「青春18きっぷ」今冬分ようやく発売へ・・・JR旅客6社。”区間外乗車”特例応用(?)の新特例の一方で10日間短縮
2月にまとめて発表された今年発売分について今冬分だけが”発売未定”の扱いとされ、7月から8月にかけての今夏分発売、10月初旬から中旬にかけての「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」発売、そして『時刻表』11月号刊行を経てもなお発売の有無について公式に明らかにしてこなかった「青春18きっぷ」。
ついでに言えば、12月4日(土)に東北新幹線「八戸~新青森」間延伸開業に伴うJR東日本管轄エリアを中心としたダイヤ改正が公式発表されてからも「青春18」発売の有無については何のリリースもありませんでしたけどね・・・
それが、昨日(10月29日)の夜、ついにJR西日本Webサイト内リリース一覧に於いて『「青春18きっぷ」の発売について』なるリリース文書が項目として挙がっているのが見え、大いに目を引くところとなりました。
で、本来ならばそこで当該項目をクリックしてすぐに文書を開くべきところなのですが───精神的なブレーキがかかってしまって(自爆)
去る10月21日付けで当ブログに掲載した記事にて、真島満秀門下の鉄道写真家・山崎友也が今冬分「青春18きっぷ」PRポスター作成用写真の撮影のため現地に赴いたことを紹介し、今冬も引き続き「青春18」が発売となる可能性濃厚、と記しているにもかかわらず、文書を開くことに対するある種の恐怖心のようなものが湧いてきてしまっていました。
何だか合否通知の封を破るかのごとくの心理状態にあったような───でも、封を開けなければ全容が明らかにならないし前に進まない。
他のJR旅客会社各Webサイトのニュースリリース一覧も順次呼び出し、同じように『「青春18きっぷ」の発売について』なるリリース文書項目が挙がっているのを確認する等しながら心の準備を進め、そしてついに最初呼び出した、JR西日本ニュースリリース一覧に挙がっている『「青春18きっぷ」の発売について』のところをクリック、文書を開きました《他のJR旅客5社の「青春18」今冬分発売各リリース→北海道・東日本・東海・四国・九州》。
その結果はというと───2点を除き、発売額や有効回(人)数など、昨年(2009年)冬季発売分までと同じ内容にて発売するという内容となっていました。
昨年冬季分までの発売分と相違する「2点」というのは何かというと・・・
まず1点は発売期間と通用(利用可能)期間。
【2009年までの冬季分】 ◎ 発売期間…「12月1日~翌年1月10日」 ◎ 通用(利用可能)期間…「12月10日~翌年1月20日」 ↓ 【2010年冬季分(2010年→2011年)《※1》】 ◎ 発売期間…「12月1日~12月31日」 ◎ 通用(利用可能)期間…「12月10日~翌年1月10日」 |
【備考】 ※1=今冬分に即した表記方だと以下の通りとなる 発売期間「12月1日~12月31日」 通用(利用可能)期間「12月10日~2011年1月10日」 |
上記にて示していますように、発売期間・通用(利用可能)期間とも、前年比で10日短縮されており、年内限りの発売となってしまっています。
これは何を意味するものなのか───未だ続く「高速道路通行料金上限千円(休日特別割引)」と、今年6月から一部区間で施行された「高速道路無料化社会実験」の煽りをダブルで喰らって収益が落ち込んできていることによるものなのだろうか。
もしそうだとすると、これまで「休日特別割引」に対抗してJR旅客6社などが各種割引切符の類(JR西日本管内でいうところの「こだま指定席往復きっぷ」・「西日本パス」・「JR西日本フリーパス」など)を続々リリースさせるなどしてきた流れにある意味逆行する形となってしまうわけで、正直ちょっと悲しい気分にさせられそうなところがあります。
尤も別の要素に原因を求める動きも「2ちゃんねる」内に於いて見受けられるところですが───何はともあれ、ネガティヴな変更ではありますね。
もう1点は、12月4日(土)以降に青森県内に於いて初めて発生するJR”孤立”在来線2線と、他のJR在来線との相互通し乗車に関する特例事項が新たに定められたこと。
東北新幹線・新青森延伸に伴って新たに発生することになる並行在来線区間「青森~八戸」間が第3セクター鉄道「青い森鉄道」に移管されることになり、これによって東北本線の盛岡以北の区間が全て第3セクター鉄道線区間(「IGRいわて銀河鉄道」+「青い森鉄道」)となってしまう一方で〔東北本線は事実上盛岡が終点に…〕、新たに発生する並行在来線区間から分岐するJRの盲腸線2つ(大湊線・八戸線)については引き続きJRの路線として存続させることをJR東日本が表明───こうしたことから、「青春18きっぷ」今冬分以降の取扱についてJR旅客会社間での協議が持たれてきたとみられ、今冬分発売が長らく”未定”のままとなっていました《その協議に「青い森鉄道」や「IGRいわて銀河鉄道」も参加していたかどうかについては定かでありませんが…》。
そして今回、ようやく公式に発売を表明した「青春18」今冬分に於いては、次の特例が追加で定められました《以下に示す文章はJR西日本発出分リリース文書から引用したもの》。
青い森鉄道線の青森~八戸間、青森~野辺地間および八戸~野辺地間については、普通・快速列車に乗車して通過利用する場合に限り、別に運賃をお支払いいただくことなくご利用になれます。当該区間の青い森鉄道線で下車した場合、別に乗車区間の運賃が必要になります。ただし、青森駅、野辺地駅、八戸駅に限り途中下車することができます。・・・ |
実は、前記のJR東日本管轄エリアを中心とする12月4日(土)ダイヤ改正に於いて、新開発のハイブリット気動車「HB-E300系」充当による観光多客期臨時列車「リゾートあすなろ」2列車も設定されることになっており、今度の上記新特例の認定によって、このうちの新青森から青い森鉄道線経由でJR”孤立”在来線の一つである大湊線に直通乗り入れする「リゾートあすなろ下北」にも、当該列車の指定席券を別途購入することにより、乗車可能となります。
ここで、上記新特例記述を目の当たりにしたとき、ふと旧国鉄時代から続いてきている、乗車券発売に際してのある特例事項が思い浮かんできました。
「区間外乗車(折り返し乗車)」に関する特例です。
これは旧国鉄時代から引き継がれてきている「旅客営業取扱基準規程」(JR東海に於いてのみ「旅客営業取扱細則」)の中で定められているもので、関連する条文が3~4本存在しますが、その中で、同規程の第149条で定められている区間外乗車認定特例が、今度新たに定められた上記青い森鉄道絡みの特例に、考え方として、最も近いとみられます。
【旅客営業取扱基準規程・第149条】 次の各号に掲げる各駅相互間発着(規則第157条第2項の規定により当該区間を乗車する場合を含む)の乗車券を所持する旅客に対しては、当該各号の末尾かつこ内の区間については、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。 ・・・・・・ (6) 今宮または芦原橋以遠(大正方面)の各駅とJR難波駅との相互間[今宮から新今宮] ・・・・・・ |
【備考】 当該条文で規定する認定パターンは、実際には8つ存在するが、都合により他の7つは割愛させていただいた。 条文中に見える「規則第157条第2項」とはいわゆる”選択乗車”について定めている条文の一つで、大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券・回数乗車券に於ける”大回り乗車”を事実上認める根拠規定となっているもの。具体的な条文については『旅客営業規則(JR東日本版)・2-4-2=P11』を参照。 |
これは分岐駅(上表中では「今宮」)に於いて、乗継列車が停車しないか、或いは停車する列車の本数が僅少である場合に、途中下車をしない条件で、最寄りの停車駅までの区間外乗車を認めるというものとなっているわけでありますが、この条文に於ける考え方と、今回「青春18きっぷ」に於いて新たに定められた青い森鉄道絡みの特例の中身とが、形こそ違えど、極めてよく似ているのです。
なかでも「途中下車が出来ない」という点で共通しているところが大きいと考えています。
実際、以下のように応用が出来てしまいます。
【規程149条中に記載のパターン】 今宮または芦原橋以遠(大正方面)の各駅とJR難波駅との相互間[今宮から新今宮] ↓ 【今回の「青春18」新特例から】 ◎ 青森、新青森以遠(弘前方面)または油川以遠(蟹田方面)の各駅と野辺地以遠(大湊方面)または八戸以遠(鮫方面)の各駅との相互間[青森から野辺地、青森から八戸] ◎ 野辺地以遠(大湊方面)の各駅と八戸以遠(鮫方面)の各駅との相互間[野辺地から八戸] |
勿論、実際には「青春18きっぷ」自体に乗車駅や降車駅を定める決まりが存在しないことから、これらは便宜的なものに過ぎないわけでありますが、考え方としてほぼそのまま当てはまってしまうところです。
つまり、変な話、この「旅客営業取扱基準規程」第149条の考え方をほぼそのまま利用することで、「青春18きっぷ」今冬分発売に際して課題となっていた、青森県内に於いて新たに発生する第3セクター鉄道線への移管並びにJR孤立路線に対する対処に一定の目処を付けることが出来た・・・ともいえるでしょう。
規程第149条と相違する点といえば、折り返し乗車ではないこと、そして”区間外”とされている区間内で途中下車した際に別途支払うことになる運賃分がJRではなく「青い森鉄道」の収入となるぐらいかな・・・
なお、この青い森鉄道絡みの特例は「青春18きっぷ」独自のものらしく、それと引き換えになるかの如く、普通乗車券(回数乗車券も?)に於いては特例として新たに認められることが決まった「青森~新青森」間特急自由席利用について、「青春18」に於いては特例として認定されないこととなっています。
何はともあれ、旧国鉄から引き継がれたDNAがまた一つ、トクトクきっぷ販売に於いて新たに生かされた瞬間でもありますね《あくまで当方の推測ですが…》。
というわけで、10日間短くなってしまいましたが、とりあえずは今年の冬休みも引き続き、格安にJR全線普通列車を乗り継ぐ旅の実現となりますね。
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こんばんは。
2000年くらい(だったかな)では使用期間は1月10日までだった記憶があります。その後はあまり期間を気にしなかったのですが、今年使ってみて、「あれ?20日まで使えるんだ」と思った次第。
もともとは10日までだったはずです。いつしか延長されていたのでしょう。
また元に戻っただけだということです。
投稿: S県の人 | 2010年10月31日 (日) 23時18分
追記です。
20日までって本当に知らなくって、いつも10日までに使い切るつもりでいました。今年が初めてですね。10日より後で使ったのは。という考えていた私はどうなんですかね。おかしいですかね。
かつては本当に10日まででしたよ。あわてて只見線に雪の中乗りにいったりしたことがあります。他の人も同様でしたね。
投稿: S県の人 | 2010年10月31日 (日) 23時52分
S県の人さん、こんにちは、初めまして。
2本にわたってコメント下さっていますが、勝手ながら、ひとまとめにしてレスさせていただきますね。
冬季発売分の通用(利用可能)期間に関するご指摘を受けて、早速歴代の「青春18きっぷ」ポスターなどの実物を保存・展示している幾つかのサイトを巡り調べてみましたが、冬季分発売が始まった昭和59年(1984年)冬季発売分以来、今日に至るまで、発売期間の最終日「1月10日」と通用期間の最終日「1月20日」は変わっていないことがわかりました《「青春18」は昭和57年(1982年)に登場しましたが、登場初年と2年目(昭和58年…1983年)には冬季発売がありませんでした》。
勿論2000年(平成12年)冬季発売分についても然りです。
よって、今冬発売分で通用期間の最終日が「1月10日」に短縮変更されたのは、冬季発売分では初めてということになります《発売期間も短縮変更されていますが》。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年11月 3日 (水) 14時11分