臨時の石油列車、横浜(根岸)から盛岡と郡山に向けて運転──東日本大震災の被災地への石油類供給のため
3月11日に襲来した東日本大震災(2011年東北地方太平洋沖地震)からの復興は、徐々に、しかし確実に進んできているように見受けられるところです《尤も地域によりその進捗状況に差が出てきてしまっているみたいですが…》。
で、東北地方に於ける鉄路に関しても、いわゆる「日本海縦貫線」と称されているルートのうちJR東日本管轄区間(直江津以北)に関しては既に全線が復旧し〔勿論直江津以南のJR西日本管轄区間は大丈夫…〕、そこへ東北新幹線系統のうち盛岡以北区間と「秋田新幹線」(田沢湖線+奥羽本線秋田口標準軌区間)、更に東北新幹線・盛岡以北区間と並行して走る第3セクター鉄道路線(IGRいわて銀河鉄道&青い森鉄道)の全線も復旧を果たしている模様で、これによりほぼP字状に開通した格好となっています。
更に日本海縦貫線を除く盛岡・秋田以南のエリアについても、東北本線が「盛岡~一ノ関」間で既に復旧されているほか、その途中にあたる北上と奥羽本線・横手とを結ぶ北上線の全線、そして奥羽本線「秋田~大曲~横手~横堀」間も復旧となる等、少し迂回する格好になるものの、北東北3県(青森・秋田・岩手)の内陸部や日本海側から首都圏などに抜けられるようになってきていますね《勿論これ以外にも復旧している区間がありますが、今回は割愛します》。
「P字状」というよりは「水道の蛇口状」(但し”栓”無し)に復旧した、と言ったほうがいいのだろうか───あ、運転本数に関しては別の話としていますので、念のため。
それはさておき、「P字状」いや「水道の蛇口状」に鉄路が復旧したことを象徴する出来事の一つとして、横浜(根岸)から東北に向けての「石油列車」(タンク車による車扱貨物列車)が臨時運転されたとの報道があります。
この報道に接した私自身も、外には現しませんでしたが、テンションが上がっていました。
各種メディアによる報道によると、去る3月18日から1日1本(返空分も含めて1往復)にて運転を開始、3日後の21日からは1本増発して1日2本(同2往復)体勢での運転となっている模様。
このうち18日から運転されている分については、JX日鉱日石エネルギー根岸製油所を発送元としており、タンク車18両編成にて総積載量792kl(ガソリン405kl・軽油387kl)、根岸を夜19時44分に発車、盛岡貨物ターミナルには翌日夜21時51分に到着するという運行ダイヤとなっているのだそうな。
発送元となっているJX日鉱日石エネルギー根岸製油所自体は去る3月21日に稼働再開したとも報じられてきていますので、このことから考えると、18日から運び出されているガソリンと軽油については、恐らく震災前に於いて既に精製し終えている在庫分の一部とみられるところでしょう。
そして21日から増発された1本については、同じく根岸駅を始発駅として灯油と重油合わせて約440klを積載して運行するとの話ですが、こちらに関しては発送元を明らかにしていませんが、根岸駅を始発駅としているあたり、18日から運転している分と同様、JX日鉱日石エネルギー根岸製油所を発送元としているものと思われます。
というか、稼働再開したことを受けて1本増発した、というふうに考えるべきなのか・・・
加えて、明日(3月25日)からは根岸と、新潟そして磐越西線経由で郡山とを結ぶ石油列車も運転開始するとも報じられてきています。
これは磐越西線自体が明後日(3月26日)から全線運転再開となることを受けて決まったものとみられます。
磐越西線内には、ご存じの方もおられるかと思いますが、電化区間内(郡山~喜多方)に於いて最大勾配25パーミルの急勾配が存在します《25パーミル───そういえば北海道・根室本線「落合~新得」間の、かつて「狩勝トンネル」や新内駅などを擁していた旧線ルートの最大勾配も25パーミルだったと聞きますが、存命当時は蒸気機関車が主力であり、特に全長954mの「狩勝トンネル」は新得方から落合方にかけて上り坂一方となっていて、鉄道員(特に機関士・機関助士たち)にとって難行苦行を強いられた場所と伝えられています》。
このため、まず「根岸~新潟貨物ターミナル」間については1日おきにタンク車20両編成にて運転し〔隔日運行〕、新潟貨物ターミナル駅にて10両ずつ2編成に分割した上で「新潟貨物ターミナル~郡山」間は1日1編成10両ずつ毎日運行させる・・・という形が採られる模様。
これにより郡山には毎日約600klずつ運ばれる計算になるのだとか───なお、先に記した急勾配の存在のため、新潟からの磐越西線内についてはDD51ディーゼル機関車による重連牽引となる見通しです。
郡山には発車日の翌日に到着する予定とのこと───前記の磐越西線の運転再開のタイミングから考えて、恐らく、盛岡行き臨時石油列車と同様、根岸発車は夜間時間帯となるんでしょうね。
これで被災地域の北側と南側からそれぞれ石油類を供給出来るようなるわけでありますが、その中間にあたる宮城県あたりでも21日頃から、塩釜港の部分復旧などに伴い、同港に約2000kl積載したタンカーが毎日入港してきているとの話も伝わってきています。
被災地にまんべんなく届くにはまだまだ時間がかかりそうな情勢ですが、これで少しでも復興に向けた動きに弾みが付ければ、と願っています。
何はともあれ、鉄道もまた震災復興の一端を担っていることが示されたあたり、鉄道好きの一人として嬉しい限りです。
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
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