'食パン電車'419系、北陸本線でのお勤めに終止符・・・3月11日、運用開始から26年で引退。521系増備車に置き換え
前回から、今年施行されたJRグループ定例ダイヤ改正に伴って引退となった北陸地域に於ける列車・車両3件について触れています。
前回は3件の中でメディアへの露出度に於いて他の2件を圧倒した特急「雷鳥」をとり上げました。
今回は残り2つのうち、主に北陸本線に於ける普通列車に運用されてきた”食パン電車”こと419系交直流近郊形電車についてとり上げます。
この419系は昨年(2010年)暮れにJR西日本が公式に表明した521系交直流近郊形電車の追加投入と引き替えに、前回とり上げた特急「雷鳥」と共に、去る3月11日を以て運用離脱(引退)となったものです。
前回掲載記事の中でも喋りましたが、私も一時期、大阪駅構内を中心に特急「雷鳥」を幾度と無く眺めてきました。
停車している姿、そして発車ベルがなり金沢に向けて颯爽とホームを離れていく姿───今も頭の中に焼き付いています。
しかし利用(乗車)頻度ということになると話は別で、私自身が普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」を好んでいるということもあってか、圧倒的に”食パン電車”419系のほうに軍配が上がります《勿論乗車回数自体は決して多くありませんが…》。
今では経済的な都合などもあってか、「青春18きっぷ」を利用した普通列車乗り継ぎ旅(俗に言う”乗り鉄”の一つですね)に出ることすら殆ど無くなってしまいましたが、学生時代を中心に、かつてはそこそこの回数「青春18きっぷ」などのトクトクきっぷを使っての”乗り鉄”に出ていたものでした。
1度きりしか乗らなかった路線も含めると、JR全線の殆どを乗ってきているように思います。
勿論、JR西日本の管轄であり2箇所(南小谷・直江津)でJR東日本と直接接している北陸エリアも幾度か乗ってきているわけでありますが、その際に”食パン電車”こと419系にも世話になっています。
北陸本線に於ける普通列車で運用されている車両としては、419系のほか、457系ファミリー3系列(471・475・457系)、413系も存在しますが〔113系発祥の415系800番台も存在するが、こちらは主に七尾線で運用されている〕、私自身の過去の乗車頻度では419系が一番高いような気が───次いで457系ファミリー3系列、そして413系が一番低いような感じです。
あ、七尾線も1度ぐらい乗った記憶はあるのですが、415系800番台だったか否かまでは覚えていないし・・・
それはさておき、この”食パン電車”こと419系交直流近郊形電車、いうまでもなく、世界初の本格的な寝台電車として知られる581系・583系電車を種車として改造されたものであり、旧国鉄時代末期の1985年3月に施行されたダイヤ改正で北陸本線に於いて登場した車両《何処かで”魔改造”と叫ばれているような…》。
特急形として製造された寝台電車を種車としているだけあって、座席に関しては普通列車向け車両としては全般的にゆったりとした印象を受けるところ《でもロングシート部分について問われると、回答に窮しそう…》。
その一方で、乗降口については583系だった頃のものをそのまま流用・踏襲しているような感じで、折り戸式である上に幅も狭く、車椅子のままでの乗降は物理的に不可能とみられるほどであり〔ウィキペディア解説「国鉄419系・715系電車」によると、車椅子の乗客の乗り降りの際に使われる一般的な車椅子用スロープを最大限に広げることが出来ないため、場合によっては駅員・介助者・車掌の3人がかりで車椅子を持ち上げる必要もあったのだそうな〕、バリアフリーに逆行しているような感を否めないところがあります。
あ、幅狭な乗降口2つしか備えていないが故に乗降に時間がかかって延着の要因になる・・・というデメリットもありましたね。
とはいえ、583系の名残ともいえるゆったりとしたボックスシートに幅狭な折り戸式乗降口扉という取り合わせは、この車両を使って旅しているうちにふと583系だった頃を思い起こさせてくれるようなところがあり、更に457系ファミリーや413系とは違う独特の加減速音も相まって、今でも印象となって頭の中に焼き付いています。
外観面でも、窓となっている部分の割合が457系ファミリーや413系と比較して小さい分、重厚な感じがするし・・・
それで、ちょっと余談っぽくなりますが、実はこの419系と共に581系・583系を改造種車とし、やはり”食パン”顔をしていた交流専用の715系と呼ばれる系列の車両も存在していました。
こちらは1984年3月ダイヤ改正に合わせて九州の長崎本線と佐世保線向けに基本番台車として48両(4両編成×12本)が、そして419系と同じく1985年3月ダイヤ改正に合わせて仙台地区向けに1000番台車(寒冷地仕様)として60両(4両編成×15本)が、それぞれ投入されています。
しかし、九州向け715系基本番台車も、そして仙台地区向け同1000番台車も、1998年までに全廃されました。
これに対し、715系1000番台と同じタイミングで北陸本線に投入された419系は実に26年もの長きにわたって沿線地域の足として活躍し続けました───恐るべしJR西日本(ん?)
『YouTube』にはこれまでにも419系電車の姿を収めた映像も数多く寄せられてきているわけですが、その中にはダイヤ改正施行前夜(3月11日夜)に於ける最後の雄姿を収めたものもあります。
言うまでもなく、ダイヤ改正前日の3月11日といえば同日昼過ぎに東北地方を中心とする大地震が発生しており、JR東日本管内に於ける新幹線・在来線双方の全線が一時全面ストップしていました。
JR西日本の管轄である北陸本線に於いても地震発生時に一時的に抑止がかけられていたらしく、普通列車に於ける車両運用で変更が生じていた模様なのですが、それでも”食パン電車”419系は終日走り続け、深夜時間帯の金沢駅に於いては、少ないながらもカメラを手にした幾人かのギャラリーに見守られながら、同駅に於ける最後の419系充当営業列車が発車していき、また419系としての最終営業列車が同駅で営業運転を終えて入庫していくという光景が見られました。
金沢駅で最後のお勤めを終えて松任の金沢総合車両所に向けて入庫していく419系の、何処かくたびれた感じに見える車体とこびりついていた黄土色っぽい汚れが、北陸の地で地元の足として長らく活躍し続けてきたことを物語っているかのようでした。
ありがとう、そしてお疲れさま───今はそのように声をかけてやりたい気持ちです。
話変わって、そんな”食パン電車”こと419系からの置き換えを目的としていたとみられる、JR西日本が昨年暮れのうちに公式発表した”223系顔の交直流両対応電車”521系近郊形電車の計40両追加投入についてですが、ダイヤ改正施行5日前にあたる去る3月7日に川崎重工業兵庫工場から4両(2両編成×2本)が出場、これを以て追加投入分全てが落成・出場したことになったとの由。
その去る3月7日に川重から出場したのは、金沢方から順番に「”クモハ521-34”+”クハ520-34”+”クモハ521-35”+”クハ520-35”」の4両であり、出場後、鷹取駅あたりに所在するの神戸貨物ターミナルまでディーゼル機関車「DD51-757」に牽引されたあと、公式試運転も兼ねて金沢まで湖西線経由にて自力回送していきました《余談ながら「DD51-757」自体は昨年(2010年)3月に東新潟機関区から吹田機関区に転属済み》。
今回の521系追加投入に伴って419系は3月11日限りで運用離脱となるわけでありますが、JR西日本のリリースなどから、今回のダイヤ改正施行に伴う新たな521系運用区間は津幡以南(以西)としている模様であり、これによって北陸本線の富山・新潟両県内区間には残された旧国鉄時代からの生き残り組である457系ファミリー3系列と413系が押しやられる格好となります。
それにしても、今回の追加投入で521系近郊形は2006年のデビュー時からの累計で35編成70両が投入されたことになるわけでありますが、運用対象区間を金沢・津幡以南に限定しているのは、もしかすると2014年度中の予定とされている北陸新幹線・金沢延伸開業との兼ね合いによるものなのだろうか・・・
次回は、高山本線・富山地区に於いて最後の活躍を見せていたというキハ58系について記すことにします。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『平成23年春ダイヤ改正について』
『521系4両が試運転』
『「419系」引退決定!』
『521系 川崎重工出場①・②』
『【JR貨】DD51-757 吹田機関区所属となり運用開始』
『富山発 小松行「454M」北陸本線普通列車について』
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ベートーベン
歓喜の歌ドイツ語版(ショパン)
歓喜の歌~ベートーヴェン(混声)

ついに419系が引退しましたね。
国鉄末期の財政難の時に余剰の583系を必要最低限の改造で近郊型に転用した車両で
それ故短期間で廃車になることも考えられましたが
予想外に長く活躍しましたね。
自分は大阪近郊区間大回り乗車の特例を使って
敦賀直流化前の
湖西線の近江塩津~近江今津間で乗ったことがあります。
投稿: えびちゃん | 2011年3月18日 (金) 19時25分
えびちゃんさん、こんにちは。
私も過去に経験した「青春18きっぷ」を使っての乗り継ぎ旅の中で、えびちゃんさんと同じく永原以北が交流電化だった頃に近江今津から419系のお世話になったことがあります。
広めのボックスシートで1人ゆったりと寛ぐことが出来たような───まぁ空いていたときには天国でした《その代わり混んでいる時にはちょっと…》。
何はともあれ、26年間にわたって北陸地域に住む人たちなどの足として支えてきてくれた”食パン”の功績を今一度偲んでいようと思います。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年3月19日 (土) 15時48分