関西の'ホームライナー'消滅…「はんわライナー」･「やまとじライナー」廃止｡来年3月ダイヤ改正《287系投入余波？》

　来年（2011年）の３月12日に施行されることになっているＪＲグループ定例ダイヤ改正。

　ＪＲ東日本とＪＲ北海道を除くＪＲ旅客４社とＪＲ貨物が参加する今度のダイヤ改正で、前回掲載記事に於いては夜行の灯がまた一つ消えていくことをお話ししました。

　今回も来年３月の定例ダイヤ改正に伴って消滅する列車のことについて触れようと思います───尤も今回取り上げている列車は夜行列車ではありませんが。

　国鉄末期に誕生し、ＪＲ発足以後今日に至るまでの間に都市部を中心に全国的な広まりを見せてきた、主に特急車両が充当される座席定員制で快速列車扱いの「ホームライナー」。

　関西圏に於いても、私が把握出来ているものだけでも、東海道本線（ＪＲ京都線・琵琶湖線）に於ける「びわこライナー」や福知山線（ＪＲ宝塚線）に於ける「ほくせつライナー」、関西本線（大和路線）に於ける「やまとじライナー」、そして阪和線に於ける「はんわライナー」の４つが誕生してきています。

　このうち「はんわライナー」は関西圏のみならず日本全国で誕生した「ホームライナー」の中の元祖的存在の一つとも目されており〔旧国鉄時代末期の1984年に新規設定された「ホームライナーいずみ」がその前身〕、また「やまとじライナー」については、前記４列車中で唯一、私自身も利用した記憶があります《大阪から奈良まで。ちなみに「青春18きっぷ」で利用していました（勿論乗車整理券を別途購入）》。

　また、前記の４列車のうち「ほくせつライナー」が2002年に特急「北近畿」への格上げのためいち早く姿を消してしまい、次いで「びわこライナー」もその翌年（2005年）に特急「びわこエクスプレス」への格上げ（新設）のため消滅───現在では阪和線に於ける「はんわライナー」と大和路線に於ける「やまとじライナー」を残すだけとなっています。

　ここで、既に消滅してしまっている「ホームライナー」２列車のうち、2005年に消滅した「びわこライナー」の後釜として新設された683系（681系）使用の特急「びわこエクスプレス」について───現在の当該特急列車運転区間である「大阪～米原」間に於ける停車駅は新快速停車駅から高槻と能登川の２駅を除いたものとなっており、変な話、料金を別途徴収する優等列車でありながら、”広義の普通列車”の一つに含まれる新快速と所要時間に於いて大差が無いというのは正直いただけない印象を抱きそうなところ。

　ところが実際はというと、この「びわこエクスプレス」向けのトクトクきっぷとして、通勤・通学定期券や各種回数券と併用出来る自由席回数特急券（琵琶湖線方面に於いては「びわこ通勤回数特急券」と呼称）や、大阪行きの下り「びわこエクスプレス」限定で通勤・通学定期券との併用にて使用出来る特急料金定期券「マイシート」〔普通車指定席用（マイシート）とグリーン車用（グリーンマイシート）の２種類有り〕などが通勤・通学客向けに用意されていることもあってか、ネット上で眺める限り、そこそこの乗車率をたたき出している様子。

　尤も自由席利用に於いては満席で立ちん坊となる可能性は十分考えられるところなのですが、それでも区間により車内に於いて”おしくらまんじゅう”状態となる新快速車内と比べれば、ずっと快適に通勤出来るということなのかも知れませんね。

　とはいえ、現在では直流区間が敦賀まで伸びてきているわけですし、それに合わせて新快速も敦賀まで運転区間を伸ばしてきているわけですから、この「びわこエクスプレス」についても、いっそのこと米原から北陸本線を北上して敦賀まで運転区間を延長させると共に〔大阪・敦賀間を米原経由にて運転〕、停車駅についても、米原までは現状の半分～３分の２程度に絞る一方で米原以北は長浜と木ノ本の２駅にのみ停車させる───といった感じにリニューアルが為されてもよさそうなものなのですが…

　話が逸れてしまいましたが、現在関西圏に残る２つの「ホームライナー」、大和路線に於ける「やまとじライナー」と、阪和線に於ける”元祖ホームライナー”の一つ「はんわライナー」についても、来年３月12日に施行されるＪＲグループ定例ダイヤ改正により廃止されることがＪＲ西日本から公式に明らかとなりました《→『平成23年春ダイヤ改正について』》。

　これら２つの「ホームライナー」は、ご存じの通り、何れも現在は日根野電車区に配置されている381系旧国鉄色塗装編成（グリーン車無し）が充当されており、且つ何れも平日のみの運行となっています《４～６月に限っては土休日にも特急「まほろば」運用のため駆り出されていましたが…》。

　一方で、同じく来年３月12日の定例ダイヤ改正施行に合わせて、北近畿エリア電化区間に於ける特急用車両として、新型となる287系特急形電車が運用を開始することになっているわけでありますが、この287系電車について、2012年７月を目処に阪和線・きのくに線（紀勢本線）に於ける特急「くろしお」向けにも投入されることも併せて公式発表され、これによって捻出されることが予想される381系振り子式電車については、北近畿エリア電化区間に於ける現用特急用車両である183系特急形電車からの置き換えのため、同区間に先行投入される287系と共に北近畿エリアへと送り出されることが一部メディアにより報じられてきています《→『新型の特急車両を公開　ＪＲ西』》。

　ここで、北近畿エリア電化区間に先行投入される287系特急形電車について、ＪＲ西日本福知山支社発出のリリース文書によると、京都と東舞鶴を結ぶ特急「まいづる」を中心に183系からの置き換え投入が行われることになっていますが、新大阪を始発・終着とする特急「こうのとり（旧・北近畿）」への287系置き換え投入分のうち４往復分については投入実施時期が７月に入ってからとされており、それまで（６月末頃まで）は381系振り子式電車により運転されることになっています。

　この、７月以降に置き換え投入されるまでの間のつなぎとして運用されることになっている381系車両については、去る11月26日（金）に日根野電車区から出区して福知山へと向かっていった第C602編成を初めとするグリーン車無しの381系旧国鉄色塗装編成が充てられるものとみられ、つなぎ運用に必要な編成本数の確保のため、同じく381系旧国鉄色塗装編成により運行されてきている「はんわライナー」と「やまとじライナー」を廃止することに決めたものと思われます。

　なお、「はんわライナー」及び「やまとじライナー」の廃止によって生じる”穴”については、それぞれの運転線区に於ける快速を充てることにしています《尤も全ての”穴”を埋めるまでには至らない模様ですが…》。

　「はんわライナー」と「やまとじライナー」の廃止により、関西圏からいわゆる「ホームライナー」列車が姿を消すことになります。

　変な話、この廃止劇は北近畿エリア電化区間そして阪和線・きのくに線に向けての287系新規投入に伴う余波のように思えてしまうところがあります。

　何だか、ちょっぴり寂しい気分にさせられますね。

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【関連記事（2011年３月ＪＲ定例ダイヤ改正）】
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