E5系'はやぶさ'車両、東北新幹線に登場──3月5日。いきなり遭遇した2度のトラブルに対し”真の実力”見せつけたか
九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)の全線開業などを盛り込む今春のJRグループ定例ダイヤ改正の施行まで残り5日に迫る中・・・
昨年(2010年)12月4日に新青森まで延伸開業したばかりの東北新幹線に於いて、一昨日(3月5日)、E5系新幹線電車が新規投入され、かつて存在していた九州方面夜行列車に由来する新しい新幹線列車「はやぶさ」としてデビューしました。
鹿児島ルート全線開業(そしてJRダイヤ改正)のちょうど1週間前に先行してのデビューとなりましたね。
今回東北新幹線に於いて正式デビューを飾ったのは、JR東日本の新幹線試験車両「FASTECH 360」を使っての高速度試験を繰り返し得られたデータを基に製造されたE5系新幹線電車。
東海道・山陽新幹線に於けるN700系と同様、曲線区間に於いても乗り心地に影響を与えずに(というか遠心力を抑制しながら)高速で通過出来るよう、車体傾斜システム(最大傾斜1.5度)が搭載されています。
上から見たその姿は、カモノハシにそっくり───色合いなどから、思わずJR西日本の「カモノハシのイコちゃん」(「ICOCA」のマスコットキャラクター)をイメージしてしまうこともありました。
新幹線車両の前面形状でカモノハシを連想させるものといえば、他に東海道・山陽新幹線に於ける700系車両が挙げられるところなのですが、E5系車両はそれ以上によく似ています。
E5系車両が走っている姿を上から眺めれば、まるでエメラルドグリーン(公式には「常磐グリーン」)をしたカモノハシが走っているかのように映ってしまいます(笑)
そんなE5系車両が新規投入されての「はやぶさ」デビューとなった去る3月5日・・・
各種メディアは一斉に、新青森、東京、仙台などで、関係者(JR社員・地元自治体関係者ほか)並びに多数の鉄道ファンらギャラリーたちに見送られつつ発車していくE5系”はやぶさ”車両の姿を捉えていました。
新青森と仙台では、それぞれの地方に於いて伝わる郷土の祭りのお囃子も加わり、晴れの門出に花を添えていました《新青森駅は「ねぶたばやし」、仙台駅は「すずめ踊り(囃子付き)」》。
それと、この新幹線車両で初めて導入された特別グリーン車「グランクラス」の車内にもカメラが入り、幅広な新幹線車両に淡いクリーム色系統をした「1×2」配列の幅広座席が、木目貴重な落ち着いた内装に囲まれながらも圧倒的な存在感を示しているかのようでした。
余談ながら、この「グランクラス」車の座席、開業初日に於ける「はやぶさ」全列車分が1ヶ月前の前売り開始当日のうちに20秒で全て完売となった一方で、早速その「グランクラス」座席指定券(+新幹線特急券)がヤフオクにも続々と出品され〔「少なくとも70点が出品」と報じる一部メディア有り〕、定価の二十数倍にもなる385,000円で落札されたケースも───どうやら、見事、転売人たちのターゲットにされてしまっていたみたいです《う~ん…》。
しかし、その「はやぶさ」ことE5系車両のデビュー当日、東京始発1番列車となった「はやぶさ1号」に於いて2度のトラブルに遭遇・・・
東京駅発車直前に発生した60代男性転落トラブルと、「二戸~八戸」間走行中に於ける緊急通報ボタン誤操作トラブル《某在京キー局は「子供の乗客が押した」と報道》。
そういえば、昨年(2010年)12月4日の東北新幹線「八戸~新青森」間延伸開業(東北新幹線全線開業)の際にも、開業初日にいきなりトラブルが相次いで発生していましたね───尤もその中には自然現象(強風)に起因したものも含まれていますが。
JR東日本管轄新幹線群は、呪われているのだろうか・・・
それはさておき、下りE5系デビュー1番列車にしていきなり2度のトラブルに巻き込まれた「はやぶさ1号」だったわけでありますが、前記の転落トラブルにより東京を7分遅れで発車したものの、終着駅・新青森にはなんと3分遅れでの到着で済んだのだそうな。
ネット上に流布されている話では、遅れを取り戻すべく「回復運転」を行った結果、仙台駅発車時点で遅れを完全に取り戻していたのだとか───E5系車両は2012年度末に「宇都宮~盛岡」間に於いて最高速度320キロで運転される予定(但し単独走行に於いて)となっていて、今回の新規投入では暫定的に最高速度300キロとされているわけですが、この「回復運転」措置が執られた結果、図らずも仙台までの何処かの地点で320キロに近い速度で走行していた可能性大ですね。
思わぬ形でE5系の真の実力を見せつけていたような気がしています《あ、なにもトラブルが発生するのを奨励しているわけではありませんよ!》。
いきなり2度のトラブルが発生していたものの、大事故につながることなく無事にデビュー当日の運行を終えたあたり、私も一安心しています。
今後のE5系”はやぶさ”車両の活躍ぶりに期待していようと思います。
そして、次は九州新幹線・鹿児島ルートの出番───トラブル無く歴史的瞬間が迎えられることを祈念しています。
P.S.
今回東北新幹線に於いて新規投入されましたE5系新幹線電車に初めて導入された「グランクラス」について、本文中では”特別グリーン車”と記しましたが、これはかつて旧国鉄に於いて三等級制が敷かれていた1960年以前に、現在のグリーン車に相当する二等車の範疇にありながら設備面で他の一般的な二等車と比べて抜きん出ていたものを指して「特別二等車」と呼んでいたことに準えたものです《E5系に於ける「グランクラス」と共に”特別グリーン車”の範疇に入るものとして、他にJR九州の787系特急形電車に導入されている「DXグリーン車」があります》。
一方、各種メディアでは「グランクラス」のことを”ファーストクラス”等と報じています───う~ん、旧国鉄で三等級制が敷かれていた時代に於ける等級毎の設備程度から考えると、やはり「グランクラス」は「特別二等車」ではなく「一等車」に準えるべきところかなぁ(悩)
しかし、ここで新青森方先頭車両にあたる10号車に連結されている「グランクラス」車と一つ後ろの9号車に連結されている通常のグリーン車のそれぞれの形式番号を見てみると、「グランクラス」車には「E514」が、通常のグリーン車には「E515」が、それぞれ付されています。
ご存じの方もおられるかと思いますが、新幹線車両に於ける形式番号の付け方の中で、十の位には用途を意味する番号が配され、「1」は一般的にグリーン車を意味することから、車両形式上「グランクラス」車もまたグリーン車の範疇に入るとも解釈出来るわけで、このことに加えて通常グリーン車との設備格差も考えて”特別グリーン車”(或いは”上級グリーン車”)と考えることもありかも・・・
なお、形式番号の一の位には動力の有無並びに運転台の有無を示す番号(というか「車種区分を意味する番号」)が入り、「グランクラス」車形式番号の一の位に来ている「4」は制御車(運転台のみ搭載;東北新幹線に於ける新青森方先頭車両)を、通常グリーン車形式番号の一の位に来ている「5」は中間電動車(動力機構のみ搭載)を、それぞれ意味しています。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『より速く、より快適に 東北新幹線「E5系」の魅力』
『E5系「はやぶさ1号」早速「回復運転」』
《上記記事のほか、新聞系メディア・放送メディア両関連報道記事も参照》
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南八尾電車区さんこんばんは。
とうとう青森から鹿児島まで新幹線で繋がりますね。E5系車両の「はやぶさ」もいろいろなアクシデントに見舞われながらも無事滑り出しましたね。
でもどうしても納得がいかないのが愛称が「はやぶさ」だということ。営業速度国内最高の320kmでの走行を目指しているから速さを印象付けるためなのかもわかりませんが、東京~西鹿児島へ走っていたころを知っている私にとってその愛称は東京以西の列車で使ってほしかった。東には東に似合う名称があるのでは?例えば「はつかり」とかあかんかったんかな。
そんなことより東海・西日本がだらしないのか心が広いのか「つばめ」も「かもめ」も九州に盗られてるしね。何とか「さくら」「みずほ」は守ったかな。
JNRからJRに変わったんやから堅いこと言うたらあかんのもわかるが・・・。
「富士」「はと」はもう復活はないんでしょうか「雷鳥」も消えるしな。どうも愚痴の文章になってしまいました。すいません。
投稿: taimei1226 | 2011年3月 9日 (水) 00時58分
taimei1226さん、こんばんは。
私もE5系充当列車に付与される名称が「はやぶさ」と決まったときにはビックリでしたよ。
尤も山陽・九州新幹線で「さくら」を上回る速達新幹線列車の名称として「みずほ」と決まったときにも意外に感じたものでしたが・・・
とはいえ、決まってしまったことなので、今は静かに見守るのみです。
それはさておき、今回の東北地方を襲った大地震で、去る3月5日にデビューしたばかりのE5系”はやぶさ”車両にも被害が及んでいないのか否か、ちょっと心配です。
あと、宮城県内の利府町など複数の自治体にまたがって所在するJR東日本の新幹線総合車両センターの被災状況も今のところ一つも情報として入ってきていないため、入庫している新幹線車両の被害程度などを知る由もなく、こちらも気になるところです。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年3月12日 (土) 02時16分
今回が初投稿です。
華々しくデビューした「はやぶさ」ですが
それから1週間も経たずして東日本大震災が発生してしまいました。
特に今回はM9.0という大規模なもので
太平洋岸を中心に甚大な津波被害を出しています。
東北新幹線も17日現在那須塩原以北の復旧の目途は立っていません。
特に福島県から岩手県にかけての線路の被害が心配です。
投稿: えびちゃん | 2011年3月17日 (木) 11時31分
えびちゃんさん、こんにちは。
こちらこそ初めまして。
それにしても鉄道に於いても被害甚大ですね───被災範囲が、16年前に発生した阪神・淡路大震災の時と比べて、遙かに広範囲であるように思えます。
東北新幹線も、時折テレビでチラリと映ったりしていましたが〔北上あたりだったか、よく覚えていませんが…〕、高架橋脚が鉄筋むき出しとなってグニャリと折れ曲がったり、架線柱も内側に折れ曲がったり・・・これは復旧までにかなりの時間を要しそう、と感じました。
とりあえず今は、新幹線・在来線とも、被害の比較的少ないところから順に復旧工事を進めていき、不通区間を絞り込んでいく───これあるのみですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2011年3月19日 (土) 11時54分