京阪線”減量”ダイヤ改正へ──5月28日、淀駅上下線高架化完成に合わせて。”淀屋橋シフト”明確化
京都競馬場(中央競馬)の最寄り駅としても知られている、京阪本線・淀駅。
今は大阪方面行き(下り線)のみ高架化されている格好になっていますが、来る5月28日(土)に反対方向である京都方面行き(上り線)も高架線に切り替えられ、いよいよ高架駅として生まれ変わることになっています。
この淀駅高架化完成に合わせて、京阪電気鉄道(京阪)は京阪線系統(京阪本線、鴨東線など)に於けるダイヤ改正を実施するとも報じられてきています。
京阪から発出されているリリース文書を見る限りでは、優等種別に於ける”淀屋橋シフト”を明確に打ち出しているような印象を受けるところですね。
このうち、昼間時間帯でみた場合・・・
まず淀屋橋を始発・終着としている「特急」に関しては、これまでの「1時間あたり6本」という態勢はそのままとしながらも、6本のうちの2本を枚方市止めの区間運転(いわば「区間特急」?→実際は京阪には存在しないけど…)としていたのを、6本全て出町柳までの全線通し運転(というか鴨東線乗り入れ)とした上で、10分等間隔運転(10分ヘッド)となります《尤も現在でも枚方市始発・終着分と出町柳始発・終着分とを合わせて10分ヘッドにされていますが(土休日の大阪方面を除く)…》。
更に、同じく淀屋橋を始発・終着としている「準急」についても、時間あたりの本数はそのまま(4本)にしつつ「急行」に置き換えるものの〔昼間時間帯に於ける「急行」の復活〕、運転区間についてはこれまでの出町柳までの全線通しから樟葉止まり(大阪府内完結)とされます。
一方、2008年に新規開業した中之島線の側を見てみると、同線のために新設されたといってよい「快速急行」が時間あたりの運転本数はそのままに「準急」に置き換えられ、更に2006年に天満橋始発・終着の形で昼間時間帯運転を再開させ〔26年ぶり!〕、2年後に中之島線が開業してからは中之島まで延長運行している「区間急行」については、「普通」に置き換えられた上、運転本数をこれまでの6本から4本に削減〔但し運転区間については樟葉行きとして運転されている2本について出町柳までの全線通しに変更する格好に〕・・・
これだけ見ていても、急行以上の優等種別の淀屋橋シフトが明確になっているような感がありますね。
更に朝夕ラッシュ時なども含めた全体で見た場合・・・
昼間時間帯に於いては列車種別として消滅する「快速急行」と「区間急行」のうち、「区間急行」については朝夕ラッシュ時間帯なども含めて全列車削減されることになり、列車種別としては全廃となる模様。
一方「快速急行」に関しては、朝夕ラッシュ時間帯に於いては列車種別として存置されるものの、このうち夕方ラッシュ時運転分については、大阪方面に向かう列車については行先を全て淀屋橋に変更する一方〔「特急」に置き換えられる列車あり→後記〕、京都方面に向かう列車については、中之島始発のままとするものの、全て樟葉止めに《大阪府内完結;現行ダイヤでは全て出町柳行き》。
更に「快速急行」のうち枚方市を介して交野線・私市と相互直通している「おりひめ」と「ひこぼし」については、両者合わせて1往復とされてしまいます《上下1本ずつ;「おりひめ」は早朝運転の私市発中之島行き通勤快急、「ひこぼし」は夜遅くに運転される中之島発私市行き快速急行》。
なお朝ラッシュ時に関しては、前記の私市始発「おりひめ」を除き、削減や行先変更は為されない模様《少なくともリリース文書に記載無し》。
「快速急行」・「区間急行」以外では、平日夕方ラッシュ時間帯に京都方面のみ運転される、京橋から中書島までノンストップの「快速特急」を全て「特急」に置き換えると共に、淀屋橋に於いて平日の20時台に発車する樟葉行き「特急」を出町柳までの全線通しに変更、更に出町柳に於いて平日の20時台までに発車する12本の中之島行き「快速急行」を淀屋橋行き「特急」に置き換えることにより、朝夕ラッシュ時間帯に於いても淀屋橋と出町柳の間で「特急」10分ヘッドを実現させる、としています。
ここで、現行ダイヤに於いて平日夕方ラッシュ時間帯限定で設定されてきている「快速特急」の停車駅パターンは、かつて京阪特急で実施されてきていた「京橋~七条」間ノンストップ運転の終焉を告げた2000年7月1日の京阪線系統ダイヤ改正施行時点に於ける「特急」停車駅パターンそのものであり、「特急」停車駅が「淀屋橋~京橋」間を除く大阪府内主要駅にも及んできている今に於いて、「快速特急」は「淀屋橋~京橋」間を除く大阪府内主要駅を全て通過してダイレクトに京都府内主要駅とを結ぶ貴重な存在といえるでしょう。
その「快速特急」が今度のダイヤ改正で姿を消してしまうことで、かつての大阪・京都間ノンストップ運転の名残も完全に消滅してしまうわけであり、ある意味、時代の一区切りを迎えるような感慨を覚えます。
この先のことについては京阪からのリリース文書に譲るとして、全体としては利用実態を反映しての”減量ダイヤ”(特に樟葉以東)となっているだけでなく、「急行」以上の優等種別に於ける”淀屋橋シフト”を明確に打ち出していることが窺えます。
あとは列車種別毎の役割の明確化とでもいうか───例えば「特急」は大阪方面(淀屋橋・中之島)と京都方面(三条・出町柳)を相互に行き来する向きに、「急行」は大阪府内区間主要駅へのアクセスのため、というふうに・・・
中之島線内の運転本数削減に「快速急行」主体から萱島以東複線区間内各停の「準急」主体へのトーンダウンも、開業当初の予測を大幅に下回る同線に於ける利用実態が背景にあるとはいえ、同線開業直前に催されたトンネルウオークに参加した人間の一人として、ちょっと寂しさを禁じ得ないところ。
中之島線開業に合わせてデビューした2代目3000系電車にとって、今度のダイヤ改正は早くも転機となりそうなところですね。
昨年10月のうちに「事業の選択と集中を加速させる」と表明している京阪は、「利便性を担保しつつ需要実態に見合った運行体系を構築する」ことを理由に、今度の5月ダイヤ改正に加えて、2年後(2013年→伊勢神宮式年遷宮の当たり年)にも更なる”減量”を伴うダイヤ改正を施行する予定とも伝わってきています。
京阪神間を結ぶJRと各大手私鉄の間での激しいパイの奪い合いが展開されてきている中で、この先どのような方向性を示してくるのか、気になるところです。
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
←ソーシャルブックマークです
←ランキング参加中。各1クリックご投票を!
« 4代目博多駅ビル「JR博多シティ」新装開業・・・3月3日、九州新幹線鹿児島ルート全線開業9日前。阪急百貨店を核に | トップページ | E5系'はやぶさ'車両、東北新幹線に登場──3月5日。いきなり遭遇した2度のトラブルに対し”真の実力”見せつけたか »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 京阪線”減量”ダイヤ改正へ──5月28日、淀駅上下線高架化完成に合わせて。”淀屋橋シフト”明確化:
» 京阪、2011年5月28日(土)ダイヤ改正実施 [kqtrain.net(京浜急行)]
【報道発表】5月28日(土)始発から京阪線のダイヤを一部変更します|こころまち つくろう KEIHAN -京阪電車 [続きを読む]
» 日中の中之島発着快速急行廃止 [たべちゃんの旅行記「旅のメモ」]
2008年10月に華々しく開業した京阪中之島線。看板列車として快速急行が導入さ [続きを読む]
« 4代目博多駅ビル「JR博多シティ」新装開業・・・3月3日、九州新幹線鹿児島ルート全線開業9日前。阪急百貨店を核に | トップページ | E5系'はやぶさ'車両、東北新幹線に登場──3月5日。いきなり遭遇した2度のトラブルに対し”真の実力”見せつけたか »
南八尾電車区さんこんばんは。淀駅高架が完成するんですね。
京都に住んでいても私の場合、阪急やJRで大阪へ行くもんで、京阪は天満橋・淀屋橋方面に仕事関係で行く以外に乗る機会がほとんどないもんで、今まで中之島線には残念ながら乗ったことはありません。リーガロイヤルや大阪国際会議場に行くこともないんで当分乗らんでしょうな。
本線でも充足できるから中之島線の乗客が伸びないのかも?伸びないから減らされる。と負のスパイラルにはまるような。
設備投資に莫大なお金が掛かるのは承知で、川島了三氏が「ビーバップハイスクール」で言っていたようにUSJまで延伸もやっぱり考えているのかな?そのための布石?
そやけど減価償却でけへんか。京阪はやっぱり「攻めの京阪」とはなれへんのかな~。
投稿: taimei1226 | 2011年3月 7日 (月) 02時41分
taimei1226さん、こんにちは。
早速コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
私も中之島線に乗る機会は皆無に等しいですね。
開業してから今日に至るまでに利用したのは、開業した年の秋だったか、中之島駅の南方向に位置する旅行系専門学校に何かの検定試験を受けに行くべく、京橋から終点の中之島まで乗った時ぐらいです。
現状では、京阪本線と並行して走っていることに加え、終点・中之島駅自体が他の鉄道路線と交わっていないことなどもあって、伸び悩んでいるように思えるところです。
ただ、構想では中之島から更に西進して西九条そして桜島あたりまで延ばす計画となっている他、これとは別に同じく構想段階にある「なにわ筋線」が、中之島駅あたりで垂直交差すると共に、駅を設けて乗り換え出来るようにするという計画が存在するみたいなのですが、中之島駅からの延伸にせよ「なにわ筋線」の開業にせよ、実現するのは果たしていつのことになるのやら・・・
とはいえ、もしこれらの構想が実現すれば、中之島線の存在意義は一気に高まると思います。
何はともあれ、当面、厳しい状態が続きそうですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年3月 7日 (月) 14時59分