九州新幹線鹿児島ルート全線開業「3月12日」を軸に調整…JR九州、JR西日本。来春のJRダイヤ改正に合わせるか
今日(8月12日)、山陰本線「鎧~餘部」間に架かる余部橋梁が正式に2代目新橋梁に架け替わり、1番列車が無事に通過───これはまさしく歴史的な瞬間でした。
その、但馬の地で歴史的瞬間を迎えた今日、来年(2011年)3月の全線開業予定に向けて着々と準備が進められてきている九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)に新たな動きが見られました。
熊本の地元紙・熊本日日新聞Web版が今日付で掲載した『九州新幹線全線開業、3月12日を軸に調整』が伝えるところによると、九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業時期に関し、JR九州とJR西日本は開業日を「3月12日」とすることを軸に沿線自治体などとの調整に入っていることを明らかにしました。
現在はJR内部の営業部署と運行関係部署の間で開業日を見据えたすりあわせ作業に入っているとのことで、今後、国(国土交通省)やJRグループ全体などとの調整を経て、9月頃をめどに全線開業日を正式に決めるとしています。
この九州新幹線・鹿児島ルート全線開業に於いては、先行開業区間(新八代~鹿児島中央)を含めた九州新幹線自体はいうまでもなく、新たに並行在来線の扱いを受ける鹿児島本線「博多~八代」間を初めとする九州島内の在来線についてもダイヤ編成上の影響を受けることは明らか。
特に、新たに並行在来線の扱いを受ける鹿児島本線「博多~八代」間に関しては、引き続きJRの路線として運営継続されるものの、まず新幹線の一部として暫定的に運行されてきた「リレーつばめ」は当然のことながら廃止、そして運転区間の殆どが並行する新幹線と被ってしまう特急「有明」も基本的に廃止の方向を打ち出してきているほか、普通列車関係(快速含む)も大幅に変わることも想像するに難くないところでしょう《具体的にどう変わるか等は情報として未だ何も入ってきていないので何ともいえませんが…》。
また、「リレーつばめ」廃止により余剰となる787系特急形電車(いわゆる「つばめ型車両)は日豊本線・鹿児島口に転属されて特急「きりしま」に充当されることが既に決まっている他、同じく日豊本線の小倉口では後記する山陽新幹線の「さくら」運転開始などに伴うダイヤ編成上の影響を受けることが予想されるところから、日豊本線の列車ダイヤもまた、ほぼ全線にわたって、鹿児島ルート全線開業のダイヤ編成上の影響を受けることになりそうです《787系が転属されるとの話があるにもかかわらず何の動きを見せない特急「ひゅうが」の今後も気になるところですが…》。
鹿児島本線と日豊本線のいわば橋渡し役を果たす2つのローカル線(久大本線・豊肥本線)に関しても、特にこれら2つのローカル線を走り新幹線駅と接続する特急列車(「ゆふいんの森」など)を中心に影響が及ぶことが予想されます。
鹿児島ルート全線開業によって九州新幹線と直接つながることになる山陽新幹線に関しては、山陽・九州両新幹線を直通する「さくら」が新たに設定されることなどから、こちらもダイヤ面で大きな影響を与えることは間違いないところでしょう。
そうなると、岡山で接続する四国方面特急列車(「しおかぜ」・「南風」など)のダイヤにも影響が及ぶことになるでしょう。
そして、東海道新幹線と山陽新幹線との結節点である新大阪駅を介しての、東海道新幹線の列車(特に新大阪止めとなる列車)と「さくら」を初めとする新大阪駅下り始発列車との接続というものをある程度考慮する必要も出てくるでしょう。
最近まで知りませんでしたが、JR東海でも新幹線を利用した九州観光キャンペーンを展開しており〔→『九州行くなら、新幹線。』〕、キャンペーンに関連する旅行プランの中には熊本を目的地とするものも含まれていることから〔さすがに鹿児島を目的地とするものは見当たりませんでしたが…〕、新大阪、或いは博多(東京・名古屋~博多直通「のぞみ」に限る)に於いて九州新幹線に乗り入れる新幹線列車との接続も考慮してくれるものと期待できるところですね。
以上のことから、この九州新幹線・鹿児島ルート全線開業が及ぼすであろう列車ダイヤ上の影響は結構広範囲にわたることが予想され、よって来春施行されるJRグループ定例ダイヤ改正に開業時期を合わせる(というか”定例ダイヤ改正”という機会を利用する)のが妥当であるといえますし、前出の熊本日日新聞Web版掲載記事でもその公算は大きいと報じてきています。
但し、現時点では、全線開業日として一応「3月12日」を軸に調整するとしているものの、新博多駅ビル開業などの絡みから、1週間程度ずらす案も浮上している模様だとも報じられています。
ここで、今年を含めた最近5年間のJRグループ定例ダイヤ改正施行日について見ていきますと・・・
2006年(平成18年)…「3月18日(土)」 2007年(平成19年)…「3月18日(日)」 2008年(平成20年)…「3月15日(土)」 2009年(平成21年)…「3月14日(土)」 2010年(平成22年)…「3月13日(土)」 |
今年と昨年に関しては第2土曜日にあたっていますが、2006年から2008年までは第3土曜日または第3日曜日にあたっていました。
先にも記していますが、今後、JR九州とJR西日本は、国やJRグループ全体などと協議を重ねた上で、鹿児島ルート全線開業の日取りについて9月頃をめどに正式に決めるとしています。
このうち、JRグループ内に於いては、九州新幹線・鹿児島ルート全線開業と同時期に予定されているものとして、他には東北新幹線に於けるE5系新幹線車両の新規投入や、北近畿エリアを走る電車特急(「北近畿」・「きのさき」など)向けに新たに設計された287系特急形電車の新規投入、東海道・山陽本線の京阪神エリアや阪和線系統向けに新たに設計された225系近郊型電車の新規投入などがあり、これらの中には従前からのダイヤの変更を伴うものもあるかもしれません。
また、旅客列車と共にJR旅客6社のレールを使って全国規模で運行している貨物列車についても別途ダイヤの改正が計画されていることでしょう。
それらもひっくるめた上で協議が進められるものとみられますので、その過程で、来年のJRグループ定例ダイヤ改正の施行日として、前記の通り「3月12日(土)」で決まる可能性もありますし、1週間先送りされた「3月19日(土)」で決まる可能性もある───先に示した最近5年間のダイヤ改正施行日から考えれば、どちらの日取りで決まってもおかしくないところですし、こればかりはJRグループ内の協議の行方を見守るほか無いところですね。
まずは9月頃に発表されるであろう、九州新幹線・鹿児島ルート全線開業日に期待していましょう。
そして、改正後のダイヤを掲載する時刻表の入稿締め切り(約2ヶ月前)を考えれば、10月頃から本格的なダイヤ作成作業に入るものと思われ、12月中旬ぐらいには鹿児島ルートの具体的なダイヤ組成概要や、その他のJR線の改正概要が発表されることになると思います《今春施行されたJRダイヤ改正は昨年の12月18日(金)にその概要が一斉に発表されていることから、来春施行分に関しては12月17日(金)頃に概要が発表されるものと思われます》。
但馬の地で歴史的瞬間を迎えた日に、別の歴史的瞬間に向けての新たな動きが確認された───何だか感慨深いです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『ダイヤ改正の舞台裏 【JR横須賀線・武蔵小杉駅】』
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
←ソーシャルブックマークです
←ランキング参加中。各1クリックご投票を!
【関連記事(九州新幹線・鹿児島ルート関連)】
「九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)関連記事専用リンク集──「2011年3月12日全線開業」に至る軌跡」
« キハ189系特急形気動車、既に5本出場済みか…特急「はまかぜ」向け新車。”撮り鉄”対策で非公開?《車番一覧も》 | トップページ | 余部橋梁の2代目新橋梁、早速ライトアップ・・・開通初日(8月12日)の夜、真夏の夜の”未来鉄路”。地元住民等の手で »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« キハ189系特急形気動車、既に5本出場済みか…特急「はまかぜ」向け新車。”撮り鉄”対策で非公開?《車番一覧も》 | トップページ | 余部橋梁の2代目新橋梁、早速ライトアップ・・・開通初日(8月12日)の夜、真夏の夜の”未来鉄路”。地元住民等の手で »
なかなか開業日を決定するのは難しいところではないかと思いますね。
商業施設の場合、最近のアウトレットモールや大型SCの開業実績を見ると週末開業だと激しく混雑することを懸念しているのか、木曜や金曜あたりにする事例が多いのではないでしょうか。
実例としては、規模は小さいですが小倉はダイヤ改正日と同時にアミュプラザを開業させました(1998.3.14改正)。この改正自体、そんなに大きなものではありませんでしたが…
新博多駅ビルだけではなく、大阪駅でも北側の駅ビル開業日程も無視できないと思われます。
1997年、京都駅ビルは7月12日に駅施設だけ開業、8月30日(?)にホテルグランヴィアが開業、そして9月11日に伊勢丹とザキューブができてグランドオープンを迎えました。駅ビル開業と商業施設開業の時期をずらしています。
土曜にこだわるとして3月5日か12日に先に開業させて九州新幹線と新快速全12連化で準備を整え、大阪と博多の駅商業施設開業は3月17日~19日あたりが混乱と混雑を最小限に抑えられるのではないかと思えます。
投稿: ああああ | 2010年8月13日 (金) 02時05分
「ああああ」さん、こんにちは。
詳細な見解をありがとうございます。
う~ん、確かに鉄道の開業日と商業施設の開業日をずらすというのは、混雑緩和の観点から、一理あるように感じます。
現状では、大阪駅に関してはまだ具体的な完成時期が示されていませんが、博多駅の新駅ビル(JR博多シティ)に関しては鹿児島ルート全線開業前にオープンさせると既に表明されていて、6月下旬時点での工事進捗率約7割(外装工事はほぼ終了)との地元メディア報道もあったりしますので、鹿児島ルート全線開業の数日前ぐらいにグランドオープンさせる腹積もりでいるのではないか、と思うところです。
何はともあれ、まずは9月頃予定されている全線開業日の公式発表に耳を傾けていようと思います。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年8月14日 (土) 15時06分