになり、小田原1428着。小田原で小田急線の新宿行き急行電車(小田原1441発)に乗り継ぐことで新宿1617着となる 【備考(上り・下り共通)】 近鉄名古屋・名鉄名古屋両駅を結ぶ連絡改札口については、近鉄と名鉄の両株主優待乗車証(磁気券)計2枚を同時に投入することにより通り抜け可能。 東京側の新宿駅に於ける小田急とJR、及び大阪側の鶴橋駅に於ける近鉄とJRの各相互乗り継ぎに際し、それぞれの連絡改札口を手持ちのICカード型乗車券との併用にて利用する場合には〔但し新宿駅に於いては「Suica」又は「PASMO」、鶴橋駅に於いては「ICOCA」又は「PiTaPa」に限る〕、先に株主優待乗車証(磁気券)を投入してからICカード型乗車券をタッチするという順番にて通り抜け可能とみられる《新宿に於ける小田急とJRの相互乗り換えについては『株主優待乗車証とICカード乗車券(PASMO・Suica)の併用について』にて公式に説明されているが、鶴橋に於ける近鉄とJRの相互乗り換えについては事業者としての公式な説明は無く、ウィキペディア解説「鶴橋駅」内に見られる一般的説明書きから類推するしか術がないのが実情である》 |
所要時間は、上下とも片道で10時間半程度となっていることがおわかりになるかと思います。
ちなみに「東京~大阪」間を全てJRの普通列車で乗り継いでいく場合の片道所要時間が9時間半程度となっていますので、約1時間余分にかかっていることになります。
あと、先にも記しましたが、上記旅程の場合には、JR線以外の区間に於いて、通過する鉄道事業者それぞれの株主優待券(乗車証)を使うことにより、全体としてJR線の片道学割運賃並みかそれより低く抑えることが可能となります。
その半面、同じく昼間に走る高速路線バスや、後記の夜行高速路線バス格安便にはちょっと敵わないところですが───ただ、全席指定で事前予約を要する高速路線バスに対して、JRと大手私鉄3事業者分の路線を乗り継ぐ上記旅程は予約無しに実行できるところが魅力の一つといえるところでしょう。
尤も、上記旅程を眺めていておわかりのように、途中10回近くの乗り換えを伴いますので、実行に際しては少々体力を要求されるのかもしれませんが───まぁ乗り継ぎもまた一つの楽しみととらえればよいわけですね(ぉぃ)
ここで上り「大阪→東京」の旅程に関してひとこと添えておきますと・・・
「備考(大阪発・上り旅程)」欄のところで豊橋からの代案を示していますが、この代案では豊橋に於ける乗り継ぎ時間が「2分」と非常に短く、しかも他社線乗り換えの形となっています。
ただ、豊橋駅自体はJRと名鉄の共同使用駅である上に連絡(中間)改札口が存在しないことから〔名鉄側で通用する磁気式SFカード「トランパス」のための自動精算機などは存在するけれど…〕、その気になれば改札を通り抜けることなくJRと名鉄相互の乗り換えが出来てしまいます───まぁ荷物の量がそれほどで無ければ、猛ダッシュにて一方のきっぷで一旦改札を出てから即他方のきっぷで再入場することで完全な形での乗り継ぎは可能ですけどね。
よって、上り旅程に於いて、豊橋以東の区間で備考欄で示した代案にて実行しようと考えるならば、予め「豊橋→小田原」のJR乗車券を用意しておくか、それが出来なければ、最悪、豊橋から乗車するJR普通列車の車内で速やかに車掌に申し出て車内精算をしてもらうか・・・の何れかの手だてを考える必要が出てきます。
「豊橋→小田原」のJR片道普通乗車券を事前に用意しておく方法としては、勿論最寄りの「みどりの窓口」にて購入しておくことが一般的ですが、発駅・着駅とも新幹線駅を兼ねていることから、例えばJR西日本の「みどりの券売機」であっても、同券売機にて用意されている”「時刻検索から購入」機能”を使うことにより、事前購入しておくことが可能です《JR東日本の「指定席券売機」であっても同様に可能とみられる》。
なお、豊橋駅に於ける「JR線~名鉄線」相互の乗り継ぎに関しては・・・
『豊橋駅での名鉄→JRへの乗り換え』
『豊橋駅でのJR⇒名鉄の乗り換えについて』
『豊橋駅 新幹線→名鉄乗換え』
『豊橋駅で名鉄からJRに乗り換える場合…』
のあたりを参考されるとよろしいかと思います。
ところで、以前このブログでは、夜行快速「ムーンライトながら」を挟む旅程で示していたことがありますが、現在ではその「ムーンライトながら」自体が「青春18きっぷ」シーズンに合わせた形の多客期臨時列車に格下げされてしまっていることから、今回は割愛させていただきました《そりゃ「青春18きっぷ」が使えるのであればそちらを使ったほうが1回あたりの換算額で安上がりになりますし…》。
東京或いは大阪を夜のうちに出発するのであれば、最近では4列シート車両を使うことで格安にて東京と大阪の間を行き来する夜行高速路線バスも運行されていますので、「青春18」シーズン外に「ムーンライトながら」が運転されなくなってしまっている現在に於いては、その格安夜行便を利用することは旅費節約の上で有効でしょう。
ここで、現行の臨時夜行快速「ムーンライトながら」を利用するに際して一言添えますと・・・
下り「ムーンライトながら」(大垣行)に於いて、現在では日付変更線となる駅が小田原となっており、この「ムーンライトながら」から「青春18きっぷ」を使い始めようとする場合には始発駅である東京から日付が変わる最初の停車駅である小田原までの普通乗車券を別途用意する必要がありますが、始発駅・東京からだと片道で「1,450円」かかってしまいます。
そこで、小田原から「ムーンライトながら」に乗ることとし〔勿論小田原からの指定席券を別途用意することになりますが…〕、小田原までの区間を小田急利用(東京側は新宿から)とすることで、株主優待乗車証使用により安く上げることは可能です。
ただ、小田原で「ムーンライトながら」に乗ろうとする際、窓側席で指定されている場合には、満席に近い状態だと先客にその窓側席を座られていることも出てくるかもしれません《尤もその時にはその先客に指定席券を見せながら譲ってもらうか、それが出来なければ車掌を捕まえて依頼するかの何れかを行えばいいようなものですが…》。
それにしても、今や臨時列車化されてしまった現行の「ムーンライトながら」に関して、『臨時化した「ムーンライトながら」のダイヤって・・・(汗)』というブログ内記事にて初めて知ったことなのですが、その現行の「ムーンライトながら」、定期運行されていた頃と比べて所要時間が延びる一方で、一部の通過駅に於いて時間調整などを兼ねた長時間運転停車がなされているんですね〔特に下り・大垣方面〕───尤も当該ブログ内記事に掲載されている「ムーンライトながら」運転時刻は今春のJRグループ定例ダイヤ改正前のことなので、改正後も同様のパターンで運転されているのかどうか寡聞にしてわからないところなのですが、それだったら始発駅に於ける発車時刻を繰り下げるか、或いは終着駅に於ける到着時刻を繰り上げてよ、と心情的にツッコみたくなるのは私だけなのでしょうか・・・
何処かの鉄道事業者の株主であっても無くても、株主優待券をTPOに応じて上手に使っていくことで、大きく楽しみ小さく使いましょう。
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