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名松線、三重県と津市の協力を条件に全線復旧着手の意向・・・JR東海、11月24日付定例社長会見にて。課題山積み

 今朝方、某証券会社のWebサイトを通じて知るところとなった話ですが・・・

 

 昨年(2009年)の10月上旬に日本列島を襲った台風18号により、特に末端区間である「家城伊勢奥津」間に於いて壊滅的な被害を被り、今も同区間が不通となったままのJR名松線

 

 一時は不通区間のみ廃止してバス転換するという話も持ち上がりましたが、ここにきて、その不通区間の終点であり名松線全体の終点駅でもある伊勢奥津に再び汽笛(というかディーゼルカーのエンジン音)が響き渡る日が訪れる可能性が出てきました。

 

 

 関係自治体の協力を仰ぎつつ復旧に取り組む用意のあることを表明したのです。

 

 JR東海の山田佳臣社長は、去る11月24日に開いた定例社長会見の中で、これまで廃止を表明してきた名松線の不通区間・「家城~伊勢奥津」間について、復旧後に於ける安全運行の確保のため、関係自治体のうち三重県と津市が将来にわたって沿線の治山治水対策に責任を持って取り組むことを条件に、復旧工事に着手する考えのあることを明らかにしました。

 

 被災したJR線の復旧に際して沿線自治体の協力が求められたケースとしては、私のほうで把握できる限りでは、2004年7月18日の福井豪雨で被災し2007年6月30日に全線復旧した越美北線(福井県も協力)や、2006年7月18日の集中豪雨で被災し2007年6月16日に全線復旧した三江線(島根県も協力)、そして今年の7月12日から15日にかけての激しい豪雨で被災し現在調整段階にある美祢線(山口県を中心に沿線の3市も)が存在しますが、これら3つのケースとも赤字ローカル線に係るものであり、これらのケースから考えると、営業係数が500を超えているともいわれる名松線の復旧に際してJRが沿線自治体に対して何らかの協力を求めるのも無理ないというべきところなのでしょう。

 

 一方、三重県では4月のうちにJRから前記の条件について提示され、これを受けて不通区間を抱える津市と共に有識者を交えての、対策工事の必要性の検証作業を進めていました。

 

 それを受けてのことでしょうが、野呂昭彦・三重県知事が9月の県議会に於いて「必要な治山事業を実施する」と表明、更に今回のJR東海の談話に対しては「復旧に向けて前向きな考え方が示されたことは、一歩前進したものと考えている。引き続き、JR東海と工事内容や維持管理の手法など具体的な協議、調整を行っていきたい」と決意を新たにしています。

 

 また、不通区間を抱える津市の松田直久市長も「美杉地域の生活交通の確保と市全体の活性化創出を図るため、着実に復旧に向けての歩みを進めていきたい」と、全線復旧に向けて決意を新たにしていました。

 

 なお、関係自治体には、他に松阪市(「松阪~権現前」間)も入っているはずなのですが、市内に不通区間を抱えていないためか、松阪市には今のところJRとして何も求めていない様子───尤も松阪市にしても名松線存廃に関しては市議会議員有志が松阪市長に対して要望書を提出するなどの動きを見せていますが〔→『JR名松線全線復旧を求めて』→『名松線存続を要望』〕・・・

 

 

 名松線の全線復旧に向けて、一部メディアは、クリアすべき課題が山積みで、4~5年の期間を要する・・・と報じてきています。

 

 復旧工事は三重県と津市が実施する治山治水工事とJRが実施する線路修復工事の2つをセットにして進める必要があり、これらの合計工期が復旧に要する期間ということになるのだそうですが、線路修復工事については1年程度で終えられるとしている一方で、治山治水工事については、工事区域に於ける地権者の特定及び事前了解などを要することから、JR部内では「3年ほどかかる」との見方が存在し、三重県も「大仕事になる」と長期化を示唆しています。

 

 先に記していますように、三重県では4月にJRから条件提示を受けたことに呼応して検証作業を進めてきましたが、その結果として治山工事に約7億円を要すると試算、そしてそのうちの半分について国の補助制度(「自然災害防止事業」→災害復旧事業?)を利用する計画を策定、また津市も三重県と連携して災害復旧工事にあたるものとみられます。

 

 

 ただ、この名松線全線復旧に向けて、一つ心配の種が・・・

 

 三重県の野呂知事が来年(2011年)の4月20日に任期満了を迎えることになっているわけでありますが、野呂知事の長男による覚醒剤所持事件の影響もあってか、満了後に執行される三重県知事選挙には出馬しない意向を固めており、知事交代は確実な情勢。

 

 この野呂知事不出馬を受けて津市の松田市長に対して行った新聞社インタビューに於いて松田市長は、自らの知事選への出馬については「津市は合併5年目。市政でやることはたくさんある。それにまい進していきたい」と否定しているほか、野呂知事の不出馬(引退)表明に対しては「(3選を目指し、知事選に)出るものだと思っていた。名松線の復旧など、市に理解をいただいていたので非常に残念」と語っていました。

 

 この知事選挙の結果次第では、今後の名松線全線復旧に向けての取り組みに影響を及ぼすことにもなりかねず、大阪府内に住む鉄道好きの一人に過ぎぬ私としても少し気になるところがあります《ちょっと変ですが…》。

 

 

 あと、名松線といえば元々松阪と名張を結ぶ路線として計画されていたところから名付けられた路線として知られていて、その形見というべきなのか定かでありませんが、伊勢奥津駅前と近鉄名張駅前を結ぶバス路線(三重交通バス)が存在します。

 

 しかし、その現状はというと───三重交通Webサイトで調べたところ、現時点では1日1往復で、早朝に伊勢奥津駅を出発し、夕刻に近鉄名張駅前を出発するというダイヤパターンになっています。

 

【名張駅前行き】
 伊勢奥津駅前07:11発→名張駅前08:20着
【伊勢奥津駅前行き】
 名張駅前17:15発→伊勢奥津駅前18:24着

【運賃(片道)】
 大人「1,010円」・小児「510円」
【備考】
 実際の行先表示は「敷津(奥津連絡 or 名張連絡)」となっている。敷津停留所は三重交通の宿泊所(乗務員拠点?)所在地である模様

 

 名張と松阪の間は、言うまでもなく、今では近鉄大阪線(+近鉄山田線)が通っていますので、名張から宇治山田以遠に向かう急行以上の種別の列車(または松阪行き区間快速急行)、或いは松阪を発車する近鉄大阪線の急行系列車に乗ることで乗り換えなしで行き来することが出来るため、山奥を走る名松線やそれに続く路線バスが見向きもされないのは無理のないところでしょう。

 

 とはいえ、盲腸線になってしまっている名松線の価値を少しでも高めるためには、沿線の観光資源を活用する取り組みや自家用車との共存(パークアンドライド)の取り組みなども欠かせないところなのですが、加えて伊勢奥津駅と名張駅を結ぶそのバス路線にも目を向け、名松線列車とダイヤ面である程度連動させ、かつバス道沿いに存在するであろう様々な観光資源の発掘を試みるのも悪くはないように思えるところなのですが・・・

 

 あ、それと「伊勢奥津駅前~近鉄名張駅前」間バス路線の存在を積極的にPRしていくことも欠かせませんね(笑)

 

 

 何はともあれ、今はJR東海と三重県、津市を中心とした取り組みの推移を静かに見守っていましょう。

 

 

◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
JR東海、名松線再開の考え
JR名松線:廃線の姿勢を修正 JR東海・山田社長「治山工事前提に」 /三重
《→『松田・津市長:「市政にまい進」 野呂知事の引退表明受け /三重』》
JR、名松線復旧の考え 安全確保を条件に 社長会見
一部不通のJR名松線、全面再開は4~5年後か
知事や津市長が歓迎 JR東海名松線の運行再開方針

 

 

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【関連記事(JR名松線存廃関連)
名松線「家城~伊勢奥津」間、部分廃止へ・・・先月の台風18号襲来による被害甚大。収支(営業)係数「2000」

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コメント

名松線の存廃問題は気になってました。

松阪市が関与しない理由は不通区間を抱えないだけでなく、野呂知事が松阪市出身なのもあるようです。

名張駅と伊勢奥津駅を結ぶ国道368号(国道422号重複)は車で走ったことありますが、狭い区間がありました。
国道368号(国道422号重複)は少しだけ奈良県にも入ります。奈良市とを結ぶ国道369号が分岐する御杖村神末には道の駅があります

名松線の協議はあまり全国ニュースに載らないながら、実はいろいろ行われてました。JR東海も唐突にこんなことを言ったわけではなく、治山で自治体が対策(今回だけでなく恒久的に)とってくれるなら、考えてもよいというようなことを半年以上前に言っていました。JR東海としては、見通しがついた(?)ので復旧する宣言になったのでしょう。
12月にはいり、津市と三重県で5億づつ(つまり10億)予算をつけるとの議会内容が伝わってきています。

 長瀬国分線さん、こんにちは。
 いつもありがとうです。

 今の三重県知事が松阪市出身───つまりは三重県のほうでしてくれるのだから、松阪市に於いては不通区間を抱えていないことだし敢えて復旧作業に関わる理由がない・・・ということなのでしょうか。
 私自身、そのあたりが正直理解出来ないでいます《頭の回転が悪いもので…》。

 それはさておき、今のところ何年先のことになるのかハッキリしていませんが、名松線が全線復旧した暁には、是非とも伊勢奥津駅と名張駅を結ぶバス路線との連携をある程度でもやってほしい、という願いはあります《小型或いは中型バスであってもいいから…》。

 S県の人さん、こんにちは。

 仰るとおりですね・・・一部の地元メディアでも報じられていましたよ。
 年単位の長期戦は必至ですが、将来にわたっての地域振興のため、災害に強い路線作りにJRと地元自治体が手を取り合って、力強く邁進していってほしいと思います。

 私も引き続き見守っていようと思います。

八尾電車区さん、ありがとうございます。
そのアイデアいいですね

 長瀬国分線さん、こんばんは。
 遅くなってスミマセン。

 名松線全線復旧の問題はJR単独では解決が困難なのは明らかであり、地元自治体と連携しながら、全線復旧とその後の存続に向けて、ありとあらゆるアイディアを絞り出し、検証し、実行に移す等しなければならないと思います。

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