日本車輌製造、台湾在来線(東部幹線)向け特急形電車136両を受注・・・住友商事通じて。契約金額約302億円
昨年(2010年)9月に新幹線車両に於ける累計製造両数で3000両の大台を達成した、JR東海の連結子会社・日本車両製造。
その日車が、今回、台湾の在来線特急向け新型車両の製造を受注した模様ですね。
台湾向け鉄道車両といえば、新幹線技術の初輸出事例となった台湾高速鉄道(台湾新幹線)向け700T型車両(700系新幹線車両ベース)が真っ先に思い出されるところであり、日車もこの700T型新幹線車両の製造に関わってきています。
いま台湾では、2009年から2016年まで、日本円にして約4兆円を投じて交通ネットワークの整備を進めてきていて、これに伴って台北・高雄・台中などの各主要都市圏内及び都市間を結ぶ鉄道網の拡充に取り組んでいます。
その一環とみられますが、台湾政府直轄の台湾鉄路管理局(TRA)は、去る12月31日、東部幹線(主に「台北~花蓮」間)にて運転予定の特急向けに、2012年から14年にかけて、計136両(8両編成×17本)に上る特急形電車の製造を、主契約者である住友商事を通じて日車に対して発注したと発表、日本国内に於いても去る1月6日付で発出された住友商事・日車それぞれのリリース文書により明らかとなりました。
今回発注した特急形電車はアルミニウム合金製の車体に高速でのカーブ通過を可能にする「車体傾斜システム」を搭載した白色基調の車両で、契約金額は日本円にして約302億円に上ります。
そして今回受注した車両で採用される「車体傾斜システム」は日車が開発したもので、線路からの情報を読み取り傾き具合を制御するものだとか。
「車体傾斜システム」───これの正体って、報じられている内容から、日本のJR線に於いて最近登場している振り子式車両に採用されている「制御付自然振り子方式」なのだろうか・・・
ちなみに日車で製造されたJR車両のうち、この「制御付自然振り子方式」を搭載しているものとして、親会社・JR東海の「しなの」向け383系特急形電車、JR西日本の「スーパーいなば」向け187系特急形気動車500番台車両、それにJR四国の「しおかぜ」・「いしづち」向け8000系特急形電車があります。
旧国鉄時代に振り子式車両として唯一実用化され、”元祖振り子式車両”ともいわれるべきところの381系特急形電車では、カーブ通過により生じる遠心力を台車に組み込まれたコロにより伝達し車体を傾斜させる「自然振り子方式」が採られていますが、遠心力がコロに伝わって車体を傾けさせるまでの間に生じるタイムラグのため、乗り物酔いを起こす乗客が相次いだことはよく知られた話。
これに対し、JR発足後に開発された、前記のJR東海383系、JR四国8000系などの振り子式車両では、カーブに差し掛かる前に先行してシステマチックに車体を傾けさせることで乗り心地改善に繋げています───「制御付自然振り子方式」と呼ばれるものです。
なお、振り子式車両と並んで車体を傾斜させるものとして、空気バネの内圧を左右で変化させることで車体傾斜を実現させる「車体傾斜制御装置」がありますが、こちらは傾斜角が振り子式車両の3分の1程度と小さい反面、軽量且つ安価に済むなどのメリットも併せ持つこともあって、JRの地方路線で運転される特急向け車両(キハ261系特急形気動車とか)や私鉄の特急形車両に採用されているのだとか《でも殆どその実例を見聞きしないし・・・;あ、新幹線のN700系・E5系・E6系にも採用されていましたね》。
今回日車の受注獲得となった台湾東部幹線に於ける特急列車向け新型車両の場合、現時点では具体的な車両諸元については明らかにされていませんが、各種メディアの報道内容などを総合すると、どうやら「制御付自然振り子方式」となりそうですね。
関連報道記事に添えられている車両イメージを見る限り、JR四国の8000系電車とJR九州の885系電車を足し合わせて2で割ったような感じの車両ということになるのだろうか・・・
余談ながら、既に運用に入っている、885系電車ベースのTEMU1000形電車(「太魯閣号」向け)も、原型である885系と同様「制御付自然振り子方式」なのだろうか───ハッキリしないけれども。
それはさておき、今後も台湾に於いては数百両単位で通勤向け・特急向け車両の新規投入計画が策定されていて、日車と住友商事では更なる受注獲得に向けて行動する方針だとか。
今回の日車を初めとする日本の車両メーカーには、今後とも引き続き、海外に於いて、アフターケア面も含めてコツコツと実績を積み重ね、信頼を勝ち得ていって欲しいです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『台湾から特急車両136両受注 日本車両製造・住友商事』
『住商・日本車輌、台湾で鉄道車両136両受注』
《→『住商・日本車輌、台湾で鉄道車両136両受注』》
『鉄道車両136両、台湾で受注 住商と日本車両製造』
《→『日本車両製造と住友商事、台湾在来線向け特急車両136両を受注』》
『住商と日車両が台湾で鉄道車両136両受注、金額約302億円』
『台湾向け特急電車136両受注 日本車両、過去最高の300億円で』
『住友商事と日本車輌、台湾で鉄道車両の大型案件を受注』
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コンバンワ初コメント&初トラックバック失礼致しました。
最近アメブロからCocologへ引っ越してきたばっかりの者ですぜひこれを機に仲良くなれたらと思います。鉄道模型が大好きな者ですが、またおじゃまさせてください。これからもどうぞ宜しくお願いします
投稿: Moto Zi | 2011年1月14日 (金) 22時41分
Moto Ziさん、おはようございます。
こちらこそ初めまして。
手先の不器用さや性格面の問題などもあって鉄道模型に関しては”見てるだけ”というのが現実ですが、一方で、現実社会に於いてあり得ないことをも実現出来てしまうあたりが醍醐味かなぁ・・・とも最近思うようになってきています。
勿論、現実に見られても我々の手ではどうしようも出来ないことも出来てしまうのも醍醐味なのかも・・・
何はともあれ、こちらこそよろしくお願いします。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年1月15日 (土) 07時53分
台湾の鉄道について見聞きする限りでは日本との共通点が多いですね。
(^_^;)
外国で日本製車両が沢山活躍しているのは喜ばしいです。
(^-^)
“日台友好”です♪
o(^-^o)(o^-^)o
投稿: とんじ | 2011年10月26日 (水) 18時39分