オーストラリアも高速鉄道プロジェクト本格始動へ──「ブリスベン~シドニー~メルボルン」間。JR東海も”参戦”表明
今朝方、某証券会社Webサイト内にて目にした情報なのですが・・・
今頃は真冬を迎えているであろう南半球の大国、オーストラリアに於いて、今月に入ってから、大陸東海岸の主要都市を結ぶ高速鉄道計画をスタートさせてきています。
そしてこの高速鉄道計画に、日本からも、アメリカ高速鉄道プロジェクトへの新幹線やリニアの売り込みに心血を注いできている東海旅客鉄道(JR東海)などが、新幹線技術の売り込みに乗り出してきています。
今回持ち上がったオーストラリアの高速鉄道計画というのは、何れもオーストラリア大陸東海岸に位置する、第3の都市ブリスベン(ブリスベーン)から最大の都市シドニー、そして首都キャンベラを経て第2の都市メルボルンに至る全長約1700kmの高速新線で、総工費として400億豪ドル(約3兆円)との試算結果も報じられています《但しオーストラリア政府としての公式な全区間総工費については未だ発表無し;余談ながら、JR東海が自己負担すると表明している「東京~名古屋」間のリニア中央新幹線の総工費より約2兆円安い…》。
この高速鉄道計画自体、実はオーストラリア政府の諮問機関の一つ、インフラストラクチャー・オーストラリア(IA)が去る2008年12月に出した開発の承認に関する中間報告の中で、オーストラリア政府が出資する「ビルディング・オーストラリア・ファンド(オーストラリア国づくり基金)」から資金を拠出されるべき案件候補の一つとして選定されています。
このことを踏まえているのかどうか定かではありませんが、オーストラリア政府も、この高速鉄道プロジェクトについて、従前からの航空機中心の旅客輸送に伴う地球温暖化ガス排出を削減するための策と位置づけており、今年中にもシドニー近郊の約150kmの区間で事業化調査に着手するなど、本腰になって取り組む姿勢を見せてきています。
今月21日にはオーストラリア総選挙を控えていますが、環境政策への取り組みも争点の一つとされていることを踏まえ、政権与党の労働党は高速鉄道整備を公約として掲げている模様。
これに対して野党側も、高速鉄道の地球温暖化ガス排出量が、飛行機の4分の1、自動車の3分の1以下とされていることから、歓迎の姿勢を見せているとのことで、これにより、選挙結果に関わらず高速鉄道プロジェクト自体は進捗する可能性大、と報じられています。
こうしたオーストラリア政府の動きに呼応するかのように、地元の鉄道業界関係者が、日欧の鉄道関連企業の関係者を招いて、オーストラリア国内で初めてとなる本格的な高速鉄道に関するセミナーを今月24~25日にシドニーに開くと表明しています。
日本からはJR東海を初め、国土交通省、そして鉄道車輌製造に関わっている日立製作所、東芝、三菱電機が参加を表明。
このうちJR東海と国土交通省の担当者が新幹線技術について講演を行い、日立と東芝、三菱は日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けて技術展示を行う・・・としています。
セミナーにはフランスのアルストム(恐らく…)など欧州企業も参加予定とのことで、今後、受注を巡って日欧間の激しい戦いが繰り広げられることになりそうです。
ここで、今回明らかとされているオーストラリア高速鉄道の概要について・・・
最高速度としては350km/hを想定、「ブリスベーン~メルボルン」間は現地の在来線で丸1日以上かかるといわれますが、この高速鉄道の開業により7時間以内に短縮出来るといわれており、また「メルボルン~シドニー」間に於いては、1日約70便の航空便が飛び交い、これは世界で4番目に高い頻度といわれるところですが、高速鉄道の開業により航空旅客の約半数が乗り換えるとの調査結果も挙がってきているのだとか。
予定線ルートに於ける地質・地形データの類に関して、現時点では明らかにされていませんが、ウィキペディアで調べる限りでは、大陸東側にグレートディバイディング山脈がそびえるものの、大陸全体では起伏が小さいといわれ、日本の国土に見られるような山だらけで起伏に富んだ地形とは異なっている模様。
加えて地震発生頻度も日本と比べて低い───勿論皆無というわけではありませんが。
JR東海を初めとする日本側は、今度のオーストラリア高速鉄道の受注を巡り、欧米の企業と厳しい戦いを強いられることが予想されるところですが〔特にコスト面で〕、日本の鉄道好きの一人として、受注を勝ち取れるよう祈るばかりです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『豪州に高速鉄道計画 JR東海など売り込みへ』
『【オーストラリア】諮問機関、東部州高速鉄道建設など承認[運輸]』
『新たな公的インフラ整備機関の委員の半数を民間事業者が占めることに対する賛否両論』
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