特急「くろしお」向け287系のこと・・・3月17日JRダイヤ改正で登場。旧国鉄381系に性能面で匹敵、フォントも引き継ぐ
私の自宅が入るマンションにはCATV回線が後付けで張り巡らされており、その回線を利用したインターネットサービスを現在利用しています。
そのCATVインターネットサービスを受けるのに必要なケーブルモデムが、一昨日(3月12日)の朝、突然壊れてしまい、ネット接続が不能に陥りました。
その日の夜のうちにCATV会社に電話連絡し、昨日(3月13日)の昼にエンジニアが来宅してモデム交換をしてくれて事なきを得ましたが、それまでの間、自室内に引き込んでいるISDN(INSネット64・ライト)を利用してのダイヤルアップ接続を久しぶりにしまくりました(自爆)
今月分(2012年3月分)の電話代、そしてプロバイダからの請求額が気になる・・・
それはさておき、ちょっと関西圏内のJR線に纏わる話を。
来る3月17日に施行されるJRグループ定例ダイヤ改正では、ご存じのように、大阪駅を起点とする2本の夜行列車、寝台特急「日本海」と夜行急行「きたぐに」が定期列車として廃止となり多客期臨時扱いに格下げにされるという寂しい話がありますが、その一方で、現在は福知山線に既に導入されてきている287系直流特急形電車が、今度のダイヤ改正施行に伴い、阪和線・紀勢本線(きのくに線)などで運転される特急「くろしお」向けにも新規投入されるという”明るい話”もあります。
その「くろしお」向け287系車両は、既に報じられていますように、窓下に283系振り子式”オーシャンアロー”車両でも塗色として採用されたオーシャングリーンの細帯が走っているのが特徴でありますが、既に近畿車輛と川崎重工業(兵庫工場…車両カンパニー)から公式試運転を経て続々と納車されてきており、昨年(2011年)の9月末近くからは阪和線、きのくに線に於ける本格的な試運転を開始、そして先月(2月)の25・26両日には駅に留置しての一般公開(展示)も行われています。
特急「くろしお」といえば、経由線区におけるカーブの多さなどから、1978年10月に紀勢本線・新宮以西区間が電化されて以降、旧国鉄時代に製造された381系、そしてJR発足後に新規投入された283系(但し列車名は「オーシャンアロー」)と、何れも振り子式車両が投入されてきていることはご存じの通り。
そこに今回、振り子機構を備えていない287系を投入するところから、私もそうでしたが、所要時間が延びるのでは、との声が聞こえてきています。
しかし、287系のウィキペディア解説をよく読んでいると、この車両は「サンダーバード」や「はくたか」等で使われている681系や683系がベースとなっているそうな。
そして、この681系と683系の2系列は低重心設計により曲線通過性能の向上が図られていて、その性能は、曲率半径200m以上で「本則+15km/h」、同400m以上で「本則+20km/h」、同600m以上で「本則+25km/h」というふうに、前記の旧国鉄時代に造られた381系に匹敵するほどだといわれています。
つまり、これら2系列をベースに製造されている287系は、振り子機構を備えなくとも、381系で運転されていた時と比べて所要時間はさほど違いがないということなのだろうか・・・。
なお、特急「くろしお」が振り子機構を備えない車両で運転されたことは過去にも一度───旧国鉄末期の1985年4月から1986年10月までの約1年半にわたり、485系交直流特急形電車(かつて北陸路を駆け抜けていた特急「雷鳥」等で使われた車両としてお馴染みの存在)が充当されていたことがありますが、振り子機構を備えていないことに加えて低重心設計にもなっていないことから曲線区間を高速で通過出来ず、新宮以西区間電化完成(1978年10月2日)前にキハ80系気動車により運転されていた「くろしお」とトントンか、それよりも遅かったとの話もあります。
そのことから考えれば、今度紀伊半島を走る「くろしお」向けに新規投入される287系は、485系と比べて走行性能面で381系に随分近づけているような印象を受けるところです。
振り子機構を持たなくとも軽やかに駆け抜けてくれるであろう彼に期待しています。
P.S.
本文前半にて特急「くろしお」向け287系直流特急形電車が先月25・26両日に一般公開された旨を記しましたが、実際にその一般公開を見に出かけた人たちからネット上に寄せられてきているレポート類の中に、車体側面に備わっている種別表示窓をとらえた写真画像も添えられたものも一つ見つけました。
そこにはオーシャングリーンを背景にした「くろしお」表示が出ているのが見えていたわけでありますが、その「くろしお」表記で使われているフォントが、旧国鉄時代から生き続けてきた381系振り子式車両の前面ヘッドマークで掲出されていた「くろしお」フォントとほぼ同じ!
一目見て、思わず惚れ惚れしてしまった私です。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『【JR西】〈くろしお〉用287系本格的試運転始まる』
『「特急くろしお」における287系と381系の性能差』
『287系『くろしお』展示会@天王寺』
『特急「くろしお」に287系導入(でも振り子はダメっぽい)というニュースが和歌山ですら話題となっていない寂しさ』《485系「くろしお」がデザインされた旧国鉄オレンジカードの写真画像掲載有り》
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はじめまして。
時刻表によると、287系「くろしお」の和歌山~紀伊田辺間の所要時間は、381系と比べて平均5分遅くなります。
しかし、485系時代は、藤並駅に停車しないにもかかわらず、同区間を381系よりも15分も遅く走っていました。
つまり、485系は、287系と比べても、それより10分遅く走っていた計算になります(藤並駅の停車増分を考えると、11~12分差)。
つまり、この11~12分という時間差が、低重心化など設計技術の向上による非振り子車としてのスピードアップ部分、残りの5分が元来の振り子車との性能差によるもの、と考えることができます。
485系が本則、381系が本則+20km/hでカーブを通過していたとすると、287系のカーブ通過速度は恐らく本則+10~15km/hの走行を予定しているのではないか、と予想しています。
投稿: 無名 | 2012年3月15日 (木) 00時26分
無名さま、こんばんは、こちらこそ初めまして。
早速の、『時刻表』等で実際に調査された上でのレポートをありがとうございます。
287系、やはり381系振り子車両に所要時間で「5分及ばず」ですか───う~ん、残念。
でも、それが振り子機構を省いた287系としての現時点での能力の限界と見るべきでしょう。
一方で、旧国鉄末期の1年半の間のみ設定されていた”485系「くろしお」”から比較すれば10分少しのスピードアップとなっているあたりは、振り子機構を持たない一般的鉄道車両としては技術的進歩を遂げている、と讃えるべきところかな。
このあたり、本州JR3社の中で最も経営基盤が脆弱といわれるJR西日本による苦し紛れの技術的回答、と捉える向きも無くはないところですね。
「くろしお」向け287系が、ダイヤ改正後も残留することになっている”オーシャンアロー車両”こと283系振り子式特急形電車と競い合いつつ、紀州路でけなげに活躍してくれることを期待しています。
投稿: 南八尾電車区 | 2012年3月15日 (木) 01時44分
初投稿かと思います。
3月改正前の時刻表を見ても、区間にもよりますが287系と283・381系との差は微々たるものであり、列車によってはほぼ現行の所要時間にも見えます。ご指摘の通り、設計技術の向上や加減速性能など旧タイプの編成との性能差、さらには余裕時分があると考えられます。
一方で381系はともかく、283系は車齢が若いので当分は活躍と見ています。くろしおに投入するくらいなので、やくも系統も283・287系ベースの新型車両を投入するのかな、と思ってもいます。ゆったり化されてるとはいえ、種車が381系である以上あと何年耐えられるかが疑問なところです。
投稿: | 2012年4月11日 (水) 22時51分
「2012/04/11 22:51」付けで投稿されました方、おはようございます。
こちらこそ初めまして───レスが遅れまして申し訳ないです。
今春の改正ダイヤからの検証レポートをありがとうございます。
先に福知山線・山陰本線に投入され、その後阪和線・きのくに線にも投入された287系車両が、今後とも広く支持される存在として活躍そして成長してくれることを期待するのみです。
それと伯備線などを走る特急「やくも」についてですが、これは私自身うっかりしていました〔スミマセン!〕───確かに現時点では新型車両への置き換えの話は聞かれないですね。
現在「やくも」に使用されている381系「ゆったりやくも」車両について、確かに車体部分(車外・車内とも)の体質改善が行われている様子ですが、その一方で足回りの改善(走行機器類の更改)の有無については公式には何も触れられていませんし・・・
近い将来、何らかの新たな動きを見せるのかも知れませんが、私自身としても今は静観するのみです。
P.S.
同一内容のコメントを重複してお寄せ下さっていますので、当方に於いて1つに整理させて頂きました。
ゴメンナサイ。
投稿: 南八尾電車区 | 2012年4月20日 (金) 08時42分