「『みずほ』は嫌」鹿児島県知事が不満…山陽・九州両新幹線直通最速達列車。”鹿児島”を連想する列車名を求めて
来年(2011年)3月全線開業予定の九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)を巡って、度重なるJR九州に対する「さくら」や「つばめ」の停車請願を背景に、ダイヤ作成の期限が迫る中で業を煮やしたJR西日本とJR九州が急遽「さくら」を上回る、新大阪と鹿児島中央を3時間台後半(3時間47分)で結ぶ予定の山陽・九州両新幹線直通最速達列車の設定に動いていることが判明したのは先月(8月)24日のこと。
そして、この最速達列車に付与されるべき列車名として、今のところは、「さくら」と同じく本州と九州を結ぶ夜行寝台ブルートレインに付与されていた列車名の一つである「みずほ」が有力視されていることが既に明らかとなっています。
この「みずほ」と名付けられるのが有力視されている山陽・九州両新幹線直通最速達列車に関して、去る8月25日、鹿児島ルートの中で唯一佐賀県内に所在する新鳥栖駅に停車するよう請願すると佐賀県知事が定例記者会見の席上にて表明、ともすればJRサイドの狙いに反するかのような行動ぶりに、正直私も辟易とした思いにさせられたものでしたが〔尤もリニア中央新幹線計画に対する長野県の姿勢と比べればだいぶマシですが…〕、今度は「みずほ」という列車名に苦言を呈するところが現れました。
鹿児島ルートの終点駅で先行開業区間の終点でもある鹿児島中央駅を擁する鹿児島県です。
鹿児島県知事曰く「熊本止まりだった列車の名前だ。相談を持ちかけられていたら否定していた」───そして鹿児島県内では、この「みずほ」という名前に、熊本止まりにされるのではないか、との懸念が広がっているのだとか。
確かに夜行寝台列車としての「みずほ」は、1961年10月1日に不定期の寝台特急として登場してから、翌年(1962年)の定期化を経て、1994年12月3日に廃止されるまで、鹿児島本線に於いては熊本止まりで終始していました。
そのため「『みずほ』=鹿児島まで行かない(或いは”熊本止まり”)」というイメージが鹿児島県内に於いて一人歩きしていたのかもしれないですね。
尤も昨年のうちに山陽・九州両新幹線を直通する新幹線列車の列車名として決定された「くら」にしたって、元々は鹿児島ではなく長崎・佐世保に向かっていたブルトレに付与された名前なのですが───ただ、関門トンネルが未だ存在していなかった戦前期に於いて運転されていた第3・4列車「櫻(さくら)」は第1・2列車「富士」に次ぐ存在とされていましたから、その筋から考えれば、おかしいことではないのかな。
JRサイドからは、現在「みずほ」という名前が有力視されているこの山陽・九州両新幹線直通最速達列車に関して「熊本止まりにする」とは一言も聞こえてきておらず、また「みずほ」という名前にしても現時点では”有力視されて”いるのであって、この名前に”決定された”わけではありません。
つまり「みずほ」以外の列車名が採用される可能性が今も残っているわけです───ただ、来年3月の全線開業予定に間に合うよう、指定席券前売開始時期も考慮しながら、『時刻表』に開業ダイヤを掲載させるためには、遅くとも今月中にはダイヤ作成のための準備を整えておく必要があるとみられ、時間的余裕はあまり残されていないことでしょう。
それで、鹿児島とを結ぶ新幹線に付与するにふさわしそうな列車名として考えられるのが・・・
「なは」、「かいもん」、「あかつき」、
「しろやま」・・・
あたりかな、と思ったりします。
このうち「なは」については、2004年3月の九州新幹線・鹿児島ルート「新八代~鹿児島中央」間開業直前まで、新大阪と西鹿児島(現・鹿児島中央)を結んでいた寝台特急(「なは」自体は2008年3月14日発車分まで存続)であり、東京と西鹿児島を結んでいた寝台特急「はやぶさ」が1997年11月29日に熊本止まりとされてからは、西鹿児島まで乗り入れる唯一の夜行寝台特急列車として存在感を示していました。
また「かいもん」(→詳細はこちらから)については1959年に博多と西鹿児島を結ぶ準急列車として誕生し、かつての鹿児島本線のほぼ全線(正確には「門司港~西鹿児島」)を通しで走る夜行急行列車としては、1993年に「ドリームつばめ」として特急に格上げされるまで、生き続けてきました《私自身も乗車した記憶有り》。
そして上記で列挙した列車名の中の「あかつき」について、廃止時点では関西と長崎とを結ぶ夜行寝台として知られていたわけでありますが、実は東海道新幹線開業の翌年(1965年)から山陽新幹線全通前夜(1975年3月9日)までの約9年半にわたって、長崎行きの編成と共に西鹿児島行きの編成も連結しており、最盛期には西鹿児島行きだけでも3往復(「あかつき」全体で7往復)設定されていました。
「しろやま」も、1963年10月1日の運転開始から1972年3月15日の列車名変更(→「屋久島」)まで、新大阪(当初は大阪)と西鹿児島を結ぶ夜行急行の列車名として使われています。
鹿児島をイメージしてくれそうな列車名としては、他にも「桜島」も出てきそうなところですが、漢字表記というのがちょっと引っかかりそうなところ《ひらがなで「さくらじま」とすればよさそうなものなのですが、字数(5文字)からちょっと微妙かなぁ…》。
更には、1950年11月2日に東京と鹿児島を結ぶ急行列車が「筑紫」の名称で運転開始し、約6年後にあたる1956年11月9日に実施された改称によって列車名としてデビューした「さつま」もありますが、現在では大阪・梅田と鹿児島を結ぶ夜行高速路線バスの名称として使われてしまっているので、うっかり使おうならバス会社から訴えられそう・・・
というわけで、現時点では「みずほ」が付与されるべき列車名として有力視されている、新大阪と鹿児島中央を3時間台で結ぶという山陽・九州両新幹線直通最速達列車───ダイヤ作成のタイムリミットが刻一刻と迫り、佐賀県からの停車請願も飛び出す中、JR西日本とJR九州が「さくら」と共にどう開業ダイヤに組み込むのか、更に列車名として最終的に何が採用されるのか、目が離せないところですね。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『「熊本で止まってたやつ」新幹線名に知事不満』
《→『鹿児島知事、新幹線「みずほ」名称に不満』》
『鹿児島知事 「みずほ」に不快感 東京-熊本の寝台特急と同名 新幹線「地元発着に」』
『九州新幹線で鹿児島県知事「みずほ」に不満 熊本発着を想起?』
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