トルコ高速鉄道の運用車両と地上構造物等を『YouTube』で…2009年3月開業。車両加速性能はE5系と700系の間か
トルコ西部、エーゲ海沿いに位置するイズミル(Izmir)市近郊を走るトルコ国鉄(TCDD)の近郊路線向け信号制御設備で日本の信号機等メーカー・日本信号が大手商社・丸紅と共に受注したとのニュースを通じて知るところとなった、トルコ国鉄によるトルコ高速鉄道計画(プロジェクト)。
昨年(2009年)の3月13日、首都アンカラ(Ankara)と、トルコ北西部の産業都市エスキシェヒール(エスケシェヒル;Eskişehir)を結ぶ245kmの区間で、高速鉄道として初めての営業運転を開始していますが、実はその約2年前の2007年4月23日から同区間に於いて試運転を行ってきています。
この「アンカラ~エスキシェヒール」間に於ける試運転、そして昨年3月に開業を迎えた現地の様子について、実は『YouTube』にも収録動画として幾つか寄せられてきているのが見えます。
そこで、今度のトルコ高速鉄道計画に於いて、実際にどのような車両が運用されているのか、そして高速新線として建設された軌道の様子はどうなのか、それらをご紹介すべく、以下にて『YouTube』に寄せられてきている関連動画の中から幾つかをピックアップしてみました。
なお、字幕及び会話については全て現地公用語であるトルコ語となっていますので、そのあたりは予めご了承のほどを〔勿論私自身も「???」です(爆)〕・・・
【試運転期間中】
【開業前後…】
13 Mart 2009
Eskisehir-Ankara Hızlı Treni sefere Başladı. Açılış Töreni
《エスキシェヒール駅に於ける開業式典。祝辞、テープカット等》
以上の動画からおわかりのように、今度のトルコ高速鉄道に於いては、現時点では動力分散方式である電車車両が投入されてきています。
つまり、TGV運用車両に代表される動力集中方式では無く、日本の新幹線車両に代表される動力分散方式による高速電車の仲間に属している、ということです。
尤も、将来には、後記で触れていますように、韓国とトルコの合弁企業が製造する、動力集中方式によるとみられる高速車両の投入も計画されている模様ですが・・・
前回掲載記事の中でも少し触れていますが、このトルコ高速鉄道プロジェクトでは74編成分の高速鉄道向け車両の発注も計画されており、今後10年間の総投資額は120億ドル(約1兆250億円)に上ると報じられてきています。
その74編成の中には、スペインの鉄道車両メーカーCAFが製造するHT65000系高速電車のほか、韓国の鉄道車両メーカー・現代ロテムと地元トルコの鉄道車両メーカー・ツヴァサス(TÜVASAŞ)社の合弁で設立されたユーロテム社がライセンス生産するHSR-350x(韓国KTX現用車両と同じく動力集中方式?)も投入されるそうですが、昨年3月に「アンカラ~エスキシェヒール」間で最初の高速新線が開業した時点ではスペイン製のHT65000系高速電車のみ投入されてきているとのこと。
そのスペインCAF社が製造したHT65000系高速電車というのが、先ほど示しました5本の動画の中で映っていました、白地を基本とした車体ということになるわけです。
このHT65000系高速電車、同じくスペインCAF社が2005年から2006年にかけてスペイン国鉄(レンフェ、Renfe)向けに製造・納車しているRenfe120系電車をベースに造られたもので、通常は6両1ユニットで運用されますが、2ユニットを連結して12両編成として運転することも可能だとか《上で示した映像では6両編成1ユニット単独で運転されているのが見えますね》。
最高速度は250km/hで、加速度は0,48m/s²───ちなみに加速度に関しては、単位換算から、日本の新幹線車両で言うならばE5系新幹線電車と700系新幹線電車の間ぐらいの性能を有していることになります《参考までに、300系・E2系など「1.6km/h/s≒0.432m/s²」、E5系「1.71km/h/s≒0.4617m/s²」、700系(E・B編成)「1.96km/h/s≒0.5292m/s²」、700系(C編成)「2.0km/h/s≒0.54m/s²」》。
つまり、動力分散方式の高速電車としては少し高めの加速度性能を持っていることになりますね。
車内設備について・・・
座席クラスについては日本のJR線でいうところのグリーン車と普通車の2段階存在する模様で───尤も現地ではどのようなクラス呼称となっているのか、皆目わかりませんが・・・
このうち普通車に関しては、集団見合い方式の「2×2」配列とみられる、ブルー基調のモケットが張られた座席となっていますが、この”集団見合い方式「2×2」配列”の座席配置自体はTGVやユーロスターの普通車(2等車)などでも見かけるものです。
また、日本のグリーン車に相当する車両には、集団見合い方式の「1×2」配列とみられる、革張り枕(頭当て)付き仕様と思われる座席となっていて、座席背面上部には小型液晶モニターが一つ一つ装備されています《これとは別に通路真上にもモニターが1両につき2~3台程度設備されていますが、これについては普通車にも設備されているのが、先に示しました映像の一部で見えました》。
それと、供食設備として、カフェテリアも備えられているのが見えました。
車両のことで長々と書いてしまいましたので、少し外のほうに視線を移してみますと・・・
今回、中国の手によって建設が進められているというトルコ高速鉄道でありますが、その高架線などの地上構造物を眺める限り、造りとしてはしっかりしているかな、という印象を受けるところです。
ただ、外見では”しっかり”と造られているように見えても、失礼な言い方になってしまいますが、果たして中身も含めて本当にしっかり造られているのか───鉄道関係ではありませんが、中国国内でちょっと信じられない事例がネット上に寄せられてきているのが見えたものですから、つい気になってしまって《→『現代中国の実相が悲しいほど象徴的に』・『上海のマンション安全か?・手抜き工事とは』とか(中国国外でこのようなことが無いことを祈るばかりです…)》・・・
そう懸念するのは、地震対策がきちんと施されているのか否かによるものです。
実はトルコも、幾つもの海底プレートが絡み合っている上、国内にも数多くの断層を抱えるなど、日本と同様、地震発生の条件(というかファクター)が揃ってしまっています。
損害保険料率算出機構Webサイト内に掲載されている『【地震保険研究12】海外地震保険制度~トルコ共和国 2006年調査~』の中の『第2章 トルコの地震危険』によると、1900年から2003年までの間に発生した、死者を出したM6以上の地震は72回に上るなど、トルコもまた日本と同じ地震大国なのです。
そんな、過去に大地震が幾度も発生している国土に敷設される高速新線なわけですから、たとえ将来に大地震が襲来したとしても、高架橋などの地上設備が崩壊しないぐらいしっかりとした造りとなっていることが求められているはずですね。
勿論、今回の建設にあたっては中国政府からも一定額の出資がありますので、国家戦略(というか国家の威信)の絡みなどから、建設予定ルート上に於ける地質調査などを十分に行った上で、基礎部分からきっちりと工事を行い、且つ一定量の鉄筋を入れる等の耐震設計をバッチリと施していることと思いますが〔というかそうしていなければならない〕───まぁ、ここはとりあえず、これら最低限すべきことはきちんと為されているものと信じましょう《そう祈るしか術がない…》。
今頃はイスタンブール(イスタンブル、İstanbul)を目指して建設工事が進捗していることでしょうし、また今年中に完成予定と伝えられてきている、首都アンカラと同じアンカラ県内に位置するポラトリ(Polatlı)で南に分かれて古都コンヤ(Konya)に至る高速新線については、建設工事もそろそろ終えて試運転に入っていることでしょう。
1950年以降長らく道路そして自動車に頼り切っていた、トルコに於ける人と物の流れ───今度の高速鉄道プロジェクトによってその人と物の流れに変革をもたらすことが出来るのか、トルコ国鉄の手腕が問われています。
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
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スペイン製だけに闘牛車両…
(゜o゜)\(-_-)
いやいや特急車両。
イスタンブールに乗り入れないと…
アンカラ、実際の規模はさておきキャン◯◯とかブ◯◯◯アを連想してしまうのは私だけ?
投稿: とんじ | 2011年10月26日 (水) 15時17分