「ウィークエンドパス」10月以降分も継続販売・・・JR東日本。値上げの一方でボリュームアップ《西日本方面の要望も》
JR東日本が、かつての「土・日きっぷ」の後継として去る3月29日に販売を開始した特別企画乗車券「ウィークエンドパス」。
「土・日きっぷ」から特急の自由席・指定席(4回まで)利用権利を取っ払ったことで、一部ユーザから「ウィークエンドパス」を「”土・日きっぷ”の劣化版だ」などといった批判が噴出していたことは記憶に新しいところですね。
また「土・日きっぷ」に於いては設定されていた”中高生用”が「ウィークエンドパス」に於いては廃止されたこともあり、特に高校生までの子供たちにとっては少々厳しい制度変更となりました《特急列車への乗車権利が取っ払われたにもかかわらず500円しか実質値下げされなかったため》。
1日あたりの換算額では、JR線以外の一部会社線も利用可能になっているとはいえ、少々割高な印象をぬぐい去れないところがありますが、別途料金券類(特急券など)を購入することで新幹線をはじめとする特急・急行列車に乗れるあたりは明朗な感じも抱くところであるように私は思っています。
そんなJR東日本の「ウィークエンドパス」でありますが、現行販売分の通用(利用可能)期間が来月(9月)の26日で切れてしまうのを前に、10月以降に通用する分について、以下に示すとおり、内容(効力)をボリュームアップさせた上で、引き続き発売するとの公式発表が為されていますね《→『南東北・上信越の旅に便利な「ウィークエンドパス」がリニューアル 新たに鉄道会社線10社がプラスとなり、ますます魅力アップ!』・『ウィークエンドパス、私鉄10社線が追加に』》。
【発売期間】 9月2日(木)~2011年3月26日(土) 《使用開始日の1ヶ月前から購入可能》 【通用(利用可能)期間】 10月2日(土)~2011年3月27日(日)の土休日、 11月20日(土)~23日(火・祝)、 12月23日(木・祝)~26日(日) 【発売額】 大人:8,700円 ・ 小児:2,600円 【フリーエリア】 ◎ JR線(恐らく現行分と変わらず) 首都圏を中心に 宮城県・新潟県・山形県・長野県あたりまで ◎ JR線以外 ● 以下の鉄道事業者線全線 北越急行(ほくほく線)・伊豆急行・ 阿武隈急行・上田電鉄・鹿島臨海鉄道・ しなの鉄道・長野電鉄・ひたちなか海浜鉄道・ 福島交通・富士急行・松本電気鉄道・山形鉄道 ● 以下の鉄道事業者線の一部区間 会津鉄道〔非電化区間のみ(西若松~会津田島)〕 |
【備考】 赤字は今回新たに”エリア内”となる鉄道事業者 |
発売額が現行販売分と比較して「大人用」で200円、「小児用」で100円それぞれ値上げになっている一方、フリーエリアに内在するJR線以外の鉄道事業者のうち、現行発売分に於いて”エリア内”とされている3事業者(うち1事業者は一部区間)に加えて新たに10事業者の路線も”エリア内”に組み入れられることになり、南東北エリアと上信越エリアに路線網を持つ殆どの鉄道事業者の路線を利用できるようになります。
JR線に関しては今回発表された継続販売の発表に於いて何も触れられていなかったところから、現行通りと解釈できるでしょう。
また、10月以降の発売分に関しては、現行の「大人用」と「小児用」に加えて、JR東日本の会員組織「大人の休日倶楽部」の会員向け区分も新たに設定されることになっており、効力面では上記内容と同一ながら、発売額を「5,500円」に抑える一方、通用(利用可能)期間については、今年秋以降年内いっぱいJR旅客会社6社が中心になって展開される予定の「信州デスティネーション・キャンペーン(信州DC)」に合わせる格好で、上記通用期間のうちの年内限り〔12月26日(日)まで〕となっています《発売期間は「12月25日(土)まで」》。
それにしても、今回公式発表された10月以降通用分に対してのヴォリューム・アップ、やはり「高速道路無料化社会実験」とか「高速道路通行料金上限千円(休日特別割引)」を意識してのことなのだろうか・・・
10月以降といえば、毎年「鉄道の日」前後に通用期間が設定されてきている「青春18きっぷ」ライクな普通列車専用トクトクきっぷ「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」が知られているところなのですが、1日あたりの換算額で比較してみますと・・・
【鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ】 →1日あたり3,060円 《3回(日)分セット;発売額9,180円(小児用4,590円)》 《「青春18」と同一効力;10月の「鉄道の日」前後に通用》 【鉄道の日記念・JR西日本一日乗り放題きっぷ】(※2) →1枚3,000円(1日限り有効;小児用1,500円) 《JR西日本管轄内のJR線を走る普通列車に乗車可》 《10月の「鉄道の日」前後に通用》 【ウィークエンドパス(10月以降通用分)】 →1日あたり4,350円 《2日間有効;発売額8,700円(小児用2,600円)》 |
【備考】 ※1=『鉄道の日記念~』と称するフリーきっぷの類については昨年(2009年)発売分のデータにて記載 ※2=一昨年(2008年)までは「鉄道の日記念・西日本一日乗り放題きっぷ」という名称にて販売されていた。発売額及び効力範囲は同じ |
効力範囲の違いがあるとはいえ、やはり割高に思えてしまうところがあります。
参考までに、これは10月以降に於いて通用期間外となるためここでは記していませんが、「北海道&東日本パス(普通列車限定)」の今夏発売分に於いては1日あたりの換算額が「約1,430円」(大人用の場合)である上、JR線以外にも、かつての東北本線の一部を構成する「青い森鉄道線」と「IGRいわて銀河鉄道線」、そして富士急行線と北越急行ほくほく線の計4事業者の路線にも利用可能となっていることから、新幹線をはじめとする特急列車には一切乗れないという制約条項を考慮しても、かなりお得感があるように思えます。
それと、「ウィークエンドパス」(10月以降通用分)と同様、10月以降も通用し、特定のJR旅客会社管轄エリア或いは特定地域内に絞りながらJR線と共に他の鉄道事業者線も利用可能としている普通列車用フリーきっぷの類の一つとしてJR九州の「旅名人の九州満喫きっぷ」も挙げられますが、こちらは九州島内に於けるJR全線とケーブルカー・索道を除く全ての鉄道事業者路線で運転される普通列車に有効で、1日あたりの換算額は「3,500円」となっています。
こうして書いていくうち、関西圏在住の鉄道好きの一人としては、「ウィークエンドパス」と同じく特定のJR旅客会社管轄エリア或いは特定地域内に限定され、「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」と同時に発売される「鉄道の日記念・JR西日本一日乗り放題きっぷ」(JR西日本)について、全国版である「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」との差別化も兼ねて、内容の充実を切に願うようになってきました。
具体的には、名称を「鉄道の日記念・西日本一日乗り放題きっぷ」に戻すと共に1枚あたりの発売額を「3,500~4,000円」ぐらいに設定、JR西日本管轄エリア内に属するJR全線に加えて同エリア内に於いて営業運行している第3セクター鉄道線(のと鉄道・信楽高原鉄道・北近畿タンゴ鉄道・智頭急行・若桜鉄道・井原鉄道・錦川鉄道)も利用できるようにして欲しいところ《勿論何れも普通列車限定(優等列車一切不可)で》。
もう一段贅沢言うならば、出雲市駅を起点とする一畑電気鉄道や倉敷(倉敷市)を起点とする水島臨海鉄道、富山(電鉄富山)を起点とする富山地方鉄道あたりも利用できるようになれば、存在意義は更に高まることでしょう。
ハッキリ言って、昨年までの「鉄道の日記念・(JR)西日本一日乗り放題きっぷ」のままだと、影薄いですね。
何だか最後は西日本方面のフリーきっぷのことに話が行ってしまいましたが、何はともあれ内容をボリュームアップさせた上で継続販売を決めたJR東日本のトクトクきっぷ「ウィークエンドパス」、果たして「休日特別割引」などに打ち克つことができるのか、試されようとしています。
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まあ、とにかく便利になったということで。
ひたちなか海浜鉄道もよろしくお願いします。
(吉田)
投稿: ひたちなか海浜鉄道 | 2010年8月 2日 (月) 13時58分
ひたちなか海浜鉄道の吉田さま、こんばんは。
お世話になっております。
それにしても、今度の「ウィークエンドパス」10月以降使用開始分に於ける制度変更(効力範囲拡大)は湊線にとっても大きなチャンスといえそうなところですね。
これを機に、より多くの人々に湊線の存在が知れ渡ってくれますことを祈っています。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年8月 4日 (水) 19時58分