26000系「さくらライナー」車両リニューアル・・・4月2日、吉野特急運転開始46年目。1両を「デラックスシート」車に置換
1990年3月15日、近鉄の狭軌線区である南大阪線・吉野線に於ける「吉野特急」運転開始25周年の節目に新規投入された26000系特急形電車「さくらライナー」。
標準軌線区向けの21000系「アーバンライナー」と同じ車体幅(2800mm)とするなど、仕様面で「アーバンライナー」に準じた造りになっているところから、いわば”「アーバンライナー」の狭軌線区版”ともいわれるべきこの特急形車両───気がつけばデビューから既に20年経過、車体更新の時期を迎えているとの声が聞こえてきているみたいで。
そんな「さくらライナー」車両───現在4両編成2本が在籍しているわけでありますが、来年度(2011年度)のうちにその2本とも順次リニューアル(車体更新)していくとのリリースが近鉄から発出されました。
既に1本目に対する更新施工が昨年(2010年)10月から五位堂検修車庫に於いて進められている模様で、来年度に入って早々の4月2日に営業運用入り(デビュー)することになっています。
4月2日───この日には既に「吉野特急」運転開始から46年目に突入しています《尤も「46」という数字自体、正直中途半端な感じがしないでも無いのですが…》。
車体塗装パターンの変更(帯部分の塗色変更)もさることながら、今度の「さくらライナー」車体更新で目玉となるのは、今回新たに設定される「デラックスシート」車(特別車両)ではなかろうかと。
その、新たに設定される「デラックスシート」車について・・・
荷物棚の下面には吉野の檜、照明カバーには吉野和紙、出入口扉(仕切扉)に吉野杉───かなり贅沢なつくりになりそうな印象を抱きます。
一方、座席のほうはといいますと───リリース文書に掲載されているイメージ画像を見る限りでは、「1×2」の3列シートで、その一つ一つは現行座席と同様に桜の花びらを連想させるかの如くの形をしているように見えますが、よく見ると、頭部あたりの両端が内側に向けてせり曲がっているように見え、顔を包むかのような造りになるみたいですね。
あと、デラックスシート車のイメージ画像を眺めていると、仕切壁面に何やら星形の飾り付けも見えますが───これって、単なる飾りなのだろうか・・・
これに対して普通車(一般車両)のほうはというと───リリース文書に掲載されている普通車イメージ画像を眺める限りでは、まず座席の形は、現行の”桜の花びらを連想させる”形ではなく、ごく普通のリクライニングシートといった感じで、モケットの色がリリース文書に書かれている「さくらの花びら」をイメージした色合いになっている、という解釈とするところです《でも、イメージ画像を眺める限りでは、モケットの色は少なくとも3色程度のストライプになっているような感じで、これが「さくらの花びら」をイメージするものかどうか正直ちょっと微妙な感じが…》。
それと壁面を木目調にするとのことで、座席モケットの色あいと合わせて「吉野」をイメージさせようという狙いなのだろうか───定かではないにせよ、ある種の高級感のようなものが漂うようなインテリアにはなっている感じがします。
あと普通車の座席形態についてですが、現行の座席に関してはランバー部分(腰が当たるあたり)の厚みに比してヘッド部分が薄くフラット気味につくられているため、背もたれに体全体を預けるとのけぞるような体勢になってしまうところですが、リニューアル後の座席では、イメージ画像を見る限り、ヘッド部分も一定の厚みを持たせた上で両端の折れ曲がりも現行と比べて大きめに設定されているように見えるあたり、幾分安定した姿勢で腰掛けられそうな印象を抱きそうです。
座席幅についてですが、普通車座席で435mm、デラックスシート座席で490mm───ちなみに標準軌線区向けの21000系リニューアル済み車「アーバンライナーplus」の「デラックスシート」車座席幅は500mmとのことですので〔21020系「アーバンライナーnext」の「デラックスシート」車座席幅も同程度とみられるが…〕、デラックスシート座席に限っていうならば、若干狭めの設定になっています《普通車座席については「アーバンライナーplus」の普通車座席(レギュラーシート)の座席幅数値が公開されていないため比較不能》。
蛇足ながら、車体幅は、初めにも記していますように26000系「さくらライナー」も21000系「アーバンライナー」(後の「アーバンライナーplus」)も「2800mm」であり、、ついでに言うならば21020系「アーバンライナーnext」もまた「2800mm」───今まで知りませんでした(自爆)
「デラックスシート」車にせよ普通車にせよ、これまで記してきたリニューアル内容や運転区間に於ける特性から考えて、改めて「観光特急」として生き続けることを決意しているかのような印象を抱くところですね《観光特急といえば、他にJR九州の「海幸山幸」や「はやとの風」、「指宿のたまて箱」などを思い浮かべそうなところなのですが──改造度合いは別にして》。
座席以外では、新たに車いす対応の大型トイレが設置されるほか、全席禁煙とする代わりに喫煙ルームを新たに設置する等の変更が加えられています。
車いす対応の大型トイレ───しかし「さくらライナー」車両に採用されている乗降口扉は、それまでの近鉄の特急形車両と同様、折り戸式となっており、その幅から、車いすのままの乗降は物理的に困難とみられるところ。
ということは、21000系「アーバンライナー」が車体更新により「アーバンライナーplus」とされた際と同様、車いす対応大型トイレが新たに設置される車両の乗降用扉に限り、22000系「ACE」や22600系「Ace」などに見られるような、車いすのまま乗降出来る幅広プラグドアに取り替えられるということになるのだろうか…
さて料金面───特急料金に関しては、南大阪線・吉野線内の停車駅相互間で利用する場合に限り、特に吉野線内に於いて線内全駅の過半数に停まるようになった現在の停車駅パターンに改定された1999年3月16日のダイヤ変更以降、特例で500円均一とされています《それまでは、例えば大阪阿部野橋から橿原神宮前を越えて吉野線内停車駅まで乗車した場合の特急料金は870円だった》。
そして新たに設定される「デラックスシート」車を利用するに際して別途要する特別車両料金について、先日に当ブログでも触れていますように、来月(3月)16日から実際の乗車距離に応じた料金体系に変更となりますが、狭軌線区の南大阪線・吉野線を合わせた全線の営業キロ程は64.9km、つまり運転全区間であっても新料金体系のうちの最低距離区分「80kmまで」の中に収まってしまうことから、「さくらライナー」の特別車両料金は事実上その最低距離区分に対する適用料金額である「200円」均一となります。
そのため、例えば大阪阿部野橋から吉野までの運転全区間を「デラックスシート」車で片道乗り通した場合、大人運賃950円とは別に要する「特急料金+特別車両料金」の合計額は700円となりますが、この合計料金額は前記1999年3月のダイヤ変更前に於ける同区間片道の特急料金(870円)と比べて安くなっています。
つまり、一昔前の特急料金より安い金額で3列の幅広シートに座ることが出来る───スピードは近鉄特急としては遅めの部類に入ってしまうものの、時間帯・曜日によっては結構乗り得に感じることがあるのかもしれないですね。
尤も座席に電源コンセントの類が一つも設備されていないあたりがちょっとマイナスに思えるところですが・・・
来る4月2日に最初の更新済み編成が運用に入るとのことですが、それまでに実車の一般公開(或いは報道公開)が為されるのかどうか、まずはそれを楽しみに待ちたいと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『近鉄さくらライナーがリニューアル』
『26000系さくらライナーを来春リニューアル』
《→『26000系さくらライナーがリニューアル-さくら色基調に、初のDX席も』》
『運転室後部に展望スペース - 近鉄「さくらライナー」26000系をリニューアル』
『近鉄「さくらライナー」、さくら色にリニューアル』
『近鉄:さくらライナー、21年ぶり一新 春から運行 /奈良』
『吉野をイメージ、近鉄「さくらライナー」改装』
『近鉄、奈良・吉野行き特急を改装=4月2日から運行』
『春色特急よろしく - 近鉄「さくらライナー」リニューアル』
『近畿日本鉄道 26000系 さくらライナー』
『近畿日本鉄道 21000系 アーバンライナー・プラス』
『近畿日本鉄道 21020系 アーバンライナー・ネクスト』
『特集 観光列車【8】近鉄「さくらライナー」』
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