どちらが先に?…ICカード型乗車券。「JR旅客5社&”大手私鉄・公営交通”全国10種相互利用」vs「四国共通カード」
先日、JR九州のICカード型乗車券「SUGOCA」がJR西日本「ICOCA」とJR東海「toica」を交えた3者間で、来年(2011年)3月5日に相互利用サービス提供を開始するという話題を当ブログにてお届けしました。
この相互利用サービス提供開始の公式発表は去る12月13日付けで関係するJR旅客3社の共同リリースにより為されているわけでありますが、実はこのちょうど1週間後(12月20日)、ICカード型乗車券界に衝撃が走るようなとんでもない公式発表が為されているのです。
既に大多数の方々には周知済みのことと思います───関係する鉄道事業者等全てが共同しての公式発表を受けて、各種メディアがこぞって報じていましたから。
『鉄道コム』掲載記事から・・・
つまり、ICカード型乗車券を導入しているJR旅客5社、大手私鉄、公営交通の各社局が各々のICカード型乗車券の全共通化(相互利用)に向けて協議を始めるというもの。
対象となっているのは・・・
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【JR旅客会社】 kitaca (JR北海道) Suica (JR東日本) toica (JR東海) ICOCA (JR西日本) SUGOCA (JR九州) 【大手私鉄・公営交通】 PASMO 〔PASMO協議会(首都圏大手私鉄・公営交通)〕 manaca (名古屋鉄道・名古屋市交通局) PiTaPa 〔※1(関西圏大手私鉄・公営交通)〕 nimoca (西日本鉄道) はやかけん (福岡市交通局) |
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【備考】 ※1=スルッとKANSAI協議会 |
一方で、岡山の「Hareca」や広島の「Paspy」、静岡の「LuLuCa」等の中小私鉄・バスが独自に導入しているICカード乗車券に関しては、今回の協議の対象外とされています。
それにしても、この主要ICカード型乗車券10種類間の相互利用に向けての協議入りのニュースには、私も一瞬にして眠気が吹っ飛ぶような思いがしたものです。
勿論私もこのニュースには大いなる期待感を抱くところなのですが、その一方で、この協議は縺れること必至・・・という印象をも抱くところです。
例えば、2007年3月18日の新規導入と当時にSuicaとの相互利用サービス(首都圏ICカード相互利用サービス)提供を始めているPASMOは、導入当初に於いて他地域導入ICカード型乗車券との相互利用について事実上拒否していましたが〔ちなみにPASMOサービスイン時点でSuicaがPASMO以外で相互利用サービス提供を始めていたのはJR西日本のICOCAだけ〕、相互利用相手のSuicaが他のJR旅客会社で導入されているICカード型乗車券等と相次いで相互利用サービス提供を始めるなど全国展開を推し進めていくにつれて、PASMO導入社局間(特に大手事業者と中小事業者の間)に於いていわば”お家騒動”的事態が発生するなど穏やかならざる状況にあります。
また、私の住む関西圏に於いて、SuicaとPASMOによる首都圏ICカード相互利用サービスが始まる1年以上前(2006年1月21日)から相互利用サービス提供を始めているICOCAとPiTaPaに関しては、PiTaPaのほうがポストペイ方式としていることが災いしているのか、それともPiTaPaを導入しているスルッとKANSAI協議会の方針によるものなのか、両者間に於いて未だに電子マネー機能に於ける相互利用サービス提供が為されておらず、ICOCA(限定デザインカード)のユーザの一人でもある私自身として、阪急梅田駅コンコースで見かけるPiTaPa対応飲料水自動販売機などが使えないことに歯痒さを覚えてしまうところがあります《神戸港のジャンボフェリー・ターミナル内のフェリー切符売り場に設置されたPiTaPaリーダを眺めてはやるせない気持ちになったものでした(フェリーきっぷの販売もPiTaPa電子マネー機能を利用しているため)》。
あと、Suicaとの相互利用を考える上で外せないのが、4年半以上前(2006年3月18日)に導入された「グリーン車Suicaシステム」への対応の可否───現時点ではSuicaとPASMO、そしてSuicaを導入しているJR東日本と管轄エリアに於いて隣接しているJR北海道とJR東海がそれぞれ導入しているkitacaとtoicaの計4種類のみ対応となっていて、同システム導入前から相互利用サービス提供を始めているICOCA、そして今年3月から相互利用サービス提供を開始している九州島内導入のICカード型乗車券3種類(SUGOCA・nimoca・はやかけん)については非対応となっています。
この「グリーン車Suicaシステム」自体、現時点に於いては、いわば首都圏ローカル的なものといえそうなところなのですが、例えば主要な地方都市(大阪や福岡など)から観光や出張のため首都圏入りした際、ぶらりと中距離普通列車に連結されているグリーン車に乗ろうとしても、「グリーン車Suicaシステム」に対応していないICOCAなどのICカード型乗車券のユーザはグリーン券購入のため一旦駅の改札を出る必要があったりする等、利便性に於いて差が出てしまいます《グリーン券を買わぬまま車内精算で乗れないことは無いのですが、割り増しされた料金により徴収されます;尤も、予め乗車区間を決めておけば、上京する前に地元の「みどりの窓口」にて普通列車グリーン券を購入することも可能ですが…》。
といった感じに、全国規模でのICカード型乗車券の相互利用サービス提供に向けては課題が山積しているといえるわけで、2013年春に実現出来るかどうか以前に協議自体が進むのかどうか、現時点では不透明とされています。
それにしても、この「JR旅客5社&”大手私鉄・公営交通”」による計10種類に上るICカード型乗車券間の相互利用サービス提供構想、いったい誰が言い出したことなのか───関連する記事に目を通しつつ考えてみるも、わからぬままです(悩)
全国規模の、鉄道事業者の枠を越えてのことなので、もしかすると国(国土交通省)が提唱したか、或いは国からのバックアップを受けてJR東日本やPASMOあたりが呼びかけたことなのだろうか・・・
勿論国としても、Suicaを初めとする交通系ICカード(ICカード型乗車券)の共通化については、利用者サイドの利便性を重視する観点から、これを必要なものの一つとして考えてはいるものの、今度の広域にわたるICカード型乗車券間の相互利用サービス提供構想に関しては、関連する記事を眺める限りでは、国の関与を示すような記述は見られませんでした。
その一方で、今度発表された全国規模のICカード型乗車券間相互利用に向けての協議入りに関し、2007年3月のPASMOサービスイン当時に既に関西地域に導入されていたICOCAとの相互利用について明確に否定し、その後も他地域で続々と導入されてきているICカード型乗車券との相互利用についても「検討中」としたまま動こうとはしてこなかったPASMO協議会が「利用者の利便性は格段に向上する。運賃の精算方法も含めたシステム構築を進めたい」と意欲を示してきており、PASMOの相互利用相手でICカード型乗車券の元祖的存在であるSuicaを導入しているJR東日本も「地域や利用者の要望を聞きながら、まだ結ばれていないサービスとつなげたい」などと決意を語っています。
それにしても、一時期、他地域にて導入されているICカード型乗車券との相互利用に慎重な姿勢を見せていたPASMO協議会なだけに、この発言には私も驚いたものでしたが、やはり見えないところで利用者のニーズというものを感じていたということなのかも知れないですね。
ところで、このJR旅客5社と大手私鉄・公営交通が各々導入するICカード型乗車券10種類間の全国規模の相互利用サービス提供に向けての協議開始のニュースに接しているうち、ふとある話を思い出しました。
8年前(2002年)に導入に向けての協議に入ることが表明された「四国共通カード」(仮称)のことです。
この「四国共通カード」構想、四国島内の鉄道事業者4社(JR四国・高松琴平電気鉄道・伊予鉄道・土佐電気鉄道)がそれぞれ運営している鉄道路線に於いて、共通してキャッシュレスで乗り降り並びに他社線への乗り継ぎが出来るカードの開発・導入を目指すものであり、9年足らず前の2002年2月25日に行われたJR四国の定例社長会見の中で梅原利之・JR四国社長(当時)が公式に発表しています。
「四国共通カード」構想が浮上したのはJR東日本で「Suica」が新規導入されようとしていた2001年11月のこと───当時、JR四国・伊予電・土佐電の3社間で持たれた協議で企画きっぷ共同開発等の事業協力を進めていくことで合意に達し、その一環としてこの構想が浮上したのだとか《残る1社───当時経営再建中だった琴電は、後記の2002年3月開会の初回検討会から合流した》。
公式発表の翌月(2002年3月)に4社それぞれの実務担当者と外部招聘の専門家(JR東日本「Suica」開発担当者)が会して最初の検討会を開催、以後カード仕様や制度清算方法などを具体化させていくとしたこの「四国共通カード」構想の実現時期としてJR四国が明かしたのは「2014年を目処に…」───今回の記事でメインに取り上げている「JR旅客5社&”大手私鉄・公営交通”」が導入している10種類ものICカード型乗車券による全国規模の相互利用サービス提供構想の実現時期と約1年しか違わないですね、これは。
しかし現実には、「四国共通カード」導入に向けての種々の話し合いのことが、協議開始から今日に至るまで、情報として一向に耳に入ってきていません───頓挫してしまったのか、それとも・・・
そのような状況の中、JR四国を除く四国島内の鉄道事業者3社(伊予電・琴電・土佐電)が相次いでICカード型乗車券の独自導入へと踏み切っていきました───まず2005年2月2日に琴電「IruCa」が、その約半年後にあたる2005年8月23日には伊予電「ICい~カード」が、更に約4年5ヶ月後の2009年1月25日には土佐電「ですか(DESUCA)」が、それぞれデビュー。
このうち琴電のIruCaのみSuica等で採用されているサイバネ規格に準拠している他は、独自規格が採り入れられているともいわれています。
「四国共通カード」導入を待たずに次々とデビューしていった、四国島内の民間鉄道事業者3社のICカード型乗車券──しかもシステム面に於いてサイバネ規格のものと独自規格のものが混在・・・
「四国共通カード」という一つのカードを新たに開発するのではなく、本州等に於けるSuicaやICOCA等と同様、既にデビューしてしまった四国島内のICカード型乗車券たちを相互利用で結びつけることすら、現状のままでは特にシステム面に於いて困難が伴うのは想像するに難くないところでしょう。
更に、「四国共通カード」構想について公式表明する一方、ICカード型乗車券導入に於いて他の四国島内民間鉄道事業者3社に後れをとってしまっているJR四国も、去る12月27日に開いた定例社長会見の中で、政府が来年度予算案に盛り込まれているJR四国に対する経営支援策を活用する形で、ICカード型乗車券導入を検討し来年3月に策定する事業計画の中に盛り込む予定との旨の表明が為されていることが、一部メディアにより報じられてきています。
勿論現時点ではカードの名称や具体的な仕様などについては何も明らかにされていませんが、このJR四国によるICカード型乗車券導入が将来に実現し、そこから、2002年2月に表明された「四国共通カード」構想の代替として、改めて四国島内鉄道事業者4社間でICカード型乗車券の相互利用実現に向けての協議が持たれることになるのか否か───興味をそそられるところです。
「JR旅客5社&大手私鉄・公営交通」による10種類間の相互利用サービス提供、そしてJR四国と四国島内鉄道事業者3社による「四国共通カード」・・・いや四国島内4鉄道事業者それぞれのICカード型乗車券の相互利用サービス提供───どちらも実現に至るまでに紆余曲折が予想されるところ。
果たしてどちらが先に目出度く実現の運びとなるのやら・・・期待を込めつつ静かに眺めるのみですね。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『交通系ICカード相互利用を検討 実現目標13年春』
『ICカード:全国の鉄道、やっと「相互乗り入れ」 スイカなど10種、13年春めど』
『1枚あればOK…IC乗車券10種、相互利用へ』
《→『JR東など、IC乗車券相互利用の検討開始発表』》
『IC乗車券の相互利用を検討 JR・私鉄など11事業者』
《→『IC乗車券の相互利用を検討 JR・私鉄など11事業者』》
『北海道から九州へ1枚で=IC乗車券の相互利用検討-JR・私鉄』
『10種のIC乗車券相互利用へ 13年春、JRや私鉄など』
『鉄道カード全国相互利用 JRと私鉄、13年春実施へ検討』
『北海道から九州まで1枚で ICカード相互利用、JR・私鉄などが検討』
《→『1枚で全国の鉄道に乗れる――IC乗車券10種、2013年春の相互利用へ』(→『ITmedia +D モバイル』内掲載記事)》
『次世代交通フォーラム提言[第1次]―ICカードを活用した都市交通のCRM(顧客マネージメント)及び携帯端末を活用した大規模イベント時の交通対策について―』
『JR四国、車両更新やICカード検討 政府支援策活用』
『共通カード導入へ JR四国など3社』
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ベートーベン
歓喜の歌ドイツ語版(ショパン)
歓喜の歌~ベートーヴェン(混声)

こんばんは、大場でございます。
今年一年間、大変お疲れ様でした。
各会社とのICカードの相互化は、来春さらに進みますが、仰る通り色んな課題や問題点があるものと思われます。来年以降どうなるか注目したいところです。
まもなく年が明けますが、どうか良いお年をお迎え下さい。
投稿: 鉄道心理学研究家 大場英哲(おおばひであき) | 2010年12月31日 (金) 19時55分
鉄道心理学研究家・大場英哲さま、こんにちは。
旧年中は、特に後半に於いてなかなかご挨拶にお伺い出来ず、申し訳ないです・・・
私もこのニュースには驚かされましたが、果たして議論は進むのか、現状を考えると懐疑的にならざるを得ないところが正直あります。
新たな技術開発などをも期待しつつ、この成り行きを私も見守りたいと思います。
大場さまのほうこそ、今年1年が良き年でありますように!
投稿: 南八尾電車区 | 2011年1月 1日 (土) 15時19分