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沖縄のオーケストラのこと──沖縄に於けるクラシック音楽はアマチュア楽団の歴史と共に歩んできた!?

 昨日(10月10日)、毎日新聞Webサイト上で「サントリー1万人の第九」に纏わる記事を見つけましたが、その際、当該記事に紐付けされていた「オススメ記事」のうちの一記事を通じて私の知るところとなったことについて記します。

 

 ちなみに、その”紐付けされていた「オススメ記事」のうちの一記事”とはこちらになります

 

 なお、これから記す内容は「第九」とは関係ありません(笑)───日本のオーケストラに纏わる話になります。

 

 

 ここで、いきなりクイズです。

 

 日本の南西部かつ最西端に位置する県、沖縄───その沖縄県内を活動本拠としている以下の3楽団のうち、プロオーケストラではないのはどれ?

 

 (1)沖縄交響楽団
 (2)琉球交響楽団
 (3)琉球フィルハーモニー管弦楽団

 

 九州・沖縄地域以外にお住まいの方、おわかりになりましたか?

 

 

 

 

 正解は・・・

 

 

 

 

 (1)沖縄交響楽団

 

 

 

 

です。

 この沖縄交響楽団については、自ら開設している楽団ホームページの中で「1956年に創立され、今年(2012年)創立56年を迎えたフル編成の社会人アマチュアオーケストラ」と紹介しています。

 同楽団ホームページによると、1956年に当時米国統治下にあった沖縄で米国軍人を中心に結成された「チェンバー・オーケストラ」を前身とし、1971年に38名の楽団員を擁して現在の「沖縄交響楽団」に改称、そして今日に至っていますが、その過程で、十束尚宏小泉ひろし曽我大介等の名だたる指揮者達を迎えたり、2006年10月にはマーラー作曲『交響曲第2番”復活”』の沖縄初演を成し遂げています。

 このことから考えると、沖響は日本国内に於けるアマチュアオーケストラの中では高いレヴェルの実力を具備しているといえるでしょう《同等程度の実力を持つアマチュア・オケとして、私の頭の中では他に「徳島交響楽団」の名前が思い浮かびます》。

 

 

 残る(2)と(3)についてですが・・・

 

 「(2)琉球交響楽団」は2001年3月、地元・沖縄で活動するプロの演奏家たちを集めて、沖縄地域に於ける初めての本格的なプロオーケストラとして創立、東京交響楽団の常任指揮者で来年(2013年)4月には群馬交響楽団音楽監督にも就任する予定の大友直人をミュージック・アドヴァイザーとして擁し、年2回程度の定期演奏会を中心に沖縄県内の各地を巡業するなどの活躍を見せています。

 

 「(3)琉球フィルハーモニー管弦楽団」は2009年10月に、地元・沖縄(那覇市)出身のホルン奏者で仙台フィル東京ユニバーサル・フィルに楽団員(東京ユニバーサル・フィルでは首席奏者)として在籍した経験も持つ上原正弘が中心となって結成されたプロオーケストラで、前記の琉球交響楽団と同様、地元・沖縄のプロ演奏家たちで構成されているとのこと───ブリッツ・ブラス(吹奏楽団;東京)の音楽監督で洗足学園音楽大学講師も務める若手の松元宏康を正指揮者として擁しています。

 こちらは今年で創立から3年目を迎え、今年7月に一般社団法人として認証されたばかりの、日本のプロオーケストラとしては新しい部類に入る楽団であり、現在は沖縄県内の学校を巡回してのスクールコンサートなどをこなすほか、東日本大震災発生から約1年2ヶ月後にあたる今年5月には浦添市にて仙台フィルの楽団員10人程とのジョイント公演「響け!復興へのハーモニー」を成功させるなど、楽団主催による「定期演奏会」が開催されたとの話は未だ聞かれないものの、少しずつ歩みを進めている様子。

 

 ”一般社団法人として認証された”といえば、琉球フィル創立の約8年半前に誕生した「(2)琉球交響楽団」はどうなのか───同楽団にフルート奏者として属している楽団員が開設しているブログなどによると、同楽団については創立から約5年後の2006年5月に同楽団を母体に「特定非営利活動法人(NPO法人)沖縄音楽文化交流機構」を結成させており、当該NPO法人が琉響をサポートするという構図が出来上がっている様子。

 何だか、私の住む地元・大阪を活動本拠とする大阪フィルハーモニー交響楽団と「公益社団法人・大阪フィルハーモニー協会」の関係を連想してしまいそうなところですね《ちなみに「大阪フィルハーモニー協会」は大阪フィルハーモニー交響楽団を運営すること等を目的に設立されており、大阪フィルが主催する「定期演奏会」などは「大阪フィルハーモニー協会」主催という形で催されています》。

 

 さて、プロオーケストラとして組織された「(2)琉球交響楽団」及び「(3)琉球フィルハーモニー管弦楽団」の両者とも、アマチュア・オケである前記「(1)沖縄交響楽団」と比較して歴史がずっと浅く、しかも沖響自体が日本への沖縄返還以前から地元で演奏活動を続けてきているところなどから、沖響の歴史は沖縄に於けるクラシック音楽(演奏史)の歩みと言ってもいいだろう、と語られたりもしています。

 しかも琉響・琉球フィルの両者とも、現時点ではN響東京フィル、大阪フィル、九響などのプロオーケストラが正会員として名を連ねている日本オーケストラ連盟には未だ入会しておらず、活動範囲も沖縄県内にほぼ限定されているのが現状で〔琉球交響楽団のみ海外公演(ヴェトナム)の実績有り〕、本州あたり(仙台除く)では未だ無名に近い存在であるような印象を正直受けるところ───恐らく両楽団それぞれに於ける現在の財務状況が災いしているのでしょう《なお現時点で日本オーケストラ連盟に入会していないプロオーケストラとしては、他に2001年に香川県内にて創立された瀬戸フィルハーモニー交響楽団(四国唯一のプロオーケストラ)などがあります》。

 

 

 膨れあがる日本の債務(政府&地方)そして欧州の財政危機───3楽団を取り巻く社会環境は厳しいものがありますが、今後とも沖縄の地で実績を積み上げていき、何れは本州に本格進出するぐらいに成長してくれることを期待するのみです。

 

 

◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
NPO法人 沖縄音楽文化交流機構
一般社団法人琉球フィルハーモニー管弦楽団(団体ID:1463759405)
琉球フィルハーモニー管弦楽団
《→『琉球フィルハーモニー管弦楽団』》
チャリティコンサート「響け!復興へのハーモニー」
《→『沖縄で仙台フィルを応援 宮城県人会がコンサート開催へ』》
《→『沖縄で仙フィル支援コンサート成功  琉球フィル、宗幸さんも熱演』》
《→『「仙台フィル支援コンサートIN沖縄」来場者、1000人も』》

 

 

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