本線特急「サザン」向け新型車両「12000系」新規投入へ・・・南海、26年ぶりに。「プラズマクラスター」等新技術を採用
関西圏に於いて昨年(2010年)に登場した新型車両といえば、JR西日本の225系や287系、キハ189系を思い浮かべるところなのですが、私鉄となると思い当たるものが出てきません。
少し調べてみれば、阪神が昨年12月28日に営業運転を開始した普通向け”青胴車”5500系のマイナーチェンジ版「5550系」の存在が出てくるわけですが───ただこの車両は、恐らく、阪神の車両の中では唯一、製造過程に於いて阪急系のアルナ車両(旧アルナ工機)も関わった実例として特筆されるべきものといえそうですね《尤も車体製造のみですが…》。
あ、近鉄22600系特急形電車の狭軌線区版ともいわれるべき「16600系」もありましたね───すっかりわすれていました(冷汗)
それにしても、私自身、外に出て現地で見なければ、と思ったりもするのですが、個人的事情などもあって、なかなか・・・・・・
それはさておき、先日、当ブログに記事を掲載する過程に於いてふと目にした一つの記事から、久しぶりに関西の私鉄に於いて新型車両の投入が行われることを知るところとなりました。
知るきっかけとなったのは、『鉄道ファン』Webサイトに掲載された以下の記事・・・
こののちに『鉄道コム』等に於いても同様の記事を見つけるところとなりましたが───要は南海本線に於いて運転されている特急列車「サザン」のうち指定席車両として運用されている10000系電車の後継として軽量ステンレス製の「12000系」を今年秋に計8両(4両編成×2本)新規投入する、ということのようです。
阪神・淡路大震災からちょうど16年目を迎えた去る1月17日付で南海より公式に発表されました。
10000系電車の登場から実に26年───いつの間にか、それだけの時が流れていたんですね。
南海からのリリース文書を初め、各種メディアに掲載された記事にも掲載されているイメージ画像を眺める限りでは、3年前(2008年)にデビューした”部分的にJR東日本風”ともいえる8000系電車の車体外郭を思わせるが如くの輪郭に、JR瀬戸大橋線を行き来する「マリンライナー」で運用されているJR四国の5000系5100形2階建てグリーン車の側面乗降口扉を思わせるかの如くの乗降口ドア形状・・・
ふとJR四国の5100形2階建てグリーン車両をイメージすると共に、これは東急車輌製造かJR東日本の新津車両製作所あたりで造られそうだな・・・とも思ったりもした私。
尤も新津車両製作所に於いては特急形車両の製造実績が無いとの話なので、消去法により(?)、東急車輌で造られることが推測されるところなのですが・・・
実際、「2ちゃんねる」筋を通じて入ってきている情報によると、横浜に所在する東急車輌の工場敷地内に於いて、その南海の新型車両「12000系」とみられる構体が製造されているのを目撃した人が出現しているのだとか。
なお、南海に於ける新型車両の投入は前記8000系以来約3年ぶりということになりますが、特急形車両に限れば1999年に4両編成1本だけ新規投入された高野線特急「こうや」向け31000系電車以来12年ぶり、そして南海本線を走る特急形車両としては1994年9月4日の関西国際空港開港に合わせて新規投入された50000系電車「ラピート」以来約17年ぶりということになります。
今回製造されることとなった12000系電車の主な特徴として・・・
◎ 「プラズマクラスター」技術の空気清浄機構を導入 ◎ 男子用トイレとして無水小便器を採用 ◎ 座席背面(全席?)に電源コンセントを装備 |
このうち、無水小便器に関しては南海線内の一部の駅に2007年(平成19年)に試験的に導入しており、一定の節水効果を確認したとして、今回、鉄道車両に設備されるトイレとしては初めての導入となります《少なくとも私鉄の特急形車両に於いては;JRの特急形車両に於いても導入しているとの話は聞かないけれども…》。
また「プラズマクラスター」技術を採り入れた空気清浄機構の導入について───「プラズマクラスター」はシャープが開発し特許出願・取得した空気清浄技術であり〔ついでに商標登録済み〕、各種カビの分解・除去のほか、ウイルス感染の抑制(?)にも威力を発揮するのだそうですが、この技術が使われている空気清浄機構が鉄道車両に於いて採用されるのは、2008年から2010年にかけて400系新幹線車両からの置き換え目的で計84両製造されたJR東日本の山形新幹線向けE3系2000番台車両に続いて2例目となりますが、在来線系(JR・私鉄)鉄道車両に於いては初めてのケースとなります。
ウイルス抑制効果といえば、ここのところ話題となっている新型インフルエンザ・ウイルスに対する効果も気になるところなのですが、シャープでは一昨年(2009年)の11月2日付で発出したリリース文書の中で、レトロスクリーン・バイロロジー社との共同実験で「新型H1N1インフルエンザウイルス」の感染力を抑制出来ることを確認した、と発表しています。
尤も、その一方で、昨年には透析室に於けるプラズマクラスターイオンによるインフルエンザ感染・発症を抑制する効果は確認出来なかったという旨の報道も為されていますが、総合的に考えてみて、新型インフルエンザ・ウイルスに対しても「プラズマクラスター」技術による一定の感染抑制効果は期待出来るといえるでしょう《今後更なる研究の進展が期待されるところです》。
座席への電源コンセント装備について───最近登場した私鉄特急形車両では、近鉄に於いて一昨年(2009年)4月から運用入りした22600系特急形電車と昨年(2010年)6月中旬から運用入りした”22600系の狭軌線区版”こと16600系特急形電車が何れも最前列・最後列各席は各席1つずつと他は2席につき1つずつ、そして昨年7月中旬の京成成田空港線(成田スカイアクセス)開通に合わせて運用開始した京成の2代目AE形車両が各座席脚部の前後に2カ所ずつ、つまり実質的に全席に1つずつ・・・それぞれ設備されています。
一方、今度新規投入される12000系電車については「座席背面」に装備すると表明していますが、額面通りに受け取った場合、最前列及び最後列の各座席については方向により「座席背面」が存在しないことになってしまうわけでありますが、果たして具体的にどのような装備方となるのか、後日発表されるであろう、より具体的なリリースを楽しみにしようと思います。
それと座席といえば、今度製造されることになった12000系特急形電車に於いては、前記の電源コンセント装備と共に、座席幅の拡大(2センチ半)が為されると共に、新たに背面テーブルも設置されるとのことですが、これらは「サザン」指定席車向け特急形車両としては初めての試みということで、このあたり、接客設備面で従前からの特急車両と比較してかなりの改善が図られるような印象を抱くところです。
現在、南海本線で運転されている特急「サザン」指定席向け現用車両である10000系特急形電車は計28両(4両編成×7本)在籍しており、勿論今度の新規投入は8両にとどまることから一気に置き換えというわけにはいきませんが、10000系自体が登場から25年以上経過していることから、今後、中長期的に置き換えを進めていくことでしょう。
当初のデビュー予定時期とされている「平成23年(2011年→今年)秋頃」という時期から考えると、早ければ初夏ぐらいに製造元(前記情報から恐らく東急車輌)から出場し、紀勢本線支線(和歌山~和歌山市)から南海線内に乗り入れるか〔甲種輸送〕、或いは百済駅あたりからトレーラーに乗せての陸送(乙種輸送)により南海の千代田工場に直接搬入するかの何れかにより南海側に引き渡すことになるでしょう。
そして南海側への引き渡し後、現用車両10000系に倣って、南海本線内の和歌山検車区に配置(実際の管理は住ノ江検車区で)ということになるかと思いますが、運用開始となるまでに千代田工場や住ノ江検車区あたりで1度だけでも一般公開してくれることを期待しています。
とりあえずは、車両諸元も含めた詳細な公式リリースが出されるのを待っていようと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『南海 新型特急12000系を導入』
『南海特急に空気清浄機 関西大手私鉄で初』
『南海電、シャープ「プラズマクラスター技術」採用車両導入=車内空気きれい、今秋に』
『南海「特急サザン」に新型車両、今秋導入-プラズマクラスター搭載』
『シャープのプラズマクラスター搭載商品、世界で販売累計3千万台を達成』
『プラズマクラスター技術により、世界初、付着および浮遊両状態の「新型H1N1インフルエンザウイルス」の感染力を抑える効果を実証』
『透析室でのプラズマクラスターイオン発生装置の利用、インフルエンザ感染の発症を抑える効果は確認できず』
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