E5系”はやぶさ”車両、ブルーリボン賞受く──鉄道友の会、2011年就役車両から。ローレル賞は「HD300形機関車」
つい先日まですっかり忘れていました───ブルーリボン賞とローレル賞。
いうまでもなく、鉄道友の会が制定している、前年のうちに営業運転に入った鉄道車両を対象に選定・授与されるものなのですが、友の会年会費を支払っている身でありながら、ここ数年すっぽかしてしまっていて、申し訳ないとでもいうか・・・
賞の主催者たる鉄道友の会を初め鉄道専門メディアでも既に報じられていることなのですが、今年も昨年(2011年)に就役した鉄道車両の中から選抜が行われ、JR東日本の新幹線車両がブルーリボン賞の、そしてJR貨物のディーゼル機関車がローレル賞の、それぞれの栄誉に浴することに決しています。
【ブルーリボン賞】 E5系新幹線電車車両《JR東日本》 【ローレル賞】 HD300形ディーゼル(ハイブリッド)機関車《JR貨物》 |
このうち、ローレル賞を授与されることになったHD300形ディーゼル(ハイブリッド)機関車は電気式ディーゼル機関車とリチウムイオンバッテリーを動力源とする蓄電池機関車をいわば掛け合わせた”ハイブリッド機関車”として世に送り出されたものでありますが、パッと眺めているうち、運転室部分を除いて、角っぽいとでもいうか、武骨に鉄板を貼り合わせているような印象を抱いてしまうところがあります。
まぁ、それはそれである種の愛着を感じるところもありますけどね・・・
現在は試作車901号機のほか、今年1月に落成したばかりの量産車第1号「HD300-1」号機の2両が東京貨物ターミナル駅構内に於いて入換機として運用されているとの由───現時点では、正直、関西住まいの私にとっては馴染みの薄い存在ではあります。
一方、ブルーリボン賞を授与されることになったE5系新幹線電車は東北新幹線に於ける新列車「はやぶさ」のため製造された車両で、こちらもHD300形機関車と同じく関西いや西日本地域には無縁な存在なのですが〔当たり前か…〕、新規投入前後に各種マスメディアでも全国ニュース扱いでさんざん報じていたこともあって、その特徴的な外観も相まって、カモノハシそっくりな新幹線車両として私の頭に焼き付いてしまっています。
カモノハシを想起させてくれる車両といえば、他には東海道・山陽新幹線で運用されている700系新幹線電車がありますが、このE5系”はやぶさ”車両は、特に走っている姿を上から眺めた時、まさにカモノハシが新幹線のレール上をかけずり回っているような印象を抱いてしまうくらい、前面形状がカモノハシ(の顔)にそっくり《車体塗色は別にして》。
車体塗色も加味した場合には、JR西日本「ICOCA」のイメージキャラクター”イコちゃん”を想起してしまいそう(笑)
それはさておき、車両設計全般では、東海道・山陽新幹線に於ける最新型N700系と設計思想面で類似する点も幾つか見受けられる一方で、全車「フルアクティブサスペンション」を装備するなどN700系以上に造り込まれているような印象を受けるものも。
そして最大の売りは、グリーン車の更に上をいく席種「グランクラス(Gran Class)」が新たに設定されていること。
旧国鉄時代に名称として誕生しJRに引き継がれている「グリーン車」と呼称される席種を上回るグレードに分類される座席といえば、JR九州で運用されている787系特急形電車の1両分のうちの一部分にのみ設備されている「DXグリーン席」が存在しますが、この「グランクラス」では1両(10号車)丸ごと設定され、在来線車両と比べて幅広な新幹線車両に於いて「1×2」の座席配置を実現させる幅広なシートピッチを実現させており、且つ軽食やアメニティグッズ等の付帯サービスも用意されるなど、ソフトとハードの両面で充実させているような印象を受けます《一部のE5系使用「はやて」、及び今年3月17日のJRダイヤ改正で新たに設定されたE5系使用「なすの」では付帯サービスの提供無し》。
その一方で、この「グランクラス」という席種名称、今や席種名称として普遍化しているような感すらある「グリーン車」に対し、JR東日本管内のみで通用する固有名詞であるかのような印象を正直抱いてしまうところがあり、実際にこの席種名称そのものがJR東日本の登録商標となっていることもあって、仮に将来JR他社でこのような「グリーン車」以上のグレードにランクされる席種の車両が登場するとしても使われることは無いのでは、と思ってしまいます。
いや、それ以前に、E5系「グランクラス」やJR九州の787系「DXグリーン席」の他に、この先JR特急形車両に「グリーン車」を上回るグレードの席種が出現するか否かが不明な状態。
リーマンショックやユーロ危機などの影響で景気が冷え込んでいる中では、出現することは無いのだろうなぁ・・・
なお、E5系新幹線電車に関しては、本記事を書いているうちに新たに一つ気になることが出てきていますが、これに関しては機会を改めて記します。
とにもかくにも、今回受賞した2車種に対し、遅れ馳せながら、心からお祝い申し上げると共に、今後益々の活躍を期待しています。
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今年のブルーリボン賞・ローレル賞が発表されましたが
今年も関西、いや西日本に縁のない車両でしたね。
鉄道界も東京に一極集中してしまうのでしょうか?
投稿: えびちゃん | 2012年6月 8日 (金) 10時54分
えびちゃんさん、こんばんは。
お久しぶりです。
ブルーリボン賞及びローレル賞の両受賞車両についてですが、仰るとおり、今年も昨年と同様、何れも関西圏には無縁な、首都圏で活躍する鉄道車両が選ばれています。
関西圏で活躍する鉄道車両では、2010年に近鉄の22600系特急用電車(別名”スズメバチ”)がローレル賞を受賞したのが最後となっています。
鉄道界の東京一極集中───鉄道事業者(特にJRや大手私鉄・公営交通)毎の経営姿勢や財務状況も併せて考慮すれば、それもまた否定しがたいのかもしれないですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2012年6月 8日 (金) 21時31分