「第九」話題・2012年度1号【3】”国技館5000人の第九コンサート”・・・劇音楽『献堂式』演奏完結。NHKニュースにも
今年度(2012年度)に入ってから現時点に於ける各「第九」イヴェントに纏わる話題。
ここまで、大阪「サントリー1万人の第九」と広島「第九ひろしま」の2つの「第九」イヴェントに纏わる話題を、それぞれお届けしました。
このうち、初回にお届けした「1万人の第九」に関しては、昨年(2011年)の東日本大震災で被災した東北地方太平洋地域内の1箇所にサテライト会場を設定し、本会場と中継回線を結んで公演を進めるという取り組み(サントリー1万人の第九with東北)を、昨年に引き続き、今年も実施するとのこと。
東日本大震災の被災地の中には復興の遅れているところも少なくなく、元の街並みに戻すまでの道のりがまだまだ険しいことを暗に示しているかのような印象を受けるところです。
さて今回は、例年2月下旬に東京・両国の国技館で開かれている「国技館5000人の第九コンサート」に纏わる話題です。
28回目を迎えた今年は去る2月26日(日)に開催され、昨年の「第九ひろしま2011」(「第九ひろしま」第27回公演)にてタクトを執った円光寺雅彦が公演指揮者として国技館のステージにも登場───国技館では、2008年開催の第24回公演以来、4年ぶりの登場となりました。
また公演後半の「第九」演奏に於けるソリスト陣4人に関しても、その半数は昨年の「第九ひろしま2011」に於ける「第九」演奏にてソリストを務めた人材をそのまま引き連れた格好となりました《実際どうなのかはわかりませんが…》。
そんな陣容で行われた今年の「5000人の第九」───折しも東日本大震災の発生から間もなく1年を迎える時期にあたり、公演自体も震災復興祈願を大義名分に掲げて実施され、主たる被災地である東北の岩手・宮城・福島の3県からも合唱出演していたこともあってか、公演の模様がNHKの全国ニュースに於いてとり上げられているのが見えました。
尤も、その一方で、同じく震災復興祈願を大義名分に掲げ、東日本大震災が発生した年の暮れに開催された「1万人の第九」や「第九ひろしま」に関しては、地方都市での開催に加えて両者とも民間放送事業者が主催していたことが災いしてか、NHKの全国ニュースでとり上げられることはありませんでしたが───まぁ、そうされる前に、各々の主催者に於いて自己のニュース番組の中で紹介しているんでしょうけれどもね。
それはさておき、そんな「震災復興を祈念する」という大義名分とは別に、今回の「5000人の第九」では、ある意味特記されるべき出来事もありました。
それは、ベートーヴェンの”祝典劇『献堂式』”の全曲演奏が今回の「5000人の第九」の場に於いて完結したということ。
『献堂式』と称される楽曲自体は、ベートーヴェンがウィーンのヨーゼフシュタット劇場のこけら落としのために作曲した序曲の一つとして存在し、作品番号「124」が付与されているのですが、これとは別に、劇付随音楽としての『献堂式』(つまり前記”祝典劇『献堂式』”)も存在しており、こちらには「Hess.118」という番号が与えられています。
尤も、この劇付随音楽としての『献堂式』に関しては、作曲依頼から初演期日までに至る期間があまりに短かったという事情があってか、当該作品初演の約10年前に現在のブダペストで初演された『アテネの廃墟』(作品113)の脚本と音楽の大部分を転用、これに序曲として作曲した前記「作品124」と合唱曲「WoO.98」を付け加えることで間に合わせたという話が有名になっていますが・・・
そんな曰く付きの作品ともいえる劇付随音楽『献堂式』が、JR両国駅にほど近い場所に建つ国技館で開催された「5000人の第九」の場に於いて、国技館と同じく東京・墨田区内に建設が進められてきた、自立式電波塔としては高さ世界一を誇る「東京スカイツリー」の建設及び完成(開業)を記念すべく、2010年開催の第26回公演から都合連続3回にわたって順次とりあげられていきました。
そして、去る2月26日に行われた第28回公演に於いて7曲目から9曲目が演奏され、見事完結。
なんと、この「5000人の第九」に於ける3年にわたっての演奏が「日本初演」になるのだとか───音楽史に残るであろう快挙ですね(微笑)
尤も私自身、その快挙に3回とも立ち会うことはありませんでしたが───最後に「5000人の第九」に合唱参加したのが2009年でしたので(沈)
何はともあれ、首都圏を中心に全国から集結した5000人前後の合唱団員(今年の合唱団員数は「4965人」)が集った、東京に於ける大規模な「第九」イヴェントに於いて、「第九」を書いたベートーヴェンによる埋もれた作品が日本で最初に全曲演奏を達成したというのは、立ち会わなかった私が言うのも変ですが、とても喜ばしいことのように感じています。
近々、この記念すべき出来事を、ウィキペディア内に掲載の「国技館5000人の第九コンサート」ページに追記する心積もりでいます《”近々”と記しましたが、実行に移せるのが果たしていつのことになるのやら…》。
「5000人の第九」を主催している国技館すみだ第九を歌う会が自ら開設しているWebサイトでは、現在も既に終えている第28回公演に係る公演チラシなどを掲載しているのみであり、29回目を迎える来年(2013年)の公演開催の有無については未だ何も告知していませんが、第28回公演に出演した一部の合唱団員から、来年も「2月24日(日)」に開催される予定であることが伝えられてきています。
「5000人の第九」では例年8月頃から合唱団員募集を初めていますので、遅くとも7月中には主催者Webサイトも来年向けに更新されることでしょう───今とりあえずはそれを待つのみですね。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『「献堂式」序曲(ベートーヴェン)』
『第九への勧誘』
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【関連記事〔「5000人の第九」第29回公演(2013年)〕】
「第29回「国技館5000人の第九コンサート」開催正式告知・・・第27回公演(2011年)の指揮者・ソリスト等そのまま招請」
「主催者公式サイトは『しょうじの部屋』!?──東京「国技館5000人の第九」第29回公演を巡って。間もなく更新か」
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