大阪市営地下鉄、8年連続黒字で累積赤字解消へ・・・2010年度決算見込。運輸収益は減少《バスは28年連続赤字》
大阪市の公営交通事業は大赤字を抱えていると思い込んできた私なのですが・・・
とあるブログサイトを通じて知るところとなった話───大阪市営地下鉄の累積赤字が昨年度(2010年度)の決算見込みの中で解消されそうだ、とのこと。
去る6月10日付で、大阪市は8つの公営・準公営企業会計の昨年度〔平成22年(2010年)度〕決算見込みを発表しました。
それによると、高速鉄道(地下鉄)事業を含む5事業会計に関して黒字決算となる見通しであると共に、こと地下鉄事業に関しては、一昨年度〔平成21年(2009年)度〕と比べて黒字額自体は減少しているものの、平成15年度(2003年度)以来8年連続の黒字決算となり、最大で約2933億円にも膨れあがっていた累積赤字が解消される見込みとなっています。
このことに関しては既に各種メディアがこぞって報じてきていますので、ご存じの方も多いことかと思います。
私も正直ビックリでした───大赤字を抱えていると思い込んでいた大阪市交通局が、こと地下鉄事業に関しては、2003年度以降、毎年黒字決算をたたき出していたなんて・・・
今回地下鉄事業に於いて8年連続の黒字決算見通しとなったことについて大阪市は、車両保守業務の外部(外郭団体?)への委託や職員の効率的配置に伴う人件費削減に加えて起債残高を抑制することで利払いを減らしてきたことが功を奏した、と話しています。
ただ本業の儲けを示す運輸収益に関しては、乗客の減少から3年連続で前年度比マイナスが見込まれています。
現在8つ存在する大阪市営地下鉄の路線の中では、御堂筋線(1号線)の黒字規模が突出している一方、収益全体の足を一番引っ張っているとみられるのは、やはり大阪市の東側をほぼ南北に走り、中心部を通らない今里筋線(8号線)ということになるのでしょうか・・・
大阪市内中心部を通らないことに加え、北端の駅(起点駅?)である井高野はどの鉄道路線とも接続していない、住宅街の中に所在する駅であることも災いしているような気がしてならないところが正直あります。
その井高野駅については、少し北に行けば大阪市を抜けてしまうという独特な事情も抱えていることでしょうけれども、ここは利便性向上のため、もう少し柔軟に対応し行動を起こしてもいいのでは、と思うところがあります《勿論延伸先の自治体の交渉も不可欠となりますが…》。
一つ考えているのは、阪急京都本線の任意の一駅(例えば摂津市駅…塩野義製薬の工場近くを通過するルートがとれそうだから)と接続させると共に、清水駅から長堀鶴見緑地線・鶴見緑地駅近くに所在する鶴見検車場に向けて伸びている短絡線(鶴見緑地北車庫経由)を拡充(増設とか)して長堀鶴見緑地線と営業運転レヴェルでも行き来を可能にすることで、井高野・太子橋今市方面から京橋、森ノ宮、心斎橋へと直通乗り入れ出来るようにする───ちょっと無茶な点もあるかも知れませんが、こうすることで現状よりは利便性は高まると思います。
尤も運転本数の問題や会計処理上の問題など立ちはだかる壁は少なくないでしょうが、運輸収益を少しでも向上させるため、この今里筋線・長堀鶴見緑地線の例に限らず、経営状況の許す限り、ある程度”攻め”の姿勢も見せたほうがいいように思います。
一方、自動車運送(バス)事業に関しては経常損益で24億円の赤字が見込まれており、これで昭和58年度以来28年連続の赤字決算となる見通し。
バスの場合、どうしても道路混雑状況等にモロに左右されてしまうという宿命的短所を抱える一方で、大阪市営バスの場合は1回乗車あたり何処まで乗っても200円均一(一般バスの場合)ですし、一定の条件下で一般バスの運賃(乗車1回分)にてバス同士の乗り継ぎが1回に限り認められていますので、一刻を争うような用事(公用、商談とか)を抱えているのであれば別ですが、そうでなければ、TPOにもよりますが、バスも捨てたものではないと考えています。
また、個々の施設がホームページ上で施設までの交通アクセスを案内する際、施設の周辺に鉄道駅とバス停留所(駅前に設置されている停留所を除く)の両方が所在する場合に於いて、鉄道駅のみ案内するケースが少なくないような気がします───尤も、現実問題、道路状況に左右されること(前記)に加え、運転本数面で鉄道のほうが優勢であるケースが大半なので、自然とそうなってしまうんでしょうが・・・
例として、「エル・おおさか」と「アネックスパル法円坂」の2施設について示しますと〔両者とも「サントリー1万人の第九」今冬開催分(第29回公演)に係るレッスン会場として充当される予定の施設です〕・・・
「エル・おおさか」の場合、公式サイト上では天満橋・北浜・淀屋橋(以上京阪)・大阪天満宮(JR)の各鉄道駅を施設最寄りとして案内していますが、実際には大阪市営バス「天神橋」停留所が一番近いです《62号系統(大阪駅前~住吉車庫)と105号系統(天満橋~なんば)が当該停留所を経由》。
また「アネックスパル法円坂」の場合、公式サイト上では森ノ宮駅(JR&地下鉄)と谷町4丁目駅(地下鉄)のみを施設最寄りとして案内していますが、これら2駅と徒歩所要時分にしてほぼ同じぐらいの距離のところに大阪市営バス「国立病院」停留所も存在します《当該施設のほぼ南西方向に位置;62号系統(大阪駅前~住吉車庫)と85A号系統(杭全→玉造→国立病院→杭全)が当該停留所を経由》。
以上2施設とも運転本数面ではJRや地下鉄のほうが圧倒的に優勢なのですが、ケースによっては大阪市営バスのほうが有利なこともあろうかと思いますし、現在では大阪市交通局Webサイトにてバス路線図や系統・停留所毎の通過予定(発車)時刻を予め確認しておくことも出来ますので、ユーザー側に於いてはTPOにより鉄道とバスを対等に使い分けてみるとか、施設側に於いては施設周辺に存在する鉄道駅とバス停留所を施設最寄りとして平等に取り扱うとかすることで、少しでもバスの活性化につながりそうに思えるところです。
今回累積赤字の解消が見込まれる地下鉄であれ、また28年連続の赤字が見込まれるバスであれ、勿論経営合理化の努力も継続しなければならないでしょうけれども、少しでも多くの人に乗ってもらえるような工夫も必要になってくるのでは──今はそう思うのみです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『大阪市営地下鉄、累積赤字を解消 公営では全国初』
《→『大阪市、赤字バス事業へ30億円 地下鉄利益から投入』》
『大阪市:決算見込み、地下鉄の累積赤字解消 公営で全国初、最大2933億円 /大阪』
『大阪市営地下鉄、累積赤字を解消 公営で全国初 職員減や業務効率化』《→『別頁』》
『大阪市地下鉄が累積赤字解消 公営で全国初』
『地下鉄の赤字解消 大阪市が企業会計速報版を発表』
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大阪市交通局のホームページを見ていたら、このような記事(PDFです)がありました。 [続きを読む]
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経費削減問題がまるで札幌市交通局と同じ課題だな!大阪市交通局は札幌市交通局に習ってほしいです!
投稿: ベンツ | 2013年2月25日 (月) 15時02分