「SUGOCA」熊本、鹿児島、大分、長崎各県内JR線にも導入…JR九州、2012年度以降。九州新幹線との連携に期待?
昨年度(2009年)の終わり近くに当ブログに掲載した『九州新幹線・鹿児島ルートの建設工事区間、レール敷設完了──JR九州。締結式挙行、今秋には試験運転開始か』という記事の、本文に続く追記(P.S.)欄のところで、今年度(2010年度)に於けるJR九州の事業計画と設備投資について少しだけ触れました。
その中で、昨年(2009年)の3月1日に導入されたICカード型乗車券「SUGOCA」に係る今年度の投資額は昨年度比56%ダウンの12億円にとどまると発表されていました。
これでは、少なくとも今年度に関しては熊本や鹿児島などといった九州北部地域以外のエリアへの新規導入はお預けになるだろう、と感じていました。
一方、電子マネー機能の方面では、九州島内に所在する大手コンビニエンスストア店舗への導入が進捗していることに加え、今年3月から「nimoca」・「はやかけん」等との包括的相互利用サービス(乗車券機能+電子マネー機能)の提供がスタートしたことにより、大手コンビニエンスストア店頭を中心に、大手スーパー店頭など、事実上九州島内7県全てに於いて「SUGOCA」電子マネー使用可能拠点を持つまでに至っています《九州の島嶼部については定かでありませんが…》。
何だか、本来用途である乗車券機能の部分が取り残されているかのような、いわば片手落ちの印象さえ抱いてしまうほどです。
そんな中、JR九州は、去る6月23日付けのリリースの中で、「SUGOCA」の本来用途の部分である乗車券機能に於ける導入エリアの拡大を公式に発表しました《→『SUGOCA がご利用いただけるエリアを拡大します』(左記リリース文書のPDF版)》。
それによると、既に導入されてきている福岡県内を中心とする九州北部地域エリアから延長させる形で熊本・大分両県内にも導入エリアを拡大させるほか、新たに長崎・鹿児島両県の県庁所在地を中心としたエリアに属するJR線にも導入することになっています。
このうち、来年3月全線開業予定の九州新幹線鹿児島ルートの終点・鹿児島中央駅を中心とする鹿児島エリアに於いては、鹿児島本線・日豊本線では肥薩おれんじ鉄道との結節点にあたる川内駅から鹿児島中央駅を通って肥薩線が分岐する国分駅まで、そして鹿児島中央駅から分岐する指宿枕崎線に於いても喜入駅までが導入予定エリアに入っています。
また、同じく鹿児島ルートに関係する熊本エリアに於いては、鹿児島本線に於ける既導入区間の南限にあたる荒尾から更に延長させる形で熊本を通って肥薩おれんじ鉄道との結節点にあたる八代まで、及び熊本から分岐する豊肥本線の肥後大津(電化区間終端駅)までの導入が予定されています。
なお、宮崎県内JR線区間については、中・長距離の特急利用者が中心で近距離利用者は多くない等の理由から、今回は導入を見送っています《つまり宮崎県内ではJR線の通勤利用は少ないってことか・・・よくわからないけれど》。
JR九州では、「SUGOCA」拡大導入予定時期は2012年(平成24年)度以降になる・・・としており、これによって導入駅は270駅に増加、JR九州管轄内全駅(561駅)に対する割合は5割弱となります。
ところで、このICカード型乗車券「SUGOCA」拡大導入予定時期とされた「2012年度」といえば、現時点から見れば再来年度にあたるわけでありますが、鹿児島ルート全線開業予定時期である来年3月を基準に見た場合、順当に進捗して1~2年後、ということになるわけですね。
言い換えれば、鹿児島ルート全線開業に1~2年遅れる格好で熊本・鹿児島両エリアに於いても使えるようになる。
けれども、この「1~2年」という時期のズレ、更に別のとらえ方をするならば・・・
現在東海道・山陽新幹線にて導入されている「エクスプレス予約」と、それに付随するチケットレスサービス「EX-IC」を九州新幹線区間に延長導入するための準備期間、と考えることも可能なわけですね。
「エクスプレス予約」対応に必要な指定席券対応自動券売機の設置〔或いは改修〕、「EX-IC」対応に必要な新幹線向け自動改札機の改修と専用読み取り機の設置、そして新幹線乗換改札口に設置の自動改札機を対象とした、「EX-IC」カード又は新幹線きっぷと「SUGOCA」等の在来線向けICカード型乗車券の併用による乗り継ぎサービス(IC乗継サービス)への対応に必要な機器類改修・・・
勿論、最終的に九州新幹線区間にも「エクスプレス予約」を導入するか否かはJR九州の経営判断次第ということになるわけですが、九州新幹線への「エクスプレス予約」導入を熊本そして鹿児島エリアへの「SUGOCA」追加導入と時期的に同じくすることにより、博多以南の九州新幹線区間に於いても「SUGOCA」等のICカード型乗車券と「EX-IC」カードの併用によるチケットレス利用が可能となるわけです。
ここで、山陽新幹線に続いて九州新幹線区間にも「エクスプレス予約」のシステムを導入しようとするならば、それに対応したクレジットカードが管轄の旅客会社(この場合はJR九州)に於いて用意されている必要がありますが、JR九州では今年3月から独自のクレジットカードである「JQ CARD」をセゾン(クレディセゾン)とUFJカードを発行元としてデビューさせているところから、「エクスプレス予約」導入に向けての素地は出来上がっているといえるでしょう。
尤も、九州新幹線区間への「エクスプレス予約」本格導入に際しては、年会費徴収のことや「EX-IC」カードの別途発行(貸与)のこと等クリアすべき課題が幾つも待ちかまえていることと思いますが、JR東日本の「モバイルSuica」に於ける”ビュー・エクスプレス特約”等を参考にすることで、導入自体は不可能ではないように感じるところです《JR西日本の「J-WEST」カードに倣って、別途「エクスプレス予約」に対応した「JQ CARD」を用意出来ればベストといえるところなのですが、今のJR九州の経営体力ではそれが出来るのかどうかは不透明な情勢…》。
導入に際してクリアすべき課題といえば、JR九州内で”最強”との呼び声の高い「2枚きっぷ・4枚きっぷ」との兼ね合いもありましたね───「エクスプレス予約」会員向けに割引率を大きくした限定割引きっぷの類を新たに設定するなどの施策が必要となってくるでしょう。
何れにせよ、「SUGOCA」導入エリア拡大と共に九州新幹線区間への「エクスプレス予約」そして「EX-IC」の導入をも推し進めていくことで、「SUGOCA」各導入エリア内に於ける利便性向上にとどまらず、新幹線・在来線間のスピーディな乗り継ぎとチケットレス利用も実現出来るわけで、これにより「SUGOCA」を初めとするICカード型乗車券の利用価値も上がることが期待出来ると考えるところです。
新幹線の「エクスプレス予約」関連で半分以上埋めてしまいましたが、長引く景気低迷に加えて「高速道路通行料金上限千円(休日特別割引)」や「高速道路無料化(社会実験)」等の煽りも受けて厳しい経営環境に置かれているJR九州が「SUGOCA」導入エリア拡大に本腰を入れ始めるあたり、同社の心意気というものを感じ取れると共に、今後の展開を楽しみにしています。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『「スゴカ」利用できる駅、270に倍増へ JR九州』
『JR九州のスゴカ、鹿児島・大分などに拡大』
『「SUGOCA」宮崎を除く都市圏に利用拡大 JR九州』
《→『「SUGOCA」宮崎を除く都市圏に利用拡大 JR九州』》
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
←ソーシャルブックマークです
←ランキング参加中。各1クリックご投票を!
« 臨時特急「まほろば」ラストラン──6月27日。奈良県内久々の優等列車。新大阪からの連続動画発見《DC引継も》 | トップページ | 「さくら」向けN700系”青磁”仕様量産車両JR九州保有分、日立工場から熊本港へ…九州新幹線。800系も間もなく? »
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「SUGOCA」熊本、鹿児島、大分、長崎各県内JR線にも導入…JR九州、2012年度以降。九州新幹線との連携に期待?:
» JR九州、2012年度以降にSUGOCA利用エリアを拡大 [kqtrain.net(京浜急行)]
SUGOCAがご利用いただけるエリアを拡大します(PDF)|JR九州[SUGOCA] | プレスリリース [続きを読む]
« 臨時特急「まほろば」ラストラン──6月27日。奈良県内久々の優等列車。新大阪からの連続動画発見《DC引継も》 | トップページ | 「さくら」向けN700系”青磁”仕様量産車両JR九州保有分、日立工場から熊本港へ…九州新幹線。800系も間もなく? »
コメント