新型直流特急形電車「287系」、ついに報道公開そして出場…JR西日本。来年に北近畿エリア、再来年に「くろしお」へ
既に各種メディアでこぞって報じてきている話題になりますが・・・
私もまた、この時を待ち焦がれていました。
JR西日本で、新型近郊形車両「225系」とほぼ同時期にプレス発表(正確には「225系」プレス発表の約半月後)されながらも、これまでなかなかその姿を見せようとしなかった北近畿エリア電化区間電車特急(「こうのとり」・「きのさき」など)向け新型直流特急形電車「287系」が、ようやくその姿を現してくれました。
当ブログでは、先日、新型近郊形車両「225系」の近況ということで久しぶりに近畿車輛の様子をネットを通じて眺めていてわかったことなどを記し、記事として掲載しました。
その中で、その近車敷地内に於いて、225系5000番台車両や山陽・九州両新幹線直通列車向けN700系”青磁”仕様車両などと共に、今回実車初お披露目となった「287系」車両もその姿を現していた旨のことを記しました。
その頃は阪和線系統向けの225系5000番台車両の出場ラッシュで、近車のみならず川重からも出場されていきました《尤も川重に関しては、225系5000番台車両の他、東京メトロ千代田線向け新型車両なども出場していましたが…》。
287系車両とみられる鋼体が初めて確認されたのは8月頃、とあるブログサイトに掲載された一記事からでしたが、当時、それが287系車両のものなのか、掲載されていた写真画像を一目見ただけでは正直判別はつきませんでした《素人目だから当たり前かも知れませんが…》。
その後1~2ヶ月ぐらい姿を現すようなことはなく、今月(11月)初めぐらいになってようやく287系車両とおぼしき塗装などが施された形で姿を現しました。
ここで初めて私もまた彼に対して期待を込めるようになってきていました。
そうしているうち、今月下旬に入ってからはその287系車両が編成組成を済ませた状態で出場線上に姿を現しているのが写真画像・動画双方で公開されるようになり、すわ出場間近か、と目を見張りました。
そしてついに、26日に近車敷地内にて報道公開となり、3日後の29日に出場、そのまま吹田そして湖西線方面に向けて公式試運転を行いました。
実車として姿を現した287系電車に関してですが、前面形状に関しては、似た感じの造りをしている681系や683系の貫通型前面形状と比較して、前照灯の位置が下のほうに移され、更に下の約4分の1を占める部分で膨らみが入るなどの造りをしているところから、眺めていて何となくユーモラスな雰囲気を醸し出してくれているような印象です《681系・683系の貫通型前面形状は前照灯間に帯を入れるなどして何処かキリッとした感じに仕上がっています》。
それと「前照灯+尾灯」の位置と前面形状全体の形態上の関係については、東京と出雲市・高松を結ぶ寝台特急「サンライズ」で使用されている285系寝台電車の前面形状とイメージ的に似ているような印象でした《尤も前照灯自体の形態は異なりますが…》。
車体側面については、窓下に焦げ茶色の細帯が入っていることを除けば、ほぼ683系と同じような印象を抱くところです。
そして、公式試運転の模様をとらえたという動画も『YouTube』に寄せられてきているのが見え〔→at京都・at近江今津〕、私も早速視聴してみましたが、発車の際の加速音(VVVF励起音を含む)が、先に相次いで出場していった225系ファミリーとよく似ているような印象を抱きました。
恐らくは225系に搭載された駆動装置と同類のものが搭載されているのではないかと───勿論特急用にチューンナップされているでしょうけれどもね。
というわけで、ようやく近車から出場し公式試運転に入った287系電車でありますが、当初発表されている北近畿エリア電化区間向けの他、阪和線・きのくに線(紀勢本線)を走る「くろしお」系統特急列車向けにも別途新規投入するみたいで・・・
このきのくに線に直通する特急「くろしお」に向けての287系新規投入の話は、私自身の場合、JR西日本の『11月定例社長会見』(11月17日付)の中で知るところとなり、また今回の287系報道公開を伝える各種メディアでも報じられていますが、外見上は窓下の細帯の色が水色(というか「オーシャングリーン」→283系「オーシャンアロー」車両と同じ色か)に変わっていることを除けばほぼ同じといえますね。
事実、JR西日本でも「(北近畿エリア電化区間電車特急向けと)基本構造は同じ」と公式に表明───ただ、この287系に関しては振り子機能を備えていないだけに、現在振り子機能を備える車両が充当されている「くろしお」や「オーシャンアロー」と比較して所要時間が延びるのでは、という懸念を正直抱くところはあります。
で、予定されている287系電車の投入両数についてですが、北近畿エリア電化区間向けには来年(2011年)3月12日施行のJRグループ定例ダイヤ改正以降に46両(4両編成×7本・3両編成×6本)、そして阪和線・きのくに線特急「くろしお」向けには2012年7月以降に51両(6両編成×6本・3両編成×5本)、それぞれ投入されることになっています。
更に一部メディアは、2012年7月以降の特急「きのくに」向け287系車両投入に伴って捻出されるであろう現用車両381系電車について、北近畿エリア電化区間に於ける現用車両で老朽化の激しい183系電車の後釜として、先に287系に置き換えられる分を除き、順次交換投入する・・・と報じています。
ちなみに、287系電車の配置先になるとみられる福知山電車区と日根野電車区について、それぞれに現在配属されている特急形車両のうち旧国鉄時代から引き継がれているものについて見てみると・・・
◎ 福知山電車区 … 104両 《183系電車》 ◎ 日根野電車区 … 126両 《381系電車;※1》 |
【備考】 ※1=このうち旧国鉄色のまま残るグリーン車無し6両編成4本については「くろしお」系統の特急定期運用に入っていないことから、実際に特急「くろしお」などとして定期運用されているのは102両となる |
何れも、今度投入されようとする287系電車の車両数の2倍以上ですね(笑)
このうち、福知山電車区に配置されている104両もの183系電車に対し、来年3月以降に投入される287系電車は合わせて46両───つまり、全数投入したところでまだ58両もの183系車両が残留することになります。
一方、日根野電車区に配置されている126両もの381系電車に対し、再来年(2012年)7月以降に投入される287系電車は合わせて51両───これは「くろしお」系統の定期特急列車への運用に入っている102両のちょうど半分にあたりますが、この287系投入と引き替えに捻出される381系51両が北近畿エリア電化区間に於いて定期特急運用に入っている183系電車の287系電車への置き換え分を除いた残り58両に対して交換投入されることのようで・・・しかしそれでもまだ7両の183系車両が余る(爆)
けれども、287系電車について、当初投入数だけ製造してそれで終わりと決めているわけでは無さそうな情勢ですので、仮に幾つか残留していても、何れは置き換えられることになるのでしょう。
なお、ちょっと余談っぽくなりますが、特急「くろしお」等として運用されている振り子式車両「381系」、今まで正直知らなかったのですが、軽量化及び低重心化の実現のためアルミ合金製となっているんですね。
ということは北近畿エリア電化区間に於ける現用車両「183系」と比べて錆に強いということなのだろうか───でも、アルミ合金の車体は錆に強いが腐食するという話も聞きますし・・・
ただ「2ちゃんねる」筋からは、「くろしお」系統の特急への287系電車新規投入に伴う、日根野区の381系電車の北近畿エリア電化区間への転籍投入に対して「183系電車より車齢が数年若い」とか「自重が軽くて加減速や保線面で有利」、「183系を早期に完全淘汰出来る」等といったメリットを列挙する声も聞かれます。
何だか”ドミノ移植”を思い起こさせそうな光景なのですが、ただこの381系電車の北近畿エリア電化区間への投入について、福知山線が電化して電車特急「北近畿」が新たに設定されることになった際に当初381系電車を導入する予定だったとの話が伝わってきていることから考えると、阪和線・きのくに線への287系電車新規投入は、結果として思いもかけずに福知山線への381系電車入線という電化当初の目的を遅ればせながら達成することになりそうですね。
それに備えてのことでしょう、287系電車の近車敷地内に於ける報道公開が行われた当日に日根野区配置の381系電車旧国鉄色編成(第C602編成)が福知山に向けて回送されていった、との情報が『鉄道ファン』Webサイト内設置の『鉄道ニュース』コーナーに掲載の記事を通じてもたらされ〔→『381系が福知山へ』〕、この動きに対して記事投稿者が「乗務員訓練のため」と推測しているのが見えました。
北近畿エリア電化区間に於ける287系電車の新規投入、そしてその更に約1年4ヶ月先に控える日根野区への287系電車新規投入と同区からの381系電車の北近畿エリア電化区間への転籍投入───北近畿エリア電化区間、そして紀州路を走る特急列車の世代交代がこれで本格化しそうなところですね。
ひとまずは一般公開の時を楽しみに待ちたいと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『JR西日本287系が報道公開される』
『特急「こうのとり」新型車両公開 JR西が来春投入』
《→『新型電車「287系」公開 特急「こうのとり」に投入』》
『「287系」を報道公開、来年3月デビュー』
『ゆったり安全バリアフリー特急 JR西「こうのとり」287系を公開』
《→『バリアフリー特急 JR西「こうのとり」287系を公開』》
『JR西、新型特急車両を公開=安全性・快適性を向上』
『特急「こうのとり」新車両公開 安全性、居住性が向上』
『新型の特急車両を公開 JR西』
『特急「こうのとり」初公開 安全性、居住性が向上』
『新型特急287系「こうのとり」を公開 JR西日本が来春導入』
『特急〈しらさぎ〉3号、一部区間で代走運転を実施』
《以上のほか個人掲載サイトも参照しました》
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287系、乗ってみたいです。
381系が北近畿へ転出されるのも。
日根野電車区の381系は1978~82年に製造されたが、485系改造の183系より5~10年新しいね。
関東出身にとって183系といえば千葉県や中央(東)線のイメージがします。
小2まで大宮駅で頻繁に見た189系『あさま』を懐かしく感じるのも。
北近畿183系はコックピット屋根にライトがあるから485系改造とわかりやすいね。
北近畿381系も楽しみ
投稿: 長瀬国分線 | 2010年12月 5日 (日) 21時32分
長瀬国分線さん、こんばんは。
いつもありがとうです。
私も最近になって知ったのです───電車特急「北近畿」には当初振り子式の381系電車を充当予定であったことを。
それが、今度JR西日本から公式に発表された、287系特急形電車の阪和線系統(阪和線・きのくに線)への投入によって、思いもかけずその当初計画を達成する可能性が出てきたわけで・・・
福知山線や山陰本線を381系振り子式電車が軽快に駆け抜ける光景、私も一度眺めていたいです。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年12月12日 (日) 23時55分
中央西線、きのくに線、伯備線に次ぐ381系の投入候補だった福知山線。
国鉄分割民営化ぎりぎりだったから予算がなく日根野電車区から485系が転入されたようです
(日根野電車区には出雲電車区の381系予備編成が転属)。
投稿: 長瀬国分線 | 2010年12月15日 (水) 23時59分
長瀬国分線さん、こんばんは。
遅くなってスミマセン。
287系の阪和線系統への追加新規投入により、思いがけず実現の運びとなった、福知山線とそれに続く山陰本線電化区間への381系振り子式車両の投入(ドミノ投入?)により、287系当初投入分と合わせて、北近畿エリア電化区間を走る優等列車のリフレッシュが進むものと私も期待しています。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年12月21日 (火) 00時12分