ホータン(和田)地区に鉄路・・・中国、喀和線。南疆線カシュガル(喀什)駅から《シルクロード;来月から旅客営業開始》
1980年(昭和55年)度の1年間(1980年4月→1981年3月)にわたってNHK総合テレビに於いて放映されていた、NHK特集「シルクロード 絲綢之路」。
1ヶ月に1回のペースで都合12回放映されたこの日中共同取材によるシリーズ・ドキュメンタリーは評判を呼び、何度もビデオ化されたのだとか。
その中に、第9回放映分として『天山を貫く ~南彊鉄道~』(1980年12月1日放送)があります。
今は無き「大阪府立文化情報センター」が、かつて中之島界隈(住友中之島ビル5階;旧フェスティバルホールから西に徒歩3~4分)に所在していた頃、鉄道好きな私は同センター館内の一角に設けられたビデオ視聴コーナーに於いて、当時同センターが所蔵していた「シルクロード 絲綢之路」ビデオセットの中に含まれていた『天山を貫く ~南彊鉄道~』の巻を借りてきては繰り返し視聴し、スケールの大きさ等に思わずのめり込んでしまうほどでした。
この第9回『天山を貫く ~南彊鉄道~』は、中国大陸の内陸部に向かって伸びる幹線のひとつである中国国鉄・蘭新線(蘭州~ウルムチ)のトルファン(吐魯番)から分岐する南疆線(南疆鉄路)に入り、当該路線の沿線に所在する遺跡などを訪ね歩くというもの。
放映当時、この南疆線は魚兒溝までしか開業されておらず、その先はコルラ(庫爾勒)まで中国人民解放軍の管理下に置かれてレール敷設が終わったばかりという状態でした〔中でも「焉耆~コルラ」間はレールのみ敷かれてバラストが未だ入れられていない様子でした〕───それでも魚兒溝からは人民解放軍保有(?)の蒸気機関車に牽引され、当時のレール敷設終点だったコルラまで走り抜けていました《バラストが入れられていなかった焉耆駅あたりからは自転車並みとされる「10km/h」の速度で運転されていたそうな》。
放映から約4年後(1984年)にコルラ(庫爾勒)まで正式開業した南疆線は昔の天山南路に沿って更に東方へと路線を延ばしていき、20世紀終わり近くの1999年12月には、ついにタクラマカン砂漠西端のオアシスであるカシュガル(喀什噶爾、喀什)まで開業するに至りました。
起点駅トルファンからの距離、実に1,446km───これは東京から東海道・山陽本線、鹿児島本線(1駅間のみ)、日豊本線を経由して宮崎に至る片道営業キロにほぼ相当するものとなっています《何とも巨大なローカル線…》。
現在の南疆線終点駅・カシュガルについて───広大な旅客用単式ホーム1面のみ持つ駅で〔他に貨物取扱施設有り〕、旅客列車は1日2本(というか2往復)発着するのみなのですが、イスラムの拠点都市の一つとして発展したことに因んでなのでしょう、モスクをモチーフにした大がかりな駅舎(尤もモスク寺院そのものを持ち込んでいるわけではありませんが…)が軒を構えています。
ところが、昨日か一昨日ぐらいの話になりますが、ひょんなことで、このカシュガル駅を起点にして更に鉄道の延伸工事が行われたとの報道に接するところとなりました。
新たな鉄道延伸先は、新疆ウィグル自治区の南西部に位置するホータン(和田)───クルミやナツメなどの特産品と共に、古くから玉(翡翠)の産出地としても知られており、特にこのホータン地区で産出される”和田玉”は「中国四大玉石」の中でも最高の玉とされており、中国の「国石」にもされているほどだとか。
このホータンに向けての鉄道延伸工事が2008年12月頃に始まり、昨年(2010年)11月6日に全線に渡るレールの敷設が完了、その後も駅などの地上施設の建設が急ピッチで進み、年も押し迫った12月30日に開業となりました。
現地報道によると、今回建設された、「カシュガル(喀什)~ホータン(和田)」間を結ぶことになる喀和線(喀和鉄路?)では、僅か1年3ヶ月で全区間のレール敷設を成し遂げたとのこと───これは中国に於ける鉄道建設史上最速の部類に入るのだとか《レール自体も「ロングレール」として乗り心地向上を図っている旨のことを報じています》。
また、全線にわたって列車集中制御装置(CTC)が導入されており、信号操作などの運転業務に係る要員を最小限に抑えているのだとか・・・
この喀和線でありますが、現地報道から、現在は貨物営業のみ行われている模様で、来月(6月)からは旅客営業も開始するとのこと───予定されている旅客列車の運行本数については、一部の中国メディアが「1日6往復」と報じています。
カシュガル駅までの南疆線については、現在、旅客向けに1日2往復の全線通し運転の列車などが設定されている模様でありますが、仮に上記報道の通りカシュガル駅からの喀和線に於いて旅客列車が1日6往復運転されるようなことになれば、南疆線に於いても旅客列車増発に動く可能性が出てくるでしょう。
それにしても、いつの間にトルファンからカシュガルを経てホータンにまで鉄路を伸ばしたのやら───中国のことだから政治的意図がちらついていることは想像に難くないところではありますが、それでも鉄道好きの一人として凄く羨ましい気分にさせられますね。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『新疆、2つの鉄道プロジェクトがスタート』
『新疆:喀什-和田鉄道が全線着工』
『喀什~和田鉄道が全線開通』
『喀什•和田鉄道開通 年貨物輸送量1500万トン』
『新疆喀什至和田铁路已铺通 连接南疆10县市(图)』
《→『喀和線が全線敷設終了』》
『喀什至和田铁路30日开通货运 明年6月开通客运』
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私も6年位前に再放送で視ましたよ。
(^-^)
“はやて”とか上海の地下鉄もいいけどこういう重厚長大な鉄道の方が中国らしいな。
投稿: とんじ | 2011年10月26日 (水) 15時31分