2012年3月に抜本的ダイヤ変更(改正)…近畿日本鉄道(近鉄)。運転本数削減、種別・停車駅整理等で50億円削減へ
一昨日(7月11日)、某証券会社Webサイト内に於いて知った話題で、今では既にネット上に於いても広く流布されていることでもあるわけですが・・・一時期「青春18きっぷ」シーズン外に名古屋まで行く際などにちょくちょく近鉄のお世話になったことのある身としては、ちょっと寂しい話題となっています。
とはいっても、現時点で報道しているのは今のところ日経と某スポーツ紙に限られていますが・・・
近畿日本鉄道(近鉄)では、去る3月19日にダイヤ変更(改正)が実施されていて、この中では、「平城遷都1300年祭」に合わせて名奈特急(近鉄名古屋~大和西大寺;”せんとくん”特急)が新規設定される一方で、運転本数削減や運転区間短縮を主眼としたいわば”減量ダイヤ”となっていたことは記憶に新しいところでしょう《→『ダイヤ変更についてのお知らせ』》。
平日に於いて56本〔うち特急2本〕、土休日に於いては81本(うち特急5本)が、この今春実施のダイヤ変更に於いて削減されています。
その近鉄が、沿線人口減少などを理由に、再来年(2012年)3月に更なる運転本数削減などの総体的減量を図るための抜本的なダイヤ変更(改正)を実施すると表明しました《→『2012年3月に白紙ダイヤ改正-運転本数削減や種別見直しなど』》。
いわばリストラ目的でのダイヤ変更といえるわけで、運転本数削減の他、列車種別整理や停車駅見直し、無人駅の拡大(増加)、終電時刻繰り上げなどを行うことにより、2015年3月期までに本業の運輸部門で50億円の経費削減を達成させる、としています。
ここで、この抜本的ダイヤ変更の理由として公式に挙げている”近鉄沿線に於ける人口減少”も勿論看過できない問題なのですが、近鉄といえば、昨年11月に発覚した近鉄グループ内子会社の元従業員による横領事件や、今年2月8日に発覚した、同じくグループ内の別の連結子会社による不正経理(粉飾決算)により、総額約49億円に上る「連結業績の利益に与える累積影響額」を計上していたことを忘れてはならないところでしょう《危うく近鉄本体が上場廃止にされるところでしたから…》。
更に広域輸送〔「大阪難波~近鉄名古屋」間とか〕に於いては、昨年春からの「高速道路通行料金上限千円(休日特別割引)」や、先月(6月28日)から始まった「高速道路無料化社会実験」(近鉄沿線関係では伊勢自動車道の一部区間)の影響も十分考えられますし・・・
以上から、今の近鉄の経営状態は厳しい中にあることが容易に想像されるところです。
運転本数の削減といえば、確かJR西日本あたりでも最近耳にした覚えがありますし、今回の報道では、近鉄と同様の悩みを抱える他の鉄道事業者にも影響を与える可能性を指摘しています。
余談になりますが、今回表明された抜本的ダイヤ変更が実施される再来年(2012年)といえば、今年の9月で創業100年を迎える近鉄が、起死回生の大きなチャンスと捉えているであろう「第62回伊勢神宮式年遷宮」(2013年)の前年にあたる年。
更に、この「第62回伊勢神宮式年遷宮」の当たり年即ち2013年には、現在下り線のみ高架線運用を開始している近鉄奈良線「八戸ノ里~瓢箪山」間に於ける連続立体交差事業が上り線も含めて完了する予定ともなっています《→『近鉄奈良線「八戸ノ里~瓢箪山」間、下り奈良方面高架化・・・5月30日より。上りは2013年予定《+瓢箪山駅のこと》』》。
それだけに、今回発表された総体的減量を主眼に置いた抜本的ダイヤ変更は、余計に寂しい気分にさせられるところが正直あります。
さて、今回、再来年の実施を表明した抜本的ダイヤ変更───近鉄側の発言から、これは白紙ダイヤ改正となる可能性が極めて高いわけでありますが、それに向けて、現在、駅間毎の詳細な利用実態調査を実施するなど、適正な輸送力の割り出しを始めているのだとか。
近鉄京都駅に於けるホーム増設工事が完了する2012年春頃をめどに抜本的なダイヤ変更を実施するとしていますが、現時点で伝えられている主な内容として、先にも記していますが、列車種別の絞り込みや優等種別の停車駅見直し、終電時刻の繰り上げなどがあります。
この中で、私自身が特に目を引いたのが列車種別の絞り込みと種別毎の停車駅についてのことです。
ネット上ではこのことに関して既に様々な議論が展開されてきている様子ですが、私自身が思うこととして・・・
例えば近鉄大阪線とそれに続く山田線(及び鳥羽線)に於いては、現在、特急を除いて、以下列挙の列車種別が存在します。
◎ 快速急行(快急;※1) ◎ 区間快速急行(区間快急;※2) ◎ 急行 ◎ 準急 ◎ 普通 《各駅停車》 |
【備考】 ※1=”快速”とも略される《公式にはこの略し方とされている模様》 ※2=”区間快速”とも略される《公式にはこの略し方とされている模様で、近鉄大阪線・青山町以西の区間に於ける駅構内アナウンスではこの公式略称にて種別案内が為されている》 |
これらのうち、急行については1978年3月実施のダイヤ変更(布施駅3層化改造工事完成に伴う変更)によって新設された、いわば”2代目”であり、それまでは現行の快速急行が「急行(初代)」を名乗り、区間快速急行については「区間急行」と名乗っていました。
そして、その「急行(初代)」及び「区間急行」の各停車駅は、1978年3月のダイヤ変更直前に於いては、現行の快速急行及び区間快速急行とほぼ同じだったそうです《山田線との結節点である伊勢中川以東の区間に於いてはどうだったかわかりませんが…》。
このことを踏まえた場合、再来年春実施のダイヤ変更に於いては1978年3月実施のダイヤ変更以前の列車種別体系に戻すということが可能性として考えられるのでは・・・と思います。
つまり、現行の「急行(2代目)」を廃止し、快速急行を「急行」に、区間快速急行を「区間急行」に、それぞれ変更する(というか戻す)と共に、停車駅については現行の快速急行或いは区間快速急行のそれをそのまま踏襲させるものとするわけです《尤もこの場合、1978年3月ダイヤ変更直前に於ける「急行(初代)」及び「区間急行」の各停車駅と比べて2~3駅程度多くなる格好になりますが…》。
勿論、1978年3月以前と現在とでは沿線の宅地開発状況などが変わっているため、ただ単に戻すだけでは済まないのかもしれませんが、少なくとも停車駅を絞り込む、或いは列車種別を絞り込むという観点からいうならば、考えられなくもないと思うところです。
近鉄大阪線系統以外では、近鉄のルーツ的存在ともいわれる近鉄奈良線に於いては昨年3月の阪神なんば線開業以後4つに増えた優等列車種別(特急を除く)の整理統合が取り沙汰される可能性がある他、狭軌線区である近鉄南大阪線及び吉野線に於いては、1965年の運転開始以来今日に至るまでの間に途中停車駅が2倍以上に増えてしまった特急(吉野特急)の停車駅整理や、特急も含めた優等列車種別の見直しに着手する可能性も考えられなくもないところでしょう。
その他の線区とも併せて、利用実態調査の結果などにより、優等列車種別や種別毎に設定されている停車駅の整理などが行われることになると思いますので、ここは静かに見守るしか他無いところですね。
今年で創業100年目を迎える近鉄が「第62回伊勢神宮式年遷宮」(2013年)の前年に実施される、総体的減量を目的とする抜本的(というか白紙)ダイヤ変更───ネット上では、来年(2011年)春にはダイヤを殆どいじらずにこの再来年の抜本的ダイヤ変更を迎えるつもりでは、との声が大勢を占めていますが、果たしてどうなることやら。
一時期「青春18きっぷ」シーズン外に於けるJRの代替手段としてちょくちょく近鉄のお世話になったことのある身として、今度の近鉄の再来年春実施のダイヤ変更とそれに向けての一連の動きに注目していようと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『近鉄がダイヤ抜本改正 12年3月、停車駅見直し終電も早く』
『近鉄が経費削減へ12年3月大幅ダイヤ改正』
『近鉄、過去5年の決算訂正 上場廃止は回避 不正経理で』
『近鉄株監理銘柄を解除…子会社不正経理 再発防止へ監査強化』
『近鉄、会長ら報酬30%返上 子会社の不正経理 利益影響43億円』
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京阪神の私鉄が少子高齢化による乗客の頭打ちに悩んでいるというのは、何年か前のテレビ番組で目にしましたが、ようやく対策に本腰を入れて来たようですね。
人口希薄地帯における利用者減が見過ごせないレベルまで落ち込んで来たのかも知れません。都市部でも団塊世代の定年退職による通勤者減少などが響いているのでしょう。
投稿: ぽんぽん | 2010年7月13日 (火) 13時13分
ぽんぽんさん、こんにちは。
おっしゃる通りかもしれません。
今回は近鉄が再来年(2012年)3月実施のダイヤ変更で総体的減量を打ち出してきているわけですが、同じく関西圏をテリトリーとする他の大手私鉄もこの近鉄の動きに追随して減量ダイヤ作成に走るのか、今後の京阪神の大手私鉄の動向に目を向ける必要はありそうですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年7月14日 (水) 10時45分
こんばんは。
大阪線の急行についていえば、むしろ停車駅は増えるのかもしれません。並行する鉄道がないので急ぐ必要がなく(急ぐなら特急を使ってもらえばよい)、各駅となる区間を増やすことで下位の普通列車の本数を減らすことができるからです。
投稿: たべちゃん | 2010年7月16日 (金) 22時08分
たべちゃんさん、こんばんは。
お世話になっております。
普通電車の本数減を図るための急行停車駅の増加ですか・・・
そうなってくると、現在河内国分以東区間が各駅停車となっている準急の存在意義を 失いかねないところ───逆に、急行停車駅を増やす(各駅停車区間を延長する)代わりに準急を廃止するというのは有りかもしれませんね。
近鉄は、更なる本数削減と共に、列車種別と種別毎に設定されている停車駅の整理などを明言しており、大阪線に関しては、普通と特急を除く列車種別のうちから1つ程度削減される可能性が高いように思えます。
とはいえ、今は現在進行中の利用実態調査などの結果がどう出てくるのか、静かに待つのみです。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年7月17日 (土) 00時15分
南八尾電車区さん、おはようございます。
* 普通電車の本数減を図るための急行停車駅の増加ですか・・・
さすがに河内国分以東で各駅になることはないとは思いますが、榊原温泉口-伊勢中川間が各駅停車になったり、快速急行や区間快速急行の停車駅が増えて急行に統合させることは考えられますね。
投稿: たべちゃん | 2010年7月17日 (土) 06時25分
たべちゃんさん、おはようございます。
お世話になっております───再度のコメントをありがとうございます。
「榊原温泉口~伊勢中川」間各駅停車ですか───う~ん、ちょっと難しいような。
よくご存じのことと思いますが、この区間に存在する3つの駅(大三・伊勢石橋・川合高岡)については何れもホーム有効長が2両分しかないため、急行以上の優等種別でこの区間も各駅停車にしようと思えば、ホームを延伸させるか、或いは”前(後)2両以外ドアカット”のいずれかの措置が必要となります。
確かに大三と川合高岡の両駅は「伊賀上津~東青山」間各駅の駅毎の乗降客数より多くなっていますね───けれども今の近鉄の経営実態などから考えると、ちょっと難しいような気がしないでも無いところですし・・・
投稿: 南八尾電車区 | 2010年7月18日 (日) 07時27分
おそらく区間快急が快急に改称され、
土日の快急・区間快急は終日全て急行になりそうな気がします。
急行は全て青山町止まりになりそうな気もします
投稿: 長瀬国分線 | 2010年10月17日 (日) 20時53分
近鉄は区快・区急・準急・区準を全て廃止して種別を東急みたいに整理するらしいね。
近鉄快急は奈良線オリジナルになり、
毎年4月に運行される南大阪線快急は停車駅が現在の急行と同じ(古市と吉野線全駅に停車)になろう。
奈良線急行は毎時6本に増発され半数が尼崎発着になり、河内小阪、東花園、東生駒、富雄、菖蒲池に停車となろう。
快急は平日昼間に停車する大物~千鳥橋間各駅が通過になるかも。
大阪線急行は八尾、河内山本、高安、二上に停車するのでは?
南大阪線急行は河内松原、藤井寺、土師ノ里、道明寺、浮孔、坊城、橿原神宮西口に停車しそうな。
京都・橿原・天理線急行は三山木、木津川台、平城、西ノ京に停車しそうな。
名古屋・山田線急行は富吉、南が丘、明星に停車しそうな。
投稿: 長瀬国分線 | 2010年10月20日 (水) 06時50分
長瀬国分線さん、こんばんは。
いつもありがとうございます───レス遅れ気味でスミマセン。
今回、2本にわたってコメントをいただいていますが、勝手ながら、一纏めにしてレスしますね。
私も、この度の近鉄による抜本的ダイヤ変更(改正)報道には大いなる関心を抱くところなのですが、一部メディアによる報道に対する近鉄サイドの出方を眺める限りでは、改正内容についてまだ検討段階にあり決定には至っていないことが容易に推察されるところですね。
とはいえ、例えば大阪線から準急が無くなるようなことになれば八尾市内は本当に通り過ぎるだけの街になってしまいそう───現状、急行を停車させるに値する要素を八尾市内に所在する各駅に求めるのは正直ちょっと酷なような気がしますし(う~ん…)
何はともあれ、来年の後半ぐらいになってみないと具体的な改正内容は明らかにされないと思いますし、今はデータ採取の真っ直中にあることと想像されますので、待つしかないところですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年10月24日 (日) 23時24分
すみません。
この投稿をされた方は
社員ではないですよね
もしこんな情報を
まともに報告(ウソ)
情報は、
慎むべきです。
鉄ヲタは、デタラメ
です。
まだ来年以降なんて
本気にしないで下さい
投稿: DREAM | 2011年3月 1日 (火) 08時06分
DREAMさん、こんにちは。
本記事は既に報道された内容に基づき、私自身の考え(推測)も交えながら、起こしているものです。
どのように解釈されるかは、お読みになる方の自由とさせて頂いています。
ちなみに私はただの一個人に過ぎないです《近鉄の関係者ではありません》。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年3月 5日 (土) 13時21分
40年前の昔、京都の中学生だった頃、京阪と阪急しか知らずに八木から乗った2200系宇治山田急行に度肝をぬかれました。ダブるタイフォンの警笛の音、先頭に手荷物室ト個室やトイレの装備2扉クロスシート、赤目口付近では125kmで走っていました。こんなすごい電車があったのです。
「伝統の宇治山田急行を守ってほしい」との思いでいっぱいです。
ぜひ運動を起こしてください。
近鉄の経営悪化は経営者の責任です、山間部の大阪線の過疎化は昔から判っていたことです、東青山にアウトレットの誘致や、伊勢方面にスペイン村ではなく、ディズニーランドを誘致していれば、こんなことにはならずに済みました。
リニアの開通で近鉄は解散せざるえなくなります。大阪線は東西に分断され3セク化されるでしょう。阿倍野に高層ビルを建てている場合ではないと私は思います。
打開策は唯一、JR東海リニアへの参入しかありません。
、
投稿: 坂口 敬 | 2011年12月12日 (月) 00時23分
坂口 敬さま、こんにちは。
年を越してからのレスとなってしまいました───大変申し訳ないです。
「40年前の昔」というと、私が生まれるか生まれないかぐらいの時期ですね(笑)
仰っている「2200系」というのは、もしかすると旧参宮急行電鉄が1930年から1941年にかけて製造された2200系のことでは・・・
ウィキによれば、この旧参急2200系電車、走行性能、車内設備とも当時の電車車両としては破格の仕様を誇っていたのだそうで。
当然のことながら、当該車両の駆動方式は吊り掛け式になっていますが、それでいて赤目口付近に於いて現在のJR新快速並みのスピードで走っていたというのは驚きですね。
それに比べれば、現在昼間に1時間あたり1本運転されている上本町・宇治山田間急行など軟弱に映りそう───まぁこれはこれで、今も「青春18きっぷ」シーズン外に於ける大阪・名古屋間移動には欠かせない存在の一つになっていますけどね。
一方、将来のリニア(リニア中央新幹線)開業による近鉄への影響についてですが、リニア自体が東京などからの長距離客を想定していること、また経営主体が異なる(リニアはJR)ことから、即”近鉄廃業”にはならないものの、運行体系の変動に伴う近鉄特急の大幅削減が十分予想され、そのことによって私鉄日本一の路線網を持つ近鉄自体の経営維持に欠かせない特急料金収入の大幅減につながり、結果として近鉄自体の経営行き詰まりをもたらしてしまうことは十分に考えられますね。
現時点では、リニア開業が近鉄に与える影響に関する言及について、公式レヴェル(報道の類も含めて)では未だ聞かれませんので、私としては暫く静観していようと思っています。
投稿: 南八尾電車区 | 2012年1月 7日 (土) 12時05分