南海12000系特急形電車、出場そして甲種輸送──2月8日、東急車輌製造より。今年秋登場の「サザン」次世代車両
先月(1月)のうちに、今年秋の新規投入(予定)が公式に発表されました、私鉄車両として初の「プラズマクラスター」技術による空気清浄機構搭載車両となる南海12000系特急形電車。
その「サザン」次世代車両ともいわれるべき12000系が、「2ちゃんねる」筋を通じて行き当たったブログ内記事などから、昨日(2月8日)、製造元である東急車輌製造の工場から出場し甲種輸送を始めていることがわかりました。
先月下旬にこの南海12000系特急形電車のことを当ブログとして初めてしゃべった際、東急車輌製造の工場敷地内にそれらしき姿を目撃したとの情報が入った旨のことを話しましたが、現実のものとなりましたね(笑)
で、初めてその南海12000系電車の実車を目の当たりにしたとき、どの既存車両に似ているのか言葉に言い表すことが出来ずに暫く悶々としていたものでしたが、じっくり眺めるうち、前面形状(輪郭や窓配置など)から、南海本線通勤用として2008年3月に運用開始となった8000系電車の前面形状とよく似た感じになっているように見えてきました。
尤も、前面窓の周囲が全て黒一色にされていることなどから、JR西日本の223系近郊形電車の前面形状と同じようにも一瞬思えたりしましたが───これに関しては、前照灯の位置から違和感を感じましたけどね。
次に車体側面に目線をやりますと、乗降口は各車両1つずつ配されており、その全てが車いすのまま乗車出来るぐらいの広さがとられています。
乗降口扉についてですが、最初にリリースした際に公開されたイメージ図の中で示されていた乗降口扉の形状から、JR東日本のE231系(またはE233系)グリーン車両、或いはJR四国「マリンライナー」向け5000系5100形グリーン車両の乗降口扉をイメージしていたものでしたが、いざ実車を見てみると、特に窓周りの形状についてこれらと異なっているのが見え、ちょっと意外に感じました。
次は車体塗装パターン───基本は無塗装剥きだしながらも、窓から下の部分がブルーに塗りつぶされて中央に「SOUTHERN Premium」の2色ロゴ表示、そして先頭車両(動力付き制御車)の車体側面妻面側には南海本線と空港線の路線図を図式化したものが描かれているのが見えます。
前面貫通路扉のところにも「SOUTHERN Premium」ロゴ表記(2段表記)が見えますが、両端の先頭車両2両とも描かれているわけではなく、車番が「1210△」の先頭車両の貫通扉にのみ描かれている模様───つまり、「サザン」として運用される際、露出されることが予想される側にあたる先頭車両前面の貫通扉にだけロゴを描いたということなのかもしれませんね《「サザン」運用のことについてはP.S.項を参照》。
そして足回りに目線をやると、台車として8000系と同様のタイプのものを履かされており、ヨーダンパの類は装着されておらず、連結面を見ても衝撃吸収のための車端ダンパや車体間ヨーダンパといった類も一切無し。
尤もヨーダンパを装着していない特急形車両としては、2008年3月にデビューした小田急60000形「MSE」などの例が存在しますが、小田急MSE車両の場合、履いている台車の軸箱支持部分に於ける軸ゴム配置に工夫したことからヨーダンパを装着しなかったらしい〔乗り入れ先である東京メトロ千代田線に於ける車両限界も影響?〕───ただ、この軸ゴム配置の工夫によるヨーダンパ省略は、高速走行時に於ける激しい揺れの抑制などに一定の成果を上げる一方で、台車全体からの揺れをかなりまともに受ける(線路継ぎ目通過時とか)等の欠点も指摘する声も聞かれます。
今度落成し出場した南海の新”サザン”車両「12000系」について、履いている台車を”8000系と同様のタイプのもの”と書きましたが、8000系が履いている台車「SS177M」(電動台車)・「SS177T」(付随台車)自体、空気バネの中心間間隔を従来比で5cm拡大することで車体ローリング改善を図っているといわれるところから、これに類似するとみられる台車を履いている12000系についてもそのことを考慮してヨーダンパを省略したことでしょう《本当のところは定かではないけれども…》。
東急車輌製造の工場から出場した12000系”サザン”車両は、京急逗子線・神武寺駅(東急車輛製造専用鉄道線上)からJR線との合流地点である逗子を経て川崎貨物に至る区間は「DE10 1666」〔新鶴見機関区(JR貨物)〕に牽引され、川崎貨物に到着すると「EF65-1101」〔高崎機関区(JR貨物;元・JR東日本田端機関区所属車)〕に付け替えられ、東海道本線を南下していきました。
そしてこのあとの行程についてですが、「2ちゃんねる」筋から漏れ聞こえてくる情報によると、吹田信号場から新大阪、梅田貨物線、天王寺、大和路線、王寺、和歌山線、和歌山、紀勢本線を経由し、明日(2月10日)未明に和歌山市駅付近の渡り線(非電化)を通じて南海線内に搬入されるのだそうで、昨年(2010年)11月中旬に落成・出場した南海8000系・第5編成(8005F;4両編成)の甲種輸送時と同じルートを辿る見通しですね《ちなみに昨年の南海8000系「8005F」の甲種輸送では吹田信号場でディーゼル機関車にバトンタッチしていました》。
何はともあれ、今年秋にデビュー予定の次世代”サザン”車両、南海12000系特急形電車のベールを脱いだ瞬間でしたね。
P.S.
南海本線に於ける特急「サザン」は、現在、全列車とも特急形車両(10000系)と通勤形車両の併結(一部指定席→特急形車両を指定席車として使用)により運転されていますが〔他に「サザン」という列車名の付かない通勤形車両(自由席車)のみによる単なる特急(停車駅同じ)も少数ながら存在〕、今度出場した12000系特急形電車に関しては、併結相手つまり自由席車両として、本文中にも登場してきている、顔つきのよく似た8000系電車が有力視されている様子。
「サザン」の現用車両である10000系は、走行機器類の都合から、併結相手としては7000系ファミリー2系列(7000系・7100系)に限定されていますが、この両者は何れも普通鋼製となっています。
一方、今度出場した次世代「サザン」車両こと12000系はステンレス製軽量車体であり、現時点で併結相手として有力視されている8000系もまたステンレス製軽量車体・・・
制御方式も「10000系+7000系ファミリー」では抵抗制御であるのに対し12000系と8000系はVVVF制御となっており、これらのことから考えても、南海本線の特急「サザン」に世代交代の波が確実に押し寄せてきていることを肌で感じている次第です。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『南海12000系が甲種輸送される』
『南海12000系出場!「SOUTHERN Premium」』
『南海12000系【サザン用新型車両】-新車速報』
『南海12000系甲種輸送』
『南海12000系出場』
『南海12000系甲種輸送撮影(2月8日)』
『【南海】8000系の甲種輸送』
『南海8000系(8005F)甲種輸送+115系「むさしの号」』
『SS177M SS177T / 南海電気鉄道8000系』
『南海10000系がなくなる?!』
『小田急ロマンスカー60000形 MSEに乗って来ました。』
『ND-739 ND-739T ND-739TA / 小田急電鉄60000形MSE』
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