試験走行いよいよ開始…鉄道・運輸機構､九州新幹線・鹿児島ルートの建設工事区間（博多～新八代）｡まず熊本から

　ＮＨＫを初め、各種メディアがこぞって報じてきている様子ですね《私もＮＨＫの昼のニュースで見ました》。

　来年春に控える歴史的瞬間に向けての、大きな第一歩。

　来年（2011年）３月に全線開業予定の九州新幹線・鹿児島ルート（博多～鹿児島中央）の、建設工事区間（博多～新八代）に於ける試験走行（試運転）が、今日（８月31日）から開始となりました。

　今日は南方に車両基地を控える熊本駅から、鹿児島ルート全線開業のために従来駅（船小屋駅）を南方向に移設させた上で新幹線乗換駅としてリニューアルされることになっている筑後船小屋駅に向けて試運転が行われ、起点となった熊本駅新幹線ホームには、熊本県知事や、鉄道建設・運輸施設整備支援機構（鉄道・運輸機構）と九州旅客鉄道（JR九州）の両関係者、一般公募で選ばれた地元住民（親子連れ）らによるギャラリーなどが集結して歓迎式典（出発式）が挙行されました。

　熊本県知事や鉄道・運輸機構の現場責任者（九州新幹線建設局長）の式辞などの後、機構とJR関係者らがテープカットを行い、10時58分、地元高校生たちによる和太鼓演奏が鳴り響く中、今日の試運転終点である筑後船小屋に向けて出発していきました。

　今年12月４日に延伸開業予定の東北新幹線「八戸～新青森」間に於いて去る４月13日に始まった試運転と同様、今日から時速30キロメートルの低速で走行し、駅のプラットホームとの隙間の大きさや停車位置の確認などといった地上施設面との摺り合わせや、信号・通信設備の正常動作確認などが行われることになっています。

　この試運転は、前記の東北新幹線・延伸区間の時と同じく、建設主体である鉄道・運輸機構が中心となって行われるわけでありますが、東北新幹線・延伸区間に於ける試運転開始の際にはＪＲ東日本管轄新幹線群で運用される高速検測車両「Ｅａｓｔ－ｉ」が振り向けられて未明のうちに実施されていたのに対し、今回始まりました鹿児島ルート・建設工事区間に於ける試運転に際しては、熊本総合車両基地に搬入されたN700系”青磁”仕様量産車両・ＪＲ九州保有分のうちの一編成が振り向けられ、華々しい雰囲気の中、試運転開始となりました。

　この処遇の違いは一体どこから・・・と一瞬首をひねってしまった私。

　勿論、去る４月の東北新幹線・延伸区間に於ける試運転開始の際にも、未明時間帯にもかかわらず、出発地点である八戸駅新幹線ホームに於いて、JR関係者らを招いた上で、一通り式典を開いていましたけどね。

　恐らくは、試験走行に使用する車両が何処からやってきたか、によるものであるように思えてきます。

　４月から始まった東北新幹線・延伸区間に於ける試運転では前記の「Ｅａｓｔ－ｉ」車両が最初に入線したわけですが、既営業区間内にあたる宮城県内に所在する新幹線総合車両センターから出張する格好で来る必要があったとみられることから、新幹線営業運転の邪魔にならぬよう深夜時間帯に於ける移動そして試運転を余儀なくされたと考えられます。

　尤も、試運転開始前に陸送などの手段で新青森駅近くに所在する車両基地に試験走行で使用する車両を予め入れておけば、試運転開始当日の昼間とかに、新青森駅新幹線ホームに於いて、工事関係者やJR関係者、一定数のの市民らを招くなりして盛大に式典を開きながら試験列車を送り出すことも可能だったのかも知れませんが───まぁ結果論で言ったところでどうしようもありませんけどね。

　一方、今日から開始された九州新幹線・鹿児島ルートの建設工事区間に於ける試運転では、建設工事区間内に所在する熊本総合車両基地に７月以降搬入されてきているN700系”青磁”仕様量産車両編成のうちの１編成が試験列車として振り向けられたものとみられますが、営業中の区間ではないことから、今回のように、華々しい歓迎セレモニーを受けながら、試運転を開始出来たということです。

　で、この後の予定でありますが、９月２日に筑後船小屋から新鳥栖まで、９月３日には熊本から先行開業区間北端にあたる新八代までの試験走行が予定されています。

　そして10月初め頃には、深夜時間帯に、山陽新幹線との結節点となる博多への乗り入れが予定されています。

　また、鳥栖市Ｗｅｂサイトを通じて明らかにされているところによると、鉄道・運輸機構が主体となって実施される試運転は11月19日まで44日程度実施されることになっており、このうち10月以降に予定されている通算18日間は「博多～熊本」間に於ける夜間走行運転となっています。

　速度については30km/hの低速から初めて段階的に速度を上げていき、11月中には鹿児島ルート全線通しで営業最高速度である260km/hによる試運転が予定されているのだとか。

　鉄道・運輸機構主体による試運転が終わると、いよいよＪＲ九州による試運転へと移行し、運転士の習熟を兼ねた試験走行が繰り返されることになるでしょう。

　九州新幹線・鹿児島ルート全線開業という歴史的瞬間に向けて、また一歩、大きく踏み出しましたね。

　このあとには、９月中に予定されている全線開業日の正式発表や、12月中旬に予定されている開業ダイヤの概要発表（運賃・料金も？）などが控えており、益々目が離せないところです。

◎ 参照記事（本文中紹介分を除く）
『九州新幹線「さくら」、試運転スタート　熊本駅を出発』
『さくら：ゆっくり試験走行　熊本－筑後船小屋間』
『九州新幹線「さくら」未開通区間に初登場』
《→『九州新幹線「さくら」未開通区間を走る』》
『「さくら」初乗り入れ　九州新幹線、熊本から試走』
『Ｎ７００系「さくら」試験走行＝九州新幹線区間で初』
『九州新幹線「さくら」初乗り入れ　来年３月に全線開業』
《→『「さくら」初の乗り入れ走行　九州新幹線、確認試験』》
『九州新幹線初の試験運転　熊本―筑後船小屋』
《→『さくら試運転　発車オーライ　熊本駅に初の乗り入れ　市民「早く乗りたい」』》
『「さくら」試験運行スタート　九州新幹線』
『新幹線「さくら」、九州を初試走　熊本駅で発進式』

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